アデホスコーワという薬は、内科・耳鼻科・眼科・脳神経外科などの診療科で使われています。
アデホスコーワは、頭部外傷による後遺症や、内耳障害によるめまいの症状の改善などに処方される薬です。
メチコバールは、末梢性の神経障害に処方されるお薬です。
手や足のしびれ、痛み、めまいや難聴などの症状があるときに使用します。
今回はアデホスコーワとメチコバールについて、主な副作用と使用上の注意についてまとめました。
メチコバールとともに副作用が心配なアデホスコーワ
ここではアデホスコーワとメチコバールの効能や副作用についてご説明します。
(1)まずアデホスコーワの効果にはどんなものがあるのでしょうか?
血流促進効果を持つアデホスコーワは体の組織や筋肉の代謝率を上げ、血流を良くする効能があります。
もし血流が悪いとめまいや頭痛等、いろいろな症状が出てしまうことがあり、それらの症状を和らげたり改善させるための治療法としてアデホスコーワが使われる時もあります。
(2) 頭部外傷後遺症やメニエール病の際の処方
このアデホスコーワは、頭部の怪我による後遺症からくる症状にも使用される場合があります。
頭部外傷は高い所からの転落・転倒や交通事故等によって生じますが、その後遺症として起こるめまいや頭痛の時の治療にもアデホスコーワが処方されます。
またアデホスコーワ顆粒は耳鳴りやめまいなどの症状がある「メニエール病」にも症状を抑えるお薬として用いられることもあります。
アデホスコーワの血流を促進させる働きにより、内耳の血流も良くなり、めまい等の症状を和らげることができます。
アデホスコーワの代表的な副作用
アデホスコーワの代表的な副作用には以下のようなものがあります。
(1)頭痛が生じる
アデホスコーワの副作用として、頭痛がしたり、気持ちがそわそわして落ち着かなくなるといった精神神経系の症状が出る場合があります。
特に頭部外傷後遺症として頭痛等がでることがあり、そのような症状を緩和するためにアデホスコーワが処方されることがありますが、逆にその副作用としての頭痛も生じる場合もあります。
その時は、主治医に頭痛があることをしっかりと伝えましょう。
(2)眠気が生じる
メチコバールと違い、アデホスコーワは副作用として眠気を生じることがあります。
自動車運転や機械の操縦など、眠気のためにミスをしたり事故を起こしてしまうなどの危険性が考えられます。
アデホスコーワを服用後はそのような作業はなるべく止めるようにした方が良いのです。
(3)耳鳴りの出現
アデホスコーワの副作用の一つに耳鳴りが挙げられます。
アデホスコーワはそもそも耳の血流改善作用により、めまいや耳鳴りを抑える働きがあるのですが、人によっては副作用としての耳鳴りが発生してしまう場合もあります。
このような症状が出てしまったら、医師や薬剤師にそのことを話し、対応してもらうようにしましょう。
まだまだあるアデホスコーワの副作用
内臓機能にも副作用が現れます。
(1)吐き気などの消化器症状
食欲がなくなる、吐き気や嘔吐、悪心などが起こる場合があります。
吐き気などの消化器症状も、耳鳴り等があるなら、早い段階で医師に伝える必要があります。
(2)便秘や下痢といった症状
また便秘や下痢などの腹部の不快な症状が生じる場合もあります。
アデホスコーワ服用前は特に消化器症状がなかった方が、服用し始めてから便秘や下痢になるようであれば、アデホスコーワの副作用が考えられます。
(3)体の拍動感
拍動とは、普段あまり意識していない内臓の収縮や弛緩の動きを感じることを言います。
アデホスコーワの副作用で、この動きが気になり始めることがあるのです。
まれではありますが、この拍動感のために不眠ぎみになるようなら、主治医や薬剤師に伝えて下さい。
(4)その他
アデホスコーワの主成分であるATPは本来体内で生産される物質ですので、重い副作用や他剤との飲み合わせはあまりありません。
まれに吐き気や頭痛の症状がありますが、それで日常生活に支障がなければ、問題視することはないでしょう。
ただ注射剤の場合は、注射直後に胸が熱い苦しいといった程度の報告はありますが、これは副作用と言える程のものではありません。
また心臓機能への影響も報告されていますが、数秒程で回復しますので、全く心配はいりません。
メチコバールの副作用については下記「メチコバールの副作用と使用上の注意とは?」をご覧下さい。
アデホスコーワの使用上の注意!
アデホスコーワの使用上の注意は以下のことです。
(1)妊娠中は特に注意が必要
妊娠中や妊娠の可能性がある時は使えません。
その時期に服薬すると、子宮内の胎児に薬剤成分が移行したり、胎児への影響も考えられます。
ですから、この時期はアデホスコーワ・メチコバールに限らず、薬剤の服用には注意が必要です。
アデホスコーワは特に重い副作用はないのですが、妊娠中や妊娠の可能性がある時の安全性が完全に確立しているわけではなく、原則服用しないとなっています。
妊娠中のめまいなどについては、まずは医師の指示を仰ぎましょう。
(2)医師の処方に従う
アデホスコーワは頭部外傷後遺症の症状を和らげ、メニエール病等が原因のめまいを改善させるために処方されます。
病院で診察を受け、医師の処方の元にお薬を飲みましょう。
前述のとおり、重い副作用はあまりないですが、医師の処方なく、自己判断での服用は危険です。
また基礎疾患等で服用している他剤との併用は、基本的には禁止はされていません。
しかしアデホスコーワを服用することで副作用が生じたり、他の薬剤の作用に影響を及ぼすので、受診する際にお薬手帳を持参するなどして、医師や薬剤師にきちんと他の薬剤の情報を伝えましょう。
なお心筋梗塞や狭心症の治療薬である「ジピリダモール」については、アデホスコーワとの飲み合わせに注意すべきです。
次はメチコバールについてご説明します。
メチコバールとは
(1)効能
メチコバールとは、エーザイから販売されているメコバラミンというビタミンB12を主成分とした副作用が少ない薬剤です。
傷ついた神経が原因の肩こりや足腰の痛み、手足のシビレ等に効きます。
現在は注射剤と錠剤の2種類の販売となっています。
(2)メチコバールはジェネリックだけ
現在エーザイが販売しているメチコバールは、医薬品の申請後、承認が下りるまで1年以上経過したため「新薬」とはみなされず、ジェネリック扱いになったものです。
同じ成分で、メチコバールより薬価が低い製品への変更を希望するなら、主治医や薬剤師に申し出て下さい。
(3)主成分
メチコバールの主成分のビタミンB12は、障害を受けた神経を再生し、正常な造血作用に必須のビタミンです。
ビタミンB12が十分に摂取されないと、神経の傷による痛みや貧血などの症状が出ます。
(4)保存方法
メチコバールは光が当たらない湿気の少ない場所での保管が必要ですが、室温で保存しましょう。
光に当たるとビタミンB12が減ってしまいますし、湿気の影響で色が変わってしまう場合もあります。
アデホスコーワやメチコバールに限らず、医薬品は使用期限を過ぎてしまった物は破棄しましょう。
(5)メチコバールの特徴
メチコバールにより神経が修復されるには時間がかかります。
ビタミンB12は水溶性なので、もし過剰に摂取してしまったとしても尿として排泄され、過剰摂取の心配はありません。
メチコバールの副作用と使用上の注意点
(1)副作用
メチコバールはビタミン剤なので、重い副作用は少ないのですが、まれに食欲がない、吐き気、嘔吐、下痢等の消化器症状や発疹等が報告されていますので、薬剤アレルギーのある方は注意が必要です。
しかし副作用の出現は0.96%と低い確率なので、比較的安心して服用できます。
またアデホスコーワとは違い、服用しても眠くなることがないので、車の運転や機械装置の操縦等、注意力を要する作業の前に服用することが可能です。
(2)メチコバールとニキビの関係
メチコバールを服用するとニキビが増えるのでしょうか?
添付文書によると発疹が起こる確率は0.1%未満であるとの記載がありますが、ニキビや肌荒れについては何も書かれていません。
しかしビタミンB12を過剰に摂取すると、皮膚表皮の細菌に影響を与え、ニキビが悪化するという研究も報告されています。
メチコバールの服用で必ずしもニキビができるとは限りませんが、もしメチコバールの服用でニキビが悪化したなと思ったら、飲むのをとりあえずやめて、主治医に報告した方が良いでしょう。
アデホスコーワとメチコバールの副作用を知り上手に活用しよう
アデホスコーワやはメチコバールは、めまいの症状の改善や頭部外傷の後遺症の改善などに使われる古い歴史があるお薬です。
まれに頭痛や下痢、吐き気などといった副作用が生じることがあります。
副作用がでているにも関わらずに、そのまま薬を服用し続けると、更に体調が悪くなってしまうこともあります。
副作用を感じたら症状や身体の具合などについて、できるだけ早く医師や薬剤師に相談してみましょう。