抗不安薬として処方されているデパス・・・。
『あなたはデパスをやめられますか?』と問われたら動揺してしまうくらい、デパスの依存性と効果の強さは有名です。
そこで今回はデパスの依存性と適切な使用量について調べてみました。
安全な使用量が心配。デパスの依存性は?
①デパスの依存性
デパスはとても強い依存性があります。
依存性には、身体依存と精神依存があります。
身体依存とは、体から薬が抜けることで調子を崩す状態です。
精神依存とは、落ち着かなくなる状態です。
さらに、抗不安薬は徐々に効きが悪くなる耐性がつきます。
身体依存、精神依存、耐性。
3つの相乗作用で、服用量を増やさないと効果が出にくくなり、抗不安薬なしではいられなくなります。
デパスは依存性が強いため、できれば依存性の少ない薬から始める方が良いでしょう。
しかしデパスは効果がしっかりしていて、筋弛緩作用により体の緊張も和らげてくれます。
注意して使用していきましょう。
②薬による依存性の差
効果が強く、半減期の短い薬剤は依存性が見られやすいです。
現在、抗不安薬はベンゾジアゼピン系が主流ですが、その他のアザピロン系と呼ばれるものにセディールがあります。
これは依存性がありませんが効果も弱いです。
依存性が強いものには二つの特徴があります。
・効果の強い(力価が高い)薬剤
効果を自覚しやすく、精神的にも身体的にも依存しやすくなります。
・半減期が短い薬
薬が切れた感じが出やすく、依存しやすくなります。
デパスは、効果が強く、半減期は比較的短いため、依存性は「とても強い」抗不安薬です。
もっとも依存しやすい抗不安薬と言えます。
デパス依存症にならない為の適切な使用量
頓服としてのデパスの服用方法
デパスは抗不安薬で、「不安感の強い時」「不安薬が強くなりそうな時」に服用します。
例えばパニック障害などの方のパニック発作の時、乗り物の苦手な方が乗り物に乗る時、あがり症の方がスピーチや発表の前に、また会食恐怖症の方が会食の前に、などの場合です。
これらの場合以外にも不安を一時的に抑えたい時にも使用されます。
またデパスは筋弛緩作用や催眠作用もあり、人によっては肩こりや頭痛、不眠時にも使用されます。
デパスは服用後約3時間で血中濃度が最大になり、半減期はその後6時間程。そして効果が薄れていきます。
この事から、効果が最大になるには3時間程度かかると予想されます。
しかし20~30分程度で効果を感じる方もおり、即効性があるとも言われます。
しかし数分で効くというわけではないので、できれば早めに服用する方が良いでしょう。
予防的に服用するのであれば、最低でも30分位前に服用するのが良いでしょう。
頓服の場合、個人差はありますが一般的には1回0.5mgを服用します。
効果の薄い場合は1mg、逆に効果が強すぎる場合は0.25mgでも問題はありません。
1.5mgや3mgなどの高容量は推奨されません。
副作用や、耐性・依存性の危険性を高めてしまいます。
多く使うことで効果は高くなりますが、リスクも大きくなります。
服用量に関しては医師としっかり相談しましょう。
適切な使用量でデパス依存にならない為の対策①
睡眠薬は、できればベンゾジアゼピン系以外を選択しましょう。
睡眠薬としてベンゾジアゼピン系を使用すると、同じタイプの薬を服用する機会が増え、依存性が形成されやすくなります。
他には非ベンゾジアゼピン系、オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬などがありますが、近いものは非ベンゾジアゼピン系でしょう。
たとえばマイスリー・アモバン、ルネスタなどがあげられます。
依存性はベンゾジアゼピン系より少ないですが、作用時間が短いです。
依存性を予防するためには、可能な限り優しい薬から使っていく方が良いですが、効果が無いようでは意味がありません。
不安は気の持ちようである事も多く、「この薬を飲めば効く」と信じることで実際以上の効果も出ることがあります。
効果が見られれば、徐々に弱い薬に移行していくべきです。
依存性は、薬がゆっくり抜けていく薬の方が効果が切れたという実感も少ないことから作用時間の長い薬の方が少なく、メイラックスなどが使われます。
頻繁に不安感を感じる方は作用時間の長い薬の方が良いでしょう。
ただ、薬の蓄積性の問題から副作用には注意が必要です。
また、依存性が形成されてしまった方は、メイラックスなどに置き換えてから断薬していく方法もあります。
適切な使用量でデパス依存にならない為の対策②
服用期間が長期になりそうな時は、あらかじめSSRIと併用します。
デパスは即効性がありますが、依存性が形成されることもあるためです。
SSRIは遅効性です。
次第に「周囲が気にならなくなる」「不安が起こりにくい」感じがしてきます。
SSRIの効果が表れだしたら、抗不安薬から移行していきます。
その後抗不安薬が「お守り」代わりになれば理想的です。
服用が長期になればなるほど依存はしやすくやるため、必要が無くなったら服用をやめます。
調子が良くなれば、なるべく薬を中止するつもりで服用しましょう。
服用量は最小限にしましょう。
普段は不安が無く、何かのきっかけで不安発作が起きる方では屯用、屯用では抑えられないときはメイラックス等の長時間作用型を服用しながらデパスを屯用します。
これでも効果が薄ければ、1~3mgで常用をすることになります。
SSRIと併用することが多いです。
お酒との併用は絶対に禁止です。
生活習慣の改善や、呼吸法、自律訓練法や漸減的筋弛緩法など、薬以外で不安を抑える治療法があります。
カフェインの摂取を控えたり、生活リズムを整えたり、自己暗示で不安をコントロールする練習も効果があります。
症状ごとのデパスの副作用①
①眠気
非常に多く見られます。
支障があるようならば、減量もしくは眠気の少ない薬に変更をします。
抗不安作用が強く表れすぎると眠気も強くなります。
日中の不安感や緊張感を和らげるためとはいえ、日中眠気が出るようでは注意が必要です。
不安や緊張の多い時は交感神経の働きが優位ですが、薬の作用でリラックスしてくると本来の自律神経のバランスに戻ってくるため、眠気を感じやすくなります。
薬に慣れるまでは、眠気の発現に気をつけましょう。
調査の結果では、眠気はよく見られ、3.6%の方に見られました。
眠気が出てきたらどうすればよいか?
服用初期ならとりあえず様子を見てください。
薬に慣れることで、気にならなくなることもあります。
また、服用時間をずらすことで解決することもあるので、試してみる価値はあります。
それでも眠気が続くときは、服用量を減らすか、催眠作用の少ない薬に変更します。
服用量を減らせば効果も減りますが、眠気も減ります。
効果と副作用を天秤にかける形になりますが、減量を試すのも良い方法です。
それでも眠気が無くならないようであれば、ワイパックス・ソラナックス/コンスタン、セパゾンなどの催眠作用の少ない薬への変更を検討します。
また、リーゼは効果の小さい薬ですが、確実に眠気は少なくなります。
症状ごとのデパスの副作用②
②ふらつき
デパスでは、ふらつきがみられることがあります。
このような時は薬を減らすか、作用の少ない薬に変更します。
デパスには筋弛緩作用があり、肩こりなどには良いのですが、高齢者などの場合はふらついて転倒し、骨折の危険もあります。
ふらつきは1.95%の方に見られ、頻度も高く、十分な注意が必要です。
ふらつきがみられたら眠気の場合と同じで様子を見るか、解決しなければば減量か、薬の変更を検討します。
デパスは依存性が強いため、長期に服用するときは抗鬱剤を中心にし、長期服用は避けます。
依存には、身体依存、精神依存、耐性の3つの要点があります。
身体依存とは、身体が薬に頼ってしまう状態です。
急な中断で離脱症状が起きやすくなります。
精神依存とは、心が薬に頼ってしまう状態のことです。
薬の効果を強く実感できると、精神的な依存も強く表れます。
ベンゾジアゼピン系は効果の実感が鋭いために精神依存が起こりやすい薬です。
また、耐性とは、体が薬に慣れることで次第に効果が薄れてしまう事です。
初めは1錠で効いたのに、今ではあまり効果が無い、そういう時は耐性がついている可能性があります。
効果が強く、半減期の短い薬剤は依存性が見られやすいです。
デパスは条件を満たしています。
このため、依存性はとても強い薬ということになります。
もっとも依存性の強い抗不安と言えます。
依存症にならない為にデパスの適切な使用量を守ろう!
デパスは『万能薬』と呼ばれるほど、幅広い症状に対して処方されています。
デパスは、とても効果が強く依存性が高いものなのですね。
服薬期間が長く、摂取量が多いと特に依存しやすいです。
でも、デパスのおかげで救われている人や普通に生活できている人がいるのです。
抗不安薬以外で対処する努力をしつつ、依存症にならない為にデパスの適切な使用量を守りましょう!