バレーボールに青春を捧げている学生から、いつまでも元気で若々しくつづけてほしいママさんバレーの選手の方へ。正しいストレッチが出来ていますか?練習に時間を掛けてウォームアップやクールダウンがおざなりになっていませんか?怪我の防止から疲労回復、そして運動パフォーマンスアップのために肩周りのストレッチは必須です。今回はバレーボールをする方にオススメのストレッチを紹介致します。
バレーボール前の肩ストレッチ①
肩甲骨と腕の動きを合わせることで、振り方がしなやかになります。
気を付けるべき点は姿勢です。肩甲骨を動かすことに集中すると、余計な力が入ってしまい、肩が上がってしまいます。すると背中が丸まり、首にも負担が掛かります。
この時、胸にある脊椎も伸び縮みを行うので、それに合わせるといいですよ。首も、顎を上げてまっすぐ前を向き、長さを維持します。
肩甲骨には僧帽筋という筋肉が備わっています。これは首回りにある「上部線維」と、肩甲骨と腰の骨を繋げている「下部線維」があります。
猫背になると下部線維が動かなくなってしまうため、肩甲骨が上手く寄せられません。コツは寄せる時に肩を下げることです。
上部線維は使わないで、腰の辺りに意識をやって、下部線維だけを使うようにしましょう。とはいえいきなりは難しいので、まずはイメージするところから始めましょう。
そしていざ動かす時は、無理をしないことです。全身の力を抜いて、慣れていないうちは自分が出来るところまでにしておくのが、良いストレッチのやり方です。
バレーボール前の肩ストレッチ②
ピッチャーとして有名な前田健太投手と言えば「まえけん体操」でしょう。
腕や肩を柔らかくして、しなやかさを身につけるための体操ですが、具体的なやり方を知らない人も多いかと思われます。
今回はそれについて、詳しくお教えしますね。覚えておけば、野手を担う人にも良い影響を与えてくれます。
・骨盤前傾を意識する
転がるボールを取る時の姿勢です。股関節に何かを挟むようなイメージで、骨盤を前に傾けます。背筋はまっすぐ伸ばして下さいね。
・背中はそのままで、肩甲骨だけを動かす
腕を肩甲骨の辺りから、大きく回します。腰を反りすぎてはいけませんが、猫背もアウトです。ボールを投げる時のように、上から下に回すなら手の平を自分に向けて、下から上に回すなら外側に向けます。
・背中を動かさずに腕を引き上げる
両腕の力を抜き、左右に垂らした肘を、勢いを付けて引き上げます。手の平は外側に向けて下さい。手の平を動かすことで、肩甲骨の周辺が動かしやすくなるのです。どれもすぐに出来ますが、最初は腕を回すことから始めてみましょう。
バレーボールは肩甲骨と胸椎の動きを良くしよう
身体を捻る動きについて、正しいやり方を小さい頃から身につけておくと、成長してからも新しい動きをすんなり覚えられるようになります。ほとんどの人は腰から捻ると思いますが、それはいけません。逆に腰を痛めてしまいます。
腰骨を支えているものは筋肉だけしかなく、もともと捻る動きを前提とした作りをしていないのです。それでも無理に続けると、痛めるだけならまだマシですが、酷い時には分離症やヘルニアになってしまいます。それでは一体、どこを軸にすれば良いのでしょうか?答えは「背中」です。
背骨は腰・胸・首の3つに分けられ、動く角度は部位によって違います。腰よりも背中の方が圧倒的に動かせる範囲が広いのです。
ただ日頃から意識するのはなかなか大変です。まずは上手くコントロールしているところを思い描きながら、範囲を広げるためのストレッチを始めましょう。やり方は次の通りです。
1.横を向いて寝転がったら、上の足を曲げ、下の足は伸ばします。
2.曲げている方の足の下に棒か何かを置き、太ももの内側でしっかり押さえましょう。両手はくっつけ、前に伸ばします。
3.両手が離れない辺りまで、上半身を捻ります。焦らず、ゆっくりやりましょう。肘が曲がりそうになったら一旦止まります。
4.手を離してから身体を捻ります。これを呼吸と共に繰り返します。動いている時に吐き、止まる時に吸うとやりやすくなります。ポイントは力を入れないことです。
肩の可動域が広がるとプレーの幅が広がる
バレーボールはもちろん野球やテニス、ゴルフなど身体を捻る必要があるスポーツでは、肩甲骨がとても大事な部分であると認識されています。
特にバレーボールは肩の辺りの筋肉を幅広く使うため、身体のどの部位よりも重要だと言えます。
ブロックをするなら出来るだけ高い位置でボールに触りたいですよね。
それではまずブロックをする時と同じように、手の平を壁に付けて下さい。
そしてそのまま肩を竦めると、手の位置が上にずれますね?これは肩甲骨が持ち上がったことでなるのです。普通に腕を上げるより、肩甲骨を鍛えた方が高いところまで手を上げられるようになります。
またトスを行う場合、肩甲骨を軸として腕が動きます。軸のバランスが取れていると、上手にボールを操れます。
セットの姿勢が決まるのは、肩甲骨の位置が正しく決まることでもあるのです。
肩甲骨を自由自在に扱えるということは、怪我をしにくくなるだけではなく、動かせる範囲も広くなるのでスパイクの角度も広がり、今までは触れなかったボールに手が届いたり、コートから出る前に拾えたりと良い影響を及ぼしてくれます。
スパイクの種類を知っておこう
バレーボールには「型」と呼ばれるボールの打ち方がいくつか存在していて、そのどれもが腕や肩を捻ることを重要視しています。
・ストレート・アームスイング
両腕を振り上げて、身体を後ろに反らし、その反動による力をボールに伝えて打ちます。バレーボールではほとんどの場合、まずこの型から教えられます。
・ボウ・アンド・アロウ・アームスイング
腕の振り方はストレートと変わりませんが、弓を引く時のように、踏み切った後で上半身を後ろに引き、捻る力をボールに加えます。
・サーキュラー・アームスイング
プロがよく使う姿勢です。踏み切った時、両肩とネットが垂直になるような格好で、肩の下側から腕を振り上げます。ポイントは胴体に意識を集中させることです。反る力と捻る力のどちらをメインにするかは人それぞれです。プロは後者が多いようですが、前者を選ぶ選手も大勢います。初めての人だと意識せずに捻りが加わることも多いので、最初のうちは自分がやりやすい方で構わないと思いますよ。
下半身のストレッチも忘れずに
バレーボールでよく注目されるのはジャンプですが、基本的には跳ぶよりも、中腰の状態でコート内を素早く移動することの方がメインです。その合間にジャンプをして、ボールを防いだり、逆に打ち返したりするのです。
そのため、大事なのは股関節や足首の柔らかさが重要になってきます。また素早くジャンプを行うためにも膝と足首のアライメントを正常にしておき、空中でも体勢を崩さないように胴体の辺りが活発に働くようにすることが大切です。
アライメントが崩れると、思いがけない大怪我に見舞われる可能性があります。多く見られる怪我はジャンパー膝や靱帯の損傷などの「膝」、ヘルニアやぎっくり腰、分離症などの「腰」、ルーズショルダーやインピンジメント症候群などの「肩」に関する怪我でしょう。特に膝の靱帯が切れてしまうのは、まさにアライメントが異常を起こした結果によるものです。他の怪我も似たような経緯で、長い間、必要以上の負荷が掛かっていたことが原因でしょう。
バレーボールのパフォーマンスを高めよう
バレーボールが少しでも上達したい、ケガを防ぎたいと思うのであれば、今回の記事内容を踏まえて基礎的な身体能力を高めましょう。背が高くても、それを上手く使いこなせれば勿体ないだけです。まだまだ伸びしろが沢山あるかもしれません。若いうちから体の使い方を理解してスポーツをすれば、必ず人より一歩先へ進むことが出来ます。最近はそれだけスポーツ理論が熟成してきていますから、活かさない手はありません。