みなさんはパニック障害や躁鬱という言葉を知っていますか?
聞いたことはあるけどよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、パニック障害と躁鬱それぞれの症状や治療法、更にこれら二つの病気の関連性を紹介します。
パニック障害とはどんな病気?
パニック障害とは、何の前触れもなく強烈な不安感に苛まれ、冷や汗や震えが止まらなくなったり、気分の浮き沈みが激しくなる(いわゆる躁鬱状態です)など身体に様々な異常が引き起こされる症状のことを指します。
これは別名を「パニック発作」と言い、早ければ10分ほどで治まりますが、長い時は1時間以上も続くことがあります。
この障害の特徴は、検査をしても何らかの異常が発見されることはないという点でしょう。
さらに病院へ行っても、その頃には発作が治まっていることが多く、単なる気のせいだと扱われるケースも珍しくありません。
脳の中には外からの刺激を受けることで、色々な働きをする物質がいくつか存在しています。
その中でパニック障害の原因とされているのは、恐怖や不安などの感情に深く関わる「ノルアドレナリン」と、高ぶった気持ちを静めてくれる「セロトニン」です。
この2つのバランスが取れなくなると、気持ちのバランスも狂ってしまうのです。
何故そうなるのかというのは未だに判明していません。
ですが治療によってセロトニンの量を増やすとある程度は改善されるそうです。
パニック障害の主な症状と治療法
パニック障害は、まず激しい動悸や呼吸困難、めまい、大量の汗などといった症状が身体に現れ、同時に強い不安感や恐怖感に襲われます。
この「パニック発作」と呼ばれる症状は30分もすれば治まるため、もし発作が起きたら何処かで休んでいれば落ち着いてきます。
問題はその後です。
発作を何回か繰り返すと、今度は再発を恐れるあまり、「予期不安」という発作に対する不安感が生まれます。
さらに発作が人混みの中で起きた場合、大勢の人に見られていて落ち着かない、恥ずかしいと感じてしまい、人が集まる場所や、かつて発作を起こした経験がある場所には近付かないようにする傾向があります。
これを「広場恐怖」と呼びます。
厄介なのは、この3つの症状は繋がっており、見事に負のループとなっていることです。
酷くなると人目を気にするあまり、家の中に閉じこもって出てこなくなるため、まともな生活を送れなくなります。
それだけならまだしも、最悪の場合は感情のコントロールが利かなくなり、躁鬱病を引き起こす可能性もあるのです。
治療法としては脳内物質のバランスを安定させる薬を投与することです。
また、カウンセラーなどを相手にした心理療法なども有効のようです。
双極性障害(躁鬱病)とはどんな病気?原因は?
パニック障害と併発しやすいと言われているのが「双極性障害」です。
双極という言葉の通り、極端な躁鬱状態に陥る症状のことを指しています。
どちらか片方だけの症状(こちらは単極性と呼ばれます)に見舞われる確率は3~5%ほどですが、両方いっぺんに発症するのは1%にも満たないという少なさです。
また前者は老若男女を問いませんが、後者は主に20代の若者がかかりやすいという傾向があります。
男女比に関しても、単極性は女性の方がなりやすいのですが、双極性は同じくらいの比率です。
単極性の場合、ある程度の時間が経つと、双極性へと進行してしまう可能性があります。
双極性障害は「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の2つのタイプに分けられます。
躁状態が重症化しているとⅠ型で、比較的軽いものはⅡ型と見なされます。
なお鬱状態の方は、どちらも差がありません。
何故この障害が起こるのか、はっきりとした原因は分かっていません。
一説として、生まれ付き病気にかかりやすい体質の人は、肉体的にはもちろん精神的にも大きな負担が掛かるため、脳の機能が上手く働かなくなるせいだと言われています。
どんな条件でこの体質を持ち合わせるのかはややこしい理由がありますが、そのひとつに「遺伝」があります。
特に双子の場合は8割にも上るそうです。
残りの2割は環境なども関係してきます。
双極性障害(躁鬱病)の症状と治療法
パニック障害と併せて発症しやすい双極性障害ですが、具体的な症状と治療法はどのようなものなのでしょうか。
今回はそれについて見ていきたいと思います。
まず症状ですが、躁鬱のどちらかが極端に現れます。
場違いなほど明るい気分になったり、逆に些細なことをきっかけに激しく落ち込んだりすることですね。
大抵は片方だけなのですが、稀にこの2つが同時に現れることがあります。
何も治療を施していない場合、10回以上は躁状態と鬱状態を繰り返します。
回数を重ねていくと共に、症状が入れ替わる間隔はどんどん短くなっていき、それと反比例するように、同じ症状が続く時間は長くなっていきます。
人によっては1年間で4回も変化することがあるようです。
これはラピッドサイクラーと呼ばれます。
双極性障害に陥ると、日常生活などに支障を来すことが多いようです。
結婚している場合は、これをきっかけに離婚へと繋がるケースがしばしば見られます。
自殺率も健常者よりは高いようです。
基本的に「薬」「心理療法」「社会的サポート」の3つをメインに改善していきますが、あくまでも一時的なものばかりなので、治すというよりは事前対策を練る方が効果的です。
パニック障害は躁鬱病と併発する
躁鬱病と併せて他の病気にもかかる可能性があります。
もしそうなってしまったら、異なる2つの問題を抱えながら、両方と闘わねばなりません。
代表的なものは「パニック障害」です。
30分ほどで治まりますが、その後も何回か繰り返すことが多いようです。
薬物投与をするなら抗鬱薬を用いますが、躁鬱病がきっかけとなってパニックに陥ることも珍しくないため、まずはそちらから対処する必要があります。
これと似たような症状が「不安障害」です。
混乱することはありませんが、いきなり落ち込むという点は同じです。
その状態がいつまでも続きます。
精神的なものだけではなく、肩凝りなどといった肉体的苦痛も感じることがあります。
この場合は抗不安薬を使いますが、深呼吸や有酸素運動など、身体をリラックスさせるための方法も多く行います。
人によっては「摂食障害」を招きます。
拒食症のみのこともあれば、拒食と過食を繰り返すこともあります。
「強迫性障害」は知っている人もいるのではないでしょうか。
不安感を拭い去るために、意味のない行動を何度も繰り返す病気です。
手を一日に何度も洗わなければ気が済まないという話を聞いたことがありませんか?
これがそうです。
最後は「PTSD」です。
正式名は「外傷性ストレス障害」と言いますが、ほとんどの人には「トラウマ」と言えば伝わるでしょう。
これにも抗鬱薬を使いますが、通常は精神療法により、気持ちを落ち着かせます。
運動でパニック障害は改善できる?
躁鬱病と併発しやすいパニック障害ですが、改善させるためには何をすれば良いのでしょうか。
あちこちでよく言われているのは「有酸素運動」ですね。
主な原因はセロトニンの不足なので、身体を動かすことで、足りなくなったセロトニンを分泌しやすくするのです。
大事なことは「続けること」です。
おすすめは20~30分くらいのウォーキングを、週に2、3回のペースでいいので行いましょう。
家の中で運動をしたければ、スクワットやラジオ体操が最適ですよ。
もう少し軽いものから始めたければ、ストレッチやヨガをやってみましょう。
どんなやり方を選ぶにせよ、最低でも1ヶ月は続けて下さい。
そうすれば体力も付いてきて、身体に負荷の掛かる運動をやっても耐えられるようになります。
まずは自分が続けられそうなものに手を付けてみましょう。
パニック障害の状態でも出来る、ぴったりの有酸素運動は「踏み台昇降」です。
何でもいいので、踏み台として使えるものを用意しましょう。
上り下りを繰り返すだけですが、これがかなり効くのです。
体力や筋力はもちろん、セロトニンの量も増えますよ。
パニック障害や躁鬱とはなに?どう違うの?関連性とその症状 まとめ
いかがでしたか?
パニック障害と躁鬱はそれぞれ違った症状を引き起こし、治療法も異なるようです。
しかし、これらは症状や治療法が異なる一方で、併発する病気として気をつけなくてはなりません。
症状が変わったと感じたら、まずはお医者さんに診てもらいましょう。
また薬だけでなく運動をすることでも改善されるので、無理せず身体を動かすと良いですね。