ピッチャーをしていたけれど、肩が痛くなったことで他の守備にコンバートされたり、野球を辞めてしまった人を、ドラマや漫画などでよく耳にしませんか?
実は、肩が痛いと感じたことがあるピッチャーは、実際にたくさんいるんです。
ではどうしてピッチャーは肩が痛くなりやすいのでしょうか。
原因や対処法を探っていきましょう。
ピッチャーは腰や肩が痛い?
野球のピッチャーはよく肩や腰が痛いという理由で病院を訪れることが多いようです。
ボールを投げるには腕を振りかぶる必要がありますが、その動作をすると肩や腰にかなりの負荷が掛かります。
ピッチャーはこれを繰り返すため、オーバーユースを引き起こしやすくなり、酷くなると捻挫や骨折に見舞われるのです。
その原因はハードな練習のせいで、疲労が積み重なったことによるものです。
それなら休めば良いのですが、学校の部活などでは迂闊に休めばレギュラーから落とされるという考えが付きまとうらしく、無理をする人が多いようなのです。
それではどうすれば良いのかというと、痛みが出る前に、こまめに身体をケアしてやれば良いのです。
いくら重要なことだと頭の中では理解していても、実行しなければ意味がありません。
練習に時間を取られてそんなことをしている暇がないという意見も聞きますが、大事な身体が使えなくなったら元も子もなくなります。
休憩時間など、余った時間をなるべく見つけて、身体に掛かっている負担を取り除いてあげましょう。
ピッチャーだけじゃない?肩が痛いと感じる野球肩とは
野球を行う際、肩は最も重要な部分に当たります。
特にボールを投げることが多いピッチャーは、なおさら肩の扱いに気を遣わなければなりません。
だからこそ早いうちからケアをする必要があります。
とはいえどんなに対策を施しても、怪我などを完全に防げるわけではありません。
「肩は消耗品」とも言うくらい、壊れやすい部位でもあるからです。
今回はそんな肩に関するあれこれを見ていきたいと思います。
野球をしている人が肩を壊した場合、よく「野球肩」という言葉で言い表します。
しかし一口に野球肩と言っても、症状がどれくらいなのかは人それぞれです。
少し「痛い」と感じる程度なら一ヶ月ほどボールを投げなければ次第に良くなっていきますし、逆に重症になると完治するまで数ヶ月もかかったり、手術を受けなければならなくなる場合もあります。
さらに手術をしても、完全に元通りになるとは限らず、下手をするともうボールを投げられなくなるかもしれません。
少年野球では特に、ピッチャーは肩が痛いと感じやすい
野球肩は「怪我」もしくは「オーバーユース」のどちらかが原因で引き起こされます。
怪我が理由の場合、ボールを投げた瞬間に「痛い」と感じるなど、比較的分かりやすい症状が現れます。
いつ起こるのかは、外野手がバックホームをしたり、ピッチャーがボールを投げた時などですね。
脱臼、あるいは関節や腱の損傷などであることが多いようです。
続いてオーバーユースです。
これはいわゆる「肩の使いすぎ」を意味します。
一気に来るのではなく、毎日少しずつ蓄積していき、気が付くとボールが投げられなくなっています。
これは投球や返球することが多いピッチャーとキャッチャーによく見られます。
何故こうなってしまうのかというと、少年野球の場合、選手がまだ身体の出来ていない子供ということが挙げられます。
そのため大人よりも筋力が足りず、怪我を招いてしまうのです。
また「成長痛」と呼ばれる、骨格が育つ時に痛みを感じるという、この時期特有の症状もあります。
ここで無理をすると、後で身体に何らかの影響が出てしまいます。
筋力不足については、軟球なら軽いので、肩を壊しにくくなります。
しかし硬球はずっしりと重く大きめなので、まだ未熟な身体のうちは怪我に繋がる可能性が高いようです。
変化球も負担が掛かるため、なるべく避けた方が良いでしょう。
実際に硬球の使用や、変化球の指導をしない少年野球チームがほとんどだそうです。
野球肩は軽度から重度までいろいろ
ピッチャーなどがなりやすい野球肩は、ただでさえ完治するまでに3ヶ月以上を費やすというのに、悪化すると手術をしても「痛い」と感じてしまったり、前と同じようにボールを投げることは出来なくなる可能性があります。
一方で、軽いものは1ヶ月ほどボールを投げることをやめれば徐々に痛みが取れていきます。
症状の度合いの違いは、どこをどれくらい損傷しているのかによって変わってきます。
ただ肉眼で見分けることは不可能なので、肩に痛みを感じるようなら、病院へ行きましょう。
何処を受診すれば良いのかという点ですが、なるべく野球肩を専門に受け付けている整形外科か整骨院にして下さい。
専門ではないところへ行くと、痛みの原因が肩であるというところまでは分かってくれますが、ボールを投げてもいいのかどうかははっきりと判断出来ません。
これはあまり宜しくありません。
何故かと言うと、もし「出来れば投げない方が良い」という微妙な言い方をされた場合、人によっては「無理をしなければ投げてもいいのか」と受け取ってしまうからです。
野球が好きで、やれる限りやりたい人ばかりなのですから、素直にアドバイスを聞き入れてくれることはまずないのです。
野球肩の痛みを取るためにピッチャーがすべきこと
肩が痛いと思ったら、まずはアイシングを行いましょう。
ピッチャーがベンチで肩を冷やしているところをテレビで観たことはありませんか?
あれのことです。
関節など、炎症が起きやすい部位に氷などを当てて、損傷を防ぎます。
酷くなると骨が歪んでしまうかもしれないので、早めに対処することが大事です。
なお冷やす時間は10~20分くらいがベストです。
それでもまだ痛むようなら病院へ行くことをおすすめします。
テーピングをしたり、痛み止めを飲めば良いのではと思う人もいるかもしれませんが、これらはあくまでも応急処置なので根本的な解決にはならないのです。
治るまではボールを投げることを控えましょう。
軟球を使ったキャッチボールくらいなら構いませんが、絶対に無理はしないで下さい。
もちろん、痛みを感じる前に対策を取ることも重要です。
最も良いのは投げるボールの回数を決めておくことでしょう。
小学生なら一日50球、中学生なら70球辺りを目安にして、一週間に200球を超えないくらいが最適です。
これについては野球界全体の決まり事としてすでに定められています。
ただ高校生になるとその制限もなくなるため、無茶をする選手が後を絶たないそうです。
普段から気を付けることで野球肩を防止
普段からボールを投げることの多いピッチャーは、野球肩になりやすいというリスクを背負っています。
ボールを投げるたびに痛いと思っていたらきりがないので、何らかの対策を取りましょう。
おすすめはストレッチを行うことです。
筋肉や関節が柔らかくなるので動かしやすくなり、身体機能も落ちません。
基本は肩甲骨の周辺をメインにストレッチします。
子供の頃からトレーナーを付けるのは難しいため、自分一人でも出来るやり方を覚えましょう。
技術面では姿勢を正すことが大切です。
ボールは肩や肘だけを使って投げるものではありません。
上半身と下半身のバランスを取り、なるべく顔の近くで放り投げましょう。
専門書を読み込むことや、コーチに相談するのも大事なことですよ。
肩は野球選手にとっての生命線です。
常に全力を出した状態で、何年も投げていられる人はまずいません。
だからこそ子供の頃から自分の肩がどんな状態になっているのかを把握して、無理をしないように意識しつつ、適切な対処をすることが必要なのです。
健康で楽しく、いつまでも野球を続けられるように
肩が痛いと感じるピッチャーが多いのは、野球肩のせいだったんですね。
過度な練習や試合の積み重ねが、野球肩を引き起こす原因になります。
正しいフォームで、適度に体を休めるなどして、コーチの指導のもとに投球練習を行うことが、長い野球人生を楽しむためには必要ですね。
肩の痛みが治まらないと感じた場合はお医者さんに相談し、専門家のアドバイスを受けましょう。