スポーツジムで人気のピラティスで体メンテナンスし腰痛改善

最終更新日:2024/03/17

スポーツジムのスタジオではエアロビクスやヨガと並び、ピラティスも人気で日々エクササイズに励んでいる人もいます。

ここではピラティスを名前は知っていても、具体的には知らない人から腰痛などの不調を改善する方法を探している方たちへ、簡単なエクササイズを含めて紹介します。

人気のピラティスとは?

多くの方にとってピラティスとは何かという疑問は、実践している人や本などで情報を収集していない限り、あまり知られていないでしょう。

ピラティスとは人の名前で、1880年(日本では明治時代)にドイツで生まれた、ジョセフ・H・ピラティス氏が幼少の頃から病弱だった体を改善しようと、独学で学んだことを体系化したものです。

正式な医学の勉強をしたことがないピラティス氏は、西洋的なボディ・ビル、ボクシング、レスリングなどのスポーツや、ヨガや東洋的な禅、武術なども取り入れました。

さらにピラティス氏は動物の動きも観察し、そこから自分の体を隅々まで動かし、独自のエクササイズを作り上げていきました。

このピラティスのユニークな特徴として、今では常識的なトレーニングになっている体幹トレーニングと根本を同じにする、コア(体の中心)の安定というのをエクササイズの原則としているところです。

ピラティスの有効性が示されたのはイギリスに移住していた時に、第1次世界大戦が勃発して敵国人として拘留されてしまったことがきっかけです。

この時イギリスでは悪性のインフルエンサが流行り、多くの人が亡くなったにも関わらず、ピラティス氏のエクササイズを実践していた同じ所の拘留者は無事でした。

これは心身ともに鍛えるピラティスでの免疫力向上による効果が出た可能性があり、肺などの呼吸器にも良い影響を与えたと考えられます。

その後、マン島に移送されて収容生活を送る中で、負傷者のリハビリなどに従事したことから、器具を使うピラティスを作り上げました。

今日ではリハビリだけでなく、姿勢の維持や肩こり腰痛の改善、運動する人のパフォーマンス向上に役立っています。

ピラティスの8つのキーワード

ピラティスにはエクササイズのクオリティーを上げる為の、重要な8つのキーワードがあり、それぞれ関連していて実践する前に理解しておく必要があります。

①集中力
ピラティスの特徴の一つである心と体を両方トレーニングするには、集中力が必要です。

エクササイズ中はテレビを見ながら取り組んだり、他の事に気を取られるような環境で行わず、体に意識を集中させて微妙な変化を感じ取れるようにしましょう。

②呼吸法
スポーツをしている時のような激しい呼吸は必要なく、深くゆっくりとした呼吸を行い、リラックスした状態で集中力を高めます。

とくにゆっくり息を吐くことで大きな筋肉を緩めて、腹部のインナーマッスルを使用することができます。

この腹部のインナーマッスルは、腹筋の奥にある腰痛コルセットをした時のように体幹下部を安定させる腹横筋や、呼吸筋の横隔膜と骨盤の底を支える骨盤底筋などがあります

③コア・エンゲージ
腹部のインナーマッスルはコアまたはパワーハウスと呼ばれ、ピラティスでは重要視されて力の源とされています。

エクササイズではこのコアに呼吸などで働きかけることをコア・エンゲージドと呼ばれ、そこから実際の動作に入ります。

④アイソレーション
これは分離・隔離という意味で、鍛える部分を理解し意識することで、集中力を欠いたエクササイズを防ぎます。

⑤コントロロジー
これはピラティス氏の造語で、集中して呼吸を使いコアをエンゲージし、アイソレーションした部位をコントロールして体を動かすことを言います。

⑥正確性
エクサイズは体に負担のかからないように正確な方法で行い、自己流で間違った姿勢や動作には注意が必要です。

⑦流れ
スポーツのような瞬発的な力は必要がありませんが、流れるように効率良く行うことで、心身ともに改善していきます。

⑧統合
7つの要素はバラバラではなく、エクササイズごとにすべて統合します。

ピラティスで腰痛が改善する理由

ピラティスで腰痛が改善するのは、コアまたはパワーハウスの働きにあります。

コアは一般的なトレーニングでインナーマッスルと呼ばれるものと多く重なり、腰椎や骨盤の安定に影響を与えます。

このコアを構成する筋肉は4つあり、腹部を中心にして楕円形にような形になります。

1つ目は横隔膜で、肺の下でドーム型の形状をしており、呼吸の量を調整しコアの天井の役割があります。

2つ目は腹横筋で、ピラティスではとても重要な筋肉で、腹部の大きな筋肉の奥にありコアの前と横の壁を作っています。

3つ目は多裂筋で、関節や筋肉の位置を把握して、背骨と背骨を後ろでつなぎ安定させる働きがあります。

4つ目は複数の筋肉からなる骨盤底筋で、大事な臓器を底から支えていて、通常では排泄のコントロールなどをしています。

これらの筋肉以外にも意識して鍛えやすい、表面にある腹直筋、内外腹斜筋、脊柱起立筋は大きな動作を担当し、コアを形成する4つの筋肉と協調してエクササイズを行うのです。

もしコアの筋肉が上手に働かないと、骨盤や腰周りが安定しないので、関節や動かしている筋肉にも負担がかかります。

これは筋骨隆々のスポーツ選手で、表面の筋肉が大きく発達していても、腰痛に悩ませている原因の1つとなります。

コアの筋肉は表面からは分かりにくいですが、多裂筋は背骨の両横についているので、慢性腰痛の人とそうでない人を比べることができるでしょう。

背骨のボコボコした部分の横を見ると脊柱起立筋との間が凹んでいるか、背骨の棘の部分が飛び出しているように見えるのが分かります。

ピラティスでの腰痛を改善①

最初は寝た状態から始まるピラティス・エクササイズを行います。

これは骨盤をコアの筋肉を使用して操作し、腹圧を高めて腰椎を伸ばすように骨盤を少し前回転(骨盤を後ろに傾ける)させて安定させることを目的としています。

スポーツトレーニングでもタッグ・ポジションとして重要視され、バランスボールのような不安定な道具を利用して腰痛の予防や体幹の強化を行います。

ピラティスではインプリンティド(腰で床に押し付ける)と呼ばれ、主にコアのインナーマッスルと協調した腹直筋と外腹斜筋の働きで、骨盤を後ろに傾けるように操作します。

具体的には自然な状態では背骨が少し反っているのを、骨盤の操作で平らにしていく流れです。

この力が弱いと無理に腰が反られる事になり、腰痛の改善どころか悪化につながってしまうでしょう。

★インプリンティド・リリース

①仰向けで脚を閉じて膝と股関節を約90度曲げ、両手は手の平を上にして楽な位置に置きます。

②①の姿勢で息をゆっくり吸い込みます。

③息を吸い終わったらコアを働かせるように息を吐き、腹やお尻の筋肉を使って腰で床を押すようにします。

④腰で床を押すように動かす事ができたら、また②の姿勢に戻って③を3~5回程度行います。

このエクササイズは無理に腰を床に付けないことが重要で、コアをエンゲージさせた上で操作する筋肉を深く意識することが大切です。

ピラティスでの腰痛を改善②

今度はうつ伏せでのエクササイズで、コアのインナーマッスルを安全に働かせる方法を解説します。

このエクササイズでは腰痛の改善に必要な腰周りの安定と、ピラティスの重要なキーワードであるコアのエンゲージを理解する目的があります。

コアのエンゲージを意識的に行う方法は、コアを構成する腹横筋の働きによります。

腹横筋は腹の前と横をつなぎ腰側の部分に連続して存在しているため、この筋肉が動くとお腹を引っ込めます。

同時に他のコアを形成する横隔膜、骨盤底筋、多裂筋も動かすことになり、腹圧がかかりコアを活性化させましょう。

このエクササイズはお腹を引っ込めるというシンプルな動作ですが、腹横筋を上手に使用できないと、腹直筋や外腹斜筋が動いて上半身が倒れてお腹が引っ込みません。

実践する時はうつ伏せで行うと、腹横筋以外の筋肉が動くのを防ぎます。

★スタマック・リフト(胃を持ち上げる)

①うつ伏せになり足は肩幅に両腕は曲げて肘は肩の高さにとり、手の平と額は床に付けるような姿勢になります。

②息をゆっくり深く吸い込みます。

③今度はコアを意識し、今度はゆっくり息をお腹を引っ込めながら吐きます。

④②③を3~10回くらい無理のない範囲で行いましょう。

ピラティスでの腰痛を改善③

最後に紹介するピラティスのエクササイズは、インプリンティド・リリースとスタマック・リフトでコアの意識ができてから行います。

このエクササイズは腰痛の改善と、コアを意識して働かせたまま他の運動を組み合わせ、脊柱起立筋を強くします。

★スフィンクス・プレップ

①うつ伏せになり足は肩幅に両腕は曲げて肘は肩の高さにとり、手の平と額は床に付けるような姿勢になります。

②ゆっくり息を吸い終わったら、コアを意識して働きかけながら息を吐き、腕の力を使わず背中の筋肉で反るように上半身を持ち上げます。

③息を吸いながら①の位置に戻ります。

④①から③を1回として1~3回行います。

上半身を持ち上げる時には骨盤を床に軽く押し付けるようにして、肩や腕には余計な力を入れないことがコツです。

この方法に上達したら、肘を伸ばしながら上半身を起こします。

もし椎間板ヘルニアで腰痛がある方は、このエクササイズがリハビリ方法にもなる場合がありますが、自分では行わず専門家に指導を受けましょう。

ピラティスの実践

ピラティスは開発されてから現代まで進化し続けていますが、もっとも取り組みやすいのが紹介した床で行うエクササイズです。

エクササイズの方法や形が違っても、根本となる8つのキーワードに沿って実践すれば、心身とも改善していくのが分かるでしょう。

より本格的に行うには指導者について取り組むことが効果的です。

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