趣味で家族や身内の方にマッサージをしていたら、その磨いた腕前を他の方に試したい、職業として成り立たせたいという気持ちが出てくるのも当然かもしれませんね。実際、広意義のマッサージ業に携わる方は若い方だけでなく、中途で他業界から入る方も多いです。そんな新しい道に進むために必要なマッサージの資格にはどんな種類があるのか、どこを目指すのかの判断材料になればと思い、まとめてみます。
本当の意味でのマッサージの資格とは
マッサージという言葉が、一般的に浸透し解りやすいため、街中には「~マッサージ」の看板があふれています。どのお店で治療を受けたら良いのか、迷ってしまいますよね。
しかし、お店の看板に業務内容として、「マッサージ」と表記できるのは、「あん摩マッサージ指圧師」だけなのです。
国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の免許を取得し、保健所に開設届を受理された施術所でのみ、マッサージと謳えます。
いわゆる整体師やカイロプラクター等の方々は、民間資格と呼ばれる免許で、規定はとても曖昧なものも多く存在しています。自称治療家でも良いのです。開業も保健所への届け出や審査は不要です。極端な話、どなたでも明日から開業しようと思えば可能なのです。勿論、国家資格が無くても、とても優れた技術をお持ちの施術者は大勢いらっしゃいます。
反面、稚拙で未熟な方がいる事も、残念ながら否定できません。施術を受ける方にとっては、区別は難しいかも知れませんが、資格無し・保健所への届け出無しで開業しているお店が数多くある事を知っていただきたいです。
国家資格取得には険しい道のりが待っている
国家資格である、あん摩マッサージ指圧師の免許を取得する為には、専門学校などの養成コースで3年以上学ばないと、受験資格が得られません。国家試験の合格率は高率ですが、合格率を上げたい養成学校の思惑も多少あります。
現在養成学校が乱立しており、学校も過当競争の状態です。専門学校では、学期ごとに試験が実施され、落第もあります。また卒業試験で成績不振の生徒には、自校の合格率を上げるため国家試験を受験させない場合もあるようです。授業時間は、昼間と夜間を設けているところが多いので、ご自分のライフスタイルに合わせて選択されると、良いでしょう。
あはき師といって、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の三種類の免許を同時に取得できるコースもあります。治療の幅がとても広がりますので、時間と学費に余裕のある方におすすめです。
勉強の量は増えますが、それに見合った価値のある資格です。
あん摩マッサージ指圧師だけの単科コースの学校は、「指圧の心は母心」のフレーズでマスコミでも取り上げられた、浪越学園が有名ですね。歴史がありますし、教育体制もしっかりしています。卒業生の方々の技術もとても優れていますので、マッサージの施術に特に興味のある方にはおすすめします。
趣味から資格を目指すなら、リラクゼーションマッサージ
整体・カイロなどの手技療法に特に興味のある方や、治療家を目指したいが時間や学費にあまり余裕の無い方にとって、整体やカイロプラクティックの養成所は、学校選びの選択肢の一つになるでしょう。
短期や通信教育のものから、指導体制がしっかりした養成所まで、数多く存在し、選択に悩んでしまいますね。
しかし、一生の仕事としての技術を身につけたいのであれば、最低でも基礎医学から始まり、専門技術のカリキュラムが充実している、2年間以上の通学コースをおすすめします。
国家資格取得の為の専門学校等では、基礎医学を3年間以上学びます。初検時に、患者さんに不利益な判断をしない為に、解剖・生理・臨床医学などの勉強が必要なのです。
その上で、手技療法の理論と実技を習得し、研鑽していかなければなりません。
患者様の身体を通じて、経験を積ませて頂いて、初めて施術者として、独立開業が可能となります。人体に害を与えてはいけないと言う大前提は、整体師やカイロプラクターの方々も勿論同様です。
ぜひ短期や通信などの安易な養成所は、選択しないで下さいね。
趣味から始めるマッサージと似た資格を活かせる職業は
どのような手技療法も、正確な評価と的確な手技が施されれば、優れた効果が期待できます。
整体院は、主に体の歪みを直して、患者さんの不調や痛みを改善する治療院です。施術者は、整体師さんで自費治療になります。治療費は、一回五千円前後のところが多いですが、10分1000円くらいのクイックマッサージを施術している整体院もあります。
カイロプラクティック院は、主に関節の歪み・ズレを矯正し、症状を緩和させる治療院です。施術は、手技中心とドロップベッドなどを使用した治療があり、マッサージ(ほぐし・押圧と呼ぶ)を併用する場合もあります。治療費は、自由診療で一回五千円位からです。施術者は、カイロプラクターと呼ばれ、優れた技術で驚くような治療効果が見られる場合もあります。民間資格の方が殆どですが、海外で「D.C.」と呼ばれる資格を取得された施術者も少数いらっしゃいます。彼らは、6年制の大学を修了し、医師に準ずる海外の国家資格を有しており、手技療法家としてはトップクラスのレベルにあると言えます。もしカイロプラクティックに興味があるのでしたら、彼らのもとで学ぶことをおすすめします。ちなみに治療費は、数万円の場合があります。
趣味から仕事へは急がば回れ
はやく優れた手技を身につけたいと願う方にとって、基礎医学の授業はとても退屈かも知れません。しかし治療者には、それぞれ業務範囲というものが存在し、自らの業務範囲を超える患者さんは、必ずその専門家に託さなければなりません。その為に基礎医学の勉強と数多くの臨床経験が必要なのです。これは、治療するにあたり最も重要な事の一つで、収益の為だけに患者さんを抱え込むような事は、絶対あってはならないのです。
患者さんの利益が最優先されるのは当然ですし、最終的には己の治療院を守ることにもなります。優れた手技は、とても魅力的なものですが、それらは全て、緻密な理論と正確な評価、豊富な経験の上にのみ成立するのです。
整体師やカイロプラクターを目指す方々は、どうか基礎医学と実技指導のどちらも充実した養成所を選択してください。
短期のスクールを卒業後、すぐに臨床したり、ましてや開業などしないで下さい。特に実技は、決して患者さんで練習してはいけません。必ず実技指導のしっかりした養成所か、優れた治療家のもとで学んで下さいね。
リンパトレナージュ(マッサージ)
リンパドレナージュは、欧米で広く施されてきた、効果の高い治療法です。
停滞したリンパ液を抹消から中枢に向けて流し込んでやる事で、老廃物の排せつを促し、体液の循環を良くします。
マッサージを施術する際は、オイルを使用した方がスムーズに痛みなく行えます。また、アロマオイルを使う事で、西洋で歴史のあるハーブ療法の効果も期待できます。
以前日本では、症状に合わせて精油を使ったオイルマッサージは、なかなか受け入れて貰えませんでした。オイルのベタベタ感や、直接肌に触れる施術への抵抗感がその理由でしょう。しかし、エステサロンが普及し、オイルマッサージの有効性が実感されるようになった為、女性を中心に徐々に浸透していきました。同時にリンパの流れに注目した療法が、マスコミ等で評判となり、リンパドレナージュも表舞台に登場しました。
施術にあたっては、他の療法と同様に基礎医学の知識は必須ですし、技術の修練も不可欠です。
独学ではなく、必ず専門のスクールで学んで下さい。学校選びはとても重要ですので、十分に比較検討して下さい。努力を重ね、一流の施術者になれば、活躍の場はとても広範囲です。どうか正しい知識に基づく、優れた治療が施せるセラピストになって下さいね。
趣味から資格を目指す方へ
マッサージという言葉は安易に使わないようにしましょう。その上で、本当のマッサージの資格を取得したいのか、それ以外の民間資格が必要なのか、しっかりとご自身の未来像を見据えて学ぶようにしてください。どこを目指すにせよ、しっかりと基礎を学び経験を積まないと現場では役に立ちません。趣味のままにしておいても、周りの方を喜ばせられることは素晴らしいことだと思います。