マッサージ業界は技術を身に付ければ生涯働けるので、職に困らないと目指す方も多いと思います。実際のところ、マッサージと言ってもたくさんの種類があり、民間資格も色々あります。ですから、どういったマッサージ師を目指すかによって、取得にかかる費用や日数は全然違うと思います。ですから、今回は様々なマッサージ資格について、いろいろな角度からまとめてみたいと思います。
国家資格のマッサージ師
「マッサージ師」といっても色々な解釈が最近ではあるのですが、正式なものは「あん摩マッサージ指圧師」というもので、これは国家資格を必要とする職業です。
近年は整体師や、リラクゼーション系のサロンなどでもマッサージという言葉が使われています。
足つぼマッサージといったり、アロママッサージといったりです。
こういう多くのものは実は民間資格のものなのです。なので上記の国家資格のものとは別に考えなければなりません。
詳細は後述しますが、国家資格を取るためには、通常専門の養成学校で勉強し、その後国家試験を受けて合格しなければなりません。
多くの場合、鍼灸の資格も一緒に学び、取得する人が多いようです。
当然、あん摩マッサージ指圧の看板を出して仕事をするためには、この資格を持っている人でなければなりません。
一方、整体師、アロママッサージ、クイックマッサージといったものもありますが、これらは国家資格を有するものではありません。民間の学校や弟子入りなどによって学び、技術を取得します。
極端な話、あくまで民間の資格・認定ですから、それらがなくても開業することは法律上可能なのです。
民間資格のマッサージとは
民間の資格やその種類には、無数のものがあります。
近年増々増えているのではないでしょうか。
カイロプラクティックやオステオパシーといったものは、海外では国家資格として扱われているところもありますが、日本では認められていません。なので、たとえば「カイロプラクティック」と言っても、その定義は日本では明確ではないのです。
さらに極端に言えば、たとえばアメリカで認められているカイロプラクティックと全く別のものをやっていても、その人が「これが私のカイロプラクティックです」といえば、まかり通ってしまいかねないのです。
同じように、整体でも、気功でも、なんとかセラピーとか◯◯療法とか、◯◯流健康法とか、様々な仰々しい名前を、いくらでも自由につけてしまえるのが現状です。
ともかく、あん摩指圧マッサージ師、あるいは鍼灸師以外のものは、ほぼ国家資格を有しない、民間のものだと思って間違いないでしょう。
中には国家資格を有する人が、勉強のために民間のものも研究し、取り入れている場合もあります。
なお、国家資格のマッサージは保険が摘要されますが、民間のものには摘要されません。
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得するには
整体やリラクゼーションサロン、アロマテラピーなどのサロンなどで働きたいという方は、それらの養成所などでレッスンを受けるなり、既に開業している店舗のスタッフとなって研修を積むということもできます。
しかし、それらは決して治療、医療行為として行うことはできません。
ある意味グレーゾーンの部分を持っているとも言えます。
しかしマッサージ師の国家資格を持っている人は、そういうことを気にせずに、堂々と施術を行うことができます。当然、国家資格は信用を得るための重要な武器ともなります。あん摩マッサージ指圧師の国家資格になるためには、厚生労働省の認可を受けた学校で3年間学ばなければなりません。
それぞれ学校では、マッサージの技術と東洋医学はもちろん、西洋医学の基礎も学びます。
資格は単に信用を得るためのものではなく、しっかりとした技術と知識があることの証でなければなりません。
それらを学校のカリキュラムで身につけて、そして試験を受けてはじめて資格をもらえるのです。
学校にも様々な違い、校風などがあると思います。
体験をさせてもらえるところもありますので、まず事前にしっかりと調査して、いくつかの学校を比べておくことが重要です。
あん摩マッサージ指圧師になるとどこで働ける?
晴れてあん摩指圧マッサージ師の資格をとると、今度は進路の問題です。独立開業という方法ももちろんあるのですが、資格をとったばかりでいきなり開業というのはなかなか難しいのではないでしょうか。
卒業した学校などで斡旋してもらえるケースが多いようですが、様々な就職先もあります。
鍼灸マッサージ治療院、整骨院などで募集していることもあれば、宿泊施設等の派遣という働き手もあります。
病院でも、マッサージ師は求められています。ただし病院で勤務する場合は、別途認定資格が必要になります。
老人ホームや介護施設などでの仕事もあります。
実務経験を積むと、さらに勤務できる仕事の幅が広がります。
その一例が、介護支援専門員の受験資格が得られる事です。
高齢化社会の現代、特に老人介護の分野での需要は増えて行くものと思われます。
資格取得までには、学費と時間がかかるというのは逃れられない事実ですが、それでも、人の健康に携わる仕事であり、資格取得後には様々な分野で立派な仕事をしていくべき立場です。
経済的な面でももちろん、仕事のやりがい、社会的な役割という意味でも、決してそれらは無駄な投資ではなく、十分に元がとれるものと言っていいでしょう。
整体やリラクゼーション業界は基本的には資格不要
一方、「整体師」というのは、どこでも簡単に名乗れてしまうものであります。
そういう意味では、言葉は悪いですが、軽い気持でも始められてしまうものです。
全員がとはいいませんが、生半可な気持で、中途半端な知識や技術しかもたない人が、「整体師」を名乗って職業としているケースも多いと聞きます。
しかし本来なら、国家資格ではなく、あえて不安定とも言える民間のものを選ぶのであるならば、それだけ実は覚悟と研究が必要とされるものです。
そのためには、よほど優れた師のもとで、講習会に参加し続けたり、学校に通って技術を身につけなければなりません。
お客さんにも、その腕の善し悪しはなんとなく伝わってしまうものです。
いい施術ができなければ、通ってくれません。ともすると、悪い評判が出回ってしまうことさえあります。
民間療法であっても、医学の一般常識程度の知識ではなく、やはり専門家としての知識は必要です。
整体は医療とは違うからといって侮っていては、大変な目に遭ってしまいかねません。
むしろ、医師やマッサージ師の手に負えない部分を任せられるような存在でなければならない、とも言えるでしょう。
国家資格と民間資格はどちらが優れている?
整体の場合は、多くは骨格の歪みというものに着目して施術を行っていきます。
骨盤のズレや背骨のズレなどが体の不調の原因となっている、という考えのもと、それらを整えて行く施術を行うものです。
一方、マッサージというものは、筋肉を揉み解す技術です。そうすることによって、血行がよくなり、神経の働きも改善していき、その結果体の調子が良くなっていくようにする技術です。
このように、技術面で根本的な違いがあり、目的にも違いがあるのです。
エステサロンやリラクゼーション施設でもマッサージのようなものは行われていますが、これらも国家資格で認められているマッサージとは違うものなのです。
これらはあくまでもリラクゼーションが目的です。そういう意味では、骨格を矯正する整体とも別物ということになります。
しかし、やはり国家資格のマッサージと、民間資格の整体とは、またこれも別物ということになります。
整体は治療の一環として認められず、あくまでも位置づけとしてはリラクゼーション等の部類に入るのです。
あん摩指圧マッサージ師の場合は、医療との連携がスムーズです。
健康保険の摘要もその一つです。治療の一環として、マッサージが認められているのです。
整体やリラクゼーション系のマッサージでは、そのような目的で施術を行うことが法的に認められていません。
資格取得は目指すべき目標への通過点
国家資格にせよ、民間資格にせよ資格を取ったら終了ではありません。そこから、さらに経験を積んで技術を高めていく必要があります。
どちらもしっかりと学び、経験しさえすれば、その分野のエキスパートになれると思います。
自分のなりたい職業をしっかりと見据えて資格取得に向けて進んでいってください。どちらを選んだにせよ、頑張れば必ず成功します。