マラソンのように長距離を走れば軽い重いの差はあれど、だれでも足が筋肉痛になるはずです。筋肉痛がひどいと翌日歩くのがやっとで仕事にならないなんてこともあります。筋肉痛は放っておけば治るものですが、早期回復の方法を知っておけば、仕事への影響も減り、また練習再開も早められると思います。ですから今回は早期回復をするために筋肉痛のメカニズムとケアの方法をまとめてみました。
マラソンで足の筋肉痛はどうして起きるの?
長距離走をやっていると筋肉痛になりやすいのが困りものです。ましてや自分のペースで走っていたならともかく、全力疾走をするレースの後は高確率で足が痛みます。こういうのは、早く治って欲しいものですよね。
筋肉痛は走り慣れていない人も、プロの選手でもなる時はなります。レースを終えると動けなくなることも珍しくありません。痛むだけではなく、ずしりとした重いだるさも感じるので、動くことが面倒臭くなります。
これでは次の日、仕事や日常生活に支障を来す可能性があります。
ランニングの時、足に掛かる負荷は体重の3~4倍ほどと言われており、走る速度を上げるほど負担が増していくそうです。でも慣れてくると、筋トレを積み重ねた時と同じように、少しずつ筋肉痛になりにくい身体に変わっていきます。
日頃の練習よりもきつい負荷を掛ければその分だけ筋肉は強くなります。しかし繊維が傷付いて、一時的ですが筋肉痛の症状が現れることもあります。
マラソン後、足の筋肉痛を軽くするのは軽い運動
筋肉痛に効果的なのは、実はジョギングです。筋肉痛になっているのに走るのはきついかもしれませんが、マラソンの後のクールダウンと同じく、筋肉痛になりそうな動きやスポーツをしたら、ストレッチ程度で構わないので軽く身体を動かしましょう。すると翌日になっても痛みや疲れが残らないと言われています。
とある研究では、自転車エルゴメータを30秒の間、力一杯漕ぎ続けることを合計で3セット行いました。そして各セットの合間に「アイシング(疲れを取るために身体を冷やすことです)」「アイシング&ストレッチ」「アイシング&軽い運動」「座って休憩」の4つを行い、それぞれどういった結果になるかを比べてみたのです。すると最も筋肉痛を抑えられたのは、3番目の「アイシング&軽い運動」という結果が出ました(なお運動の内容は自転車を使った軽いものです)。
アイシングを抜きにしても、簡単な運動をするだけで筋肉痛は和らぐことが証明されたのです。走る速度は自分のペースで構いませんし、何でしたらウォーキングでも大丈夫です。
その場でじっとしているよりは、5分程度でいいので、少しでも身体を動かすことをおすすめします。
足の筋肉痛の回復を早めるためにストレッチ
次に大切なのは、ストレッチです。マラソンやランニングをした後は、筋肉が収縮を繰り返した結果、緩まずに固まってしまうような状態になります。
そのまま何もしないと、筋肉は硬くなるだけですから、元の柔らかい状態に戻してあげる必要があります。
ストレッチをすると、筋肉の血液の流れが良くなり、その分疲労回復も早まるのです。
走った後は下半身のストレッチは当たり前ですが、姿勢を維持したり、腕を振り続けたので、上半身、特に肩甲骨周りのストレッチも十分に行うようにしてください。
反動をつけずゆっくり、長く伸ばしましょう。
各部30秒程度、伸ばすと良いでしょう。
こんな体験談があります。
100kmマラソンを走った後、ボランティアの方に片足だけストレッチをしてもらったそうです。
その結果、どうなったかというと、帰り道、片足だけを引きずりながら大変な思いをしながら帰るはめになったようです。
ストレッチをしなかった足の痛みを10とすると、ストレッチをした足は3か4くらいの感覚だったと言っていました。程よく筋肉が張っているかな!?という程度です。
つまり、マラソン後には、何もしないよりストレッチをした方が、レース直後、そして翌日の筋肉痛軽減につながるということです。
疲労回復のステップ
マラソン後の疲れを取る方法は色々ありますが、今回はそのうちのひとつをご紹介します。
まずゴールしたら、そのまま速度を落としつつ10分ほど走り続け、次にストレッチを15分行います。
家やホテルに戻ってからは氷水などで身体を冷やしましょう。そしてお風呂に肩まで浸かり、また20分ほどストレッチをしてから寝ます(横になった状態で出来るものが良いでしょう)。
次の日も軽いジョギングかウォーキングとストレッチをセットで行いますが、時間は30分くらいに延ばします。
ここから一週間ほど同じメニューを続けます。
オーバーワークになりすぎないように気を付けて走りましょう。
ストレッチは昼休みや電車を待っている時など、空いている時間と場所を見つけてこまめにやりましょう。
マラソンをするなら骨体操も取り入れるとなお良いですね。
4日目にもなると、疲れや痛みが薄れていくのが分かります。
この辺りから時間や距離を延ばしていきますが、スピードは抑えます。
無理そうならウォーキングやエアロバイクに変更しましょう。
行きつけのマッサージ店などがあればそこへ通うのも悪くありません。
二週間目に突入すると、今までのものとは違う、本格的な疲れが襲ってきます。
人によってはこれに気付かない場合もあるため、適度に様子を見ながら行って下さい。
痛みをなるべく減らし、早く回復出来るように、レースの後は早めに適切な処置を施しましょう。
マラソン後の食事が大切
長距離を走った後は必ず水分と糖分、出来れば塩分も摂って下さい。
大量の汗をかき、体力も失っているので、何も口にしたくないかもしれませんが、そんなに重いものを飲み食いする必要はありません。
不足した分をすぐに取り戻せるスポーツドリンクや、チョコレートなどの甘味で十分です。
便利なのは果汁100%のジュースです。甘くて栄養も豊富に含んでいるので、体力回復にはもってこいの飲み物です。
肉体疲労と気疲れからなのか、大会が終わると人によっては体調を崩してしまうことがあるようです。そんな時は糖分、タンパク質、ビタミン類を摂りましょう。ご飯か麺類をメインに据えて、魚や豆類をおかずにします。デザートに果物があるとなお良いですね。
メニューの例を挙げるとすれば「おかゆ」「豚汁」「魚のフライ」「温野菜のサラダ」「果物入りヨーグルト」でしょうか。栄養面も申し分なく、胃や腸にも優しいので、身体に負担は掛かりません。食欲がなくても、次の大会に備えて、一口でもいいので食べておきましょう。何も食べないと、胃腸が飲食物を受け付けてくれなくなります。
マラソンをするなら、ウエアやシューズにこだわりましょう
フルマラソン初挑戦で、さらに完走を目標にするなら軽く作られているシューズを履いてはいけません。
速度を出しやすくするために、それ以外の機能をほとんど削っているのです。順位にこだわっていたり、長距離を走り慣れている人ならともかく、筋力も姿勢も整っていない初心者が履くと足に大きな負担が掛かり、走れなくなってしまいます。
スピードも重要なポイントですが、少しでも負担を減らせるものを使うことをおすすめします。
もうひとつ、ランニングウェアも大事です。よく綿製のシャツで走る人がいますが、これは汗を吸い取ってくれるものの、なかなか乾いてくれません。さらに濡れることで重みが増し、風を浴びることでどんどん身体が冷えていくというデメリットがあります。ほとんどのウェアはポリエステルで作られています。これは湿気を吸い取り、乾くのも早いという優れた素材です。また汗が溜まるところや、風を通したいところはメッシュになっていたりします。難点はそんなに暖かくないため、涼しい日には向いていません。
ウェアによっては着心地や動きやすさを上げるため、着る人に合わせた裁断をしたり、季節や用途に適した機能を備えているといったこだわりを見せてくれます。
マラソンに始めてチャレンジする方へ
始めてフルマラソンに出場となると、やはり完走が目標になるのでしょうか。
そのためにたくさん走り込みもされたことでしょう。
おそらく、しっかりと練習を積んできていれば、突然の怪我などが起こらない限り完走できると思います。
しかし、初めてのフルマラソンは完走しておしまいではありません。そのあとのケアを怠らないようにしてください。そうしないと完走した余韻に浸ることなく苦しい日が何日と続いてしまうと思います。この記事を参考に完走したあとも、体のことをしっかりとケアしてあげてくださいね。