手足の痺れを改善する薬メチコバールに先発医薬品はない?!

最終更新日:2024/02/21

多種多様な薬が世の中に出ていて、病気で苦しむ方達にはなくてはならないものですね。メチコバールは障害を受けた神経を修復し、痺れや痛みなどの症状を改善させる薬です。普通は先発医薬品があり、その後にジェネリック医薬品が発売されます。
しかし、全ての薬がそうでもありません。
世の中には先発医薬品が存在しない薬もあります。
今回は先発医薬品が存在しないメチコバール薬について説明します。

メチコバールに先発医薬品がない理由

近年ジェネリック医薬品を利用する方が増えています。

ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れたあとに発売されるお薬のことで、新薬と変わらぬ効き目がありながら、比較的安価なお薬のことです。

つまり、ジェネリック医薬品にはそれぞれ元となる先発医薬品が存在するのです。

しかしこれには例外があります。

メチコバールがそのひとつです。

メチコバールは商品名であり、この成分名はメコバラミンといいます。

このメチコバールは、メコバラミン製剤の先発医薬品にもかかわらずジェネリック医薬品として扱われています。

ある理由によって先発医薬品になりそびれた製品なのです。

メチコバールは、水銀などの重金属と接触することによってメチル水銀を生み出すかもしれないと考えられていました。

メチル水銀とは水俣病の主な原因とされている成分です。

新薬の開発の際、メチコバールが水銀と一緒に存在してもメチル水銀が発生しないことを証明する必要が出てきました。

メチコバールの場合、この証明に1年以上かかり、発売時期が大幅に遅れることになりました。

その結果、メチコバールは先発医薬品という位置づけであるにもかかわらず、その他のジェネリック医薬品と同じ時期に発売され、ジェネリック医薬品としての扱いを受けるようになりました。

メチコバールはその他のメコバラミン製剤よりも高価ですが、このお薬の生まれる経緯を知るとそれも納得ですね。

先発医薬品がないメチコバールとは?

メチコバールは、末梢性神経障害に承認を得た医療用医薬品です。

ダメージ受けた神経を修復し、痺れや痛みなどの症状を改善させます。

血液・骨髄中存在型の補酵素型ビタミンB12を有効成分とし、このビタミンの名前がメコバラミンであることからメチコバールと名付けられました。

そのため、メチコバールの一般名はメコバラミン(Mecobalamin)であり、メチコバールのジェリック医薬品の名称は、メコバラミン「(販売企業名)」となっています。

生まれる経緯がほとんど先発医薬品であるため、名称もこのようになっているといえます。

メコバラミンは、神経組織への移行性が他のB12製剤よりも優れており、高い効果が期待されています。

実際に糖尿病性神経障害や多発性神経炎などの末梢神経障害への有用性が確立されています。

痺れや痛み、麻痺に対しては特に高い効果を発揮します。

保管の際の注意点としては、光によって分解する性質を持つため、光の当たらない場所で保管すること。

また湿気により白い錠剤が赤く変色する可能性があるので、湿気の少ない場所で保管してください。

冷蔵庫などには入れずに常温で保存してください。

薬剤の使用期限は3年とされています。

先発医薬品がないメチコバールにより効果が期待できる症状①

メチコバールは他のB12製剤よりも、神経組織に対する移行性にとても優れているという特徴があります。

メチコバールを服用するとメチル基転移反応が起こり、核酸や蛋白質、脂質代謝が促されることで神経組織が修復されていきます。

改善がみられた疾患としては、糖尿病性神経障害、多発神経炎などによる末梢性神経障害が報告されています。

特に痺れや痛み、麻痺に対して改善効果が現れます。

同じ姿勢で長時間働くデスクワークや、無理な体勢をとったり、肩や腰に負担のかかる姿勢で作業することで肩や腰の筋肉が固まってしまったり、神経が傷ついたりして肩こりや腰痛が引き起こされます。

メチコバールは神経を修復する作用があるので、神経の損傷が原因で現れた肩こりや腰痛には高い効果があります。

肩こりや腰痛に悩まされている方はメチコバールやメコバラミンを含むお薬を探して試してみるのも良いかもしれません。

一度薬剤師さんに相談してみると良いでしょう。

また眩暈症と診断された患者さんに対してメチコバールを投与したところ、悪心や嘔吐、耳閉感、回転感、浮遊感といった症状に対して著しい改善効果が得られたとの報告がなされています。

また、この報告では2週間投与した場合と4週間投与した場合の比較がされており、4週間投与を続けた場合の方がより高い効果が得られたとのことでした。

ただし中には副作用としてめまいが悪化してしまった方もおり、症状の程度によっては別の薬剤の併用をしなければならなかったとの報告もあるので注意が必要です。

先発医薬品がないメチコバールにより効果が期待できる症状②

メチコバールの神経修復作用により、突発性難聴や耳鳴りに効果があるとされています。
突発性難聴の患者さんに、ステロイド漸減経口投与に併用して、メチコバール(注射剤)を電解質液ATPと共に点滴静注したところ、約90%の方で改善効果があったということです。

また、耳鳴りに関しても有効率が約95%であったと報告されています。

その他、突然激しいめまいに襲われるメニエール病にも効果があるとされています。

メニエール病による耳閉感や不動感、悪心や嘔吐といった症状に対しても大きな改善効果が得られたという報告がなされています。

メニエール病はストレスや過労が原因と考えられており、国の難病指定もされています。
メチコバールにより症状が緩和したとしても、基本的に完治が困難な病気とされています。

またメニエール病による症状は、他の疾患でも生じるものが多く、診断は専門医でなければ難しいとされています。

決して自己判断せず、必ず専門医による診察を受けるようにしてください。

先発医薬品がないメチコバールにより効果が期待できる症状③

メチコバールの神経修復作用により、味覚障害の治療にも効果があると報告されています。

味覚障害とは何らかの理由により食べ物の味がわからなくなる疾患です。

舌の上で知覚した味の情報が脳へ伝わる経路のどこかで障害が生じている事が原因とされています。

ただ一般的には亜鉛欠乏が原因とされてるので、メチコバール服用のみの治療では不十分と考えられます。

疑いのある場合は、自己判断でせず耳鼻咽喉科など専門医の診断を受けてください。

嗅覚障害とは、何らかの理由によりにおいが正確にわからなくなる疾患です。

症状としては、嗅覚が過敏になったり、逆に嗅覚機能が低下することもありますし、嗅覚錯誤(異臭症)などを生じることもあります。

その大半は嗅覚機能低下です。

これは呼吸性嗅覚障害、末梢神経性嗅覚障害、中枢神経性嗅覚障害の3つに分けることが出来ます。

メチコバールにはダメージを受けた神経を修復する効果があるため、このような神経障害が原因の疾患に効果があるものと考えられています。

実際に嗅覚障害がある患者さんでメチコバールを処方された方も多いかと思います。

ただ、症状の改善効果が表れるまで時間がかかることも多く、半年ほど経過しても改善が見られない場合もあります。

その際は他の治療法を検討する必要がありますので、専門医の診断を受けるようにしてください。

先発医薬品がないメチコバールの副作用

薬には必ずといっていいほど気になる副作用がありますが、メチコバールの副作用についてはどうなのでしょうか?

副作用発現率はとても低く1%未満(15,180例中146例)というデータがあります。

この数値は、1978年4月から1983年3月まで行われていた臨床調査成績に基づくものだそうです。

また、副作用の発現率を年齢別にみると、14歳以下で1.01%、15歳~64歳で0.94%、65歳以上で1.06%となっています。

高齢者でも1%を少し上回るくらいですので、メチコバールの副作用発現率は全体的に低いと言えるでしょう。

その約1%のうち、一番多いのは消化器系の副作用で、その発現率は0.9%となっています。
主な症状としては、食欲不振(0.9%)、悪心・嘔吐(0.14%)、胃腸障害(0.25%)、軟便・下痢(0.11%)などです。

またその他の0.1%未満の副作用として口内炎、口の荒れ、便秘、腹部膨満感が報告されています。

発疹(0.09%)や痒感(0.01%)が現れることもあります。

他に、頭痛(0.02%)、口渇・口周囲の違和感(0.02%)、顔面紅潮(0.02%)、顔面浮腫(0.01%)、上肢痺れ感(0.01%)、関節痛(0.01%)、倦怠感(0.01%)が報告されています。

心悸亢進、血圧上昇といった循環器系の副作用もありますが、いずれも発現率は極わずかです。

メチコバールの効果や副作用を知って上手に付き合おう

いかがでしたか?

メチコバールは肩こりやめまい、耳鳴りなど様々な効果を示す薬です

メチコバールには、先発品がなくジェネリックしかない理由が分かりましたね。

この薬がどういったものか分からずに不安を感じているだけでなく、メチコバールの効果や副作用を知って上手に付き合いましょう!

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