避妊だけではなく、生理中の苦痛を和らげる効果や子宮内膜症の治療にも有効な低用量ピルのルナベル!
多くの女性が活用していますが、2013年12月に新聞で死亡例が取り上げられました!
それ以来、ピルの副作用による血栓症も注目されつつありますが、まだまだ認知されていないのが現状のようです。
今回は、ルナベルの副作用で血栓症になるのかと、検査にかかる費用を調べてみました!
ルナベルとは?
ルナベルは、月経困難症の治療薬です。
生理痛を和らげる効果があります。
ルナベルの特徴
現在、LD(低用量)ULD(超低用量)の2種が販売されています。
より患者さんに合った薬を選ぶことが出来るよう、あとからULDが開発されました。
副作用の発現を減らし、QOL(生活の質)を向上させるためです。
ルナベル配合上の主成分は2種のホルモン、ノルエチステロンやエチニルエストラジオールで、LDとULDの違いはこのうちエチニルエストラジオールの含有量の違いです。
通常はULDを用いますが、不正出血等がひどい場合LDを使う事があります。
作用と効果
低用量ピルではありますが、避妊目的の使用はできません。
月経前症候群では、月経に伴う腹痛や腰痛、イライラ、頭痛や吐き気などの症状により仕事や日常生活に支障をきたします。
ルナベルの作用で排卵を抑え、卵巣や子宮を休ませることでこれらの症状の軽減を図るものです。
子宮内膜症の悪化を防ぐ効果もあります。
しかしこれは対症療法であり、原疾患を治療するわけではありません。
配合されているノルエチステロンによる不正出血をエチニルエストラジオールが軽減してくれる一方、血栓症や乳がんのリスク上昇に注意が必要です。
必ず検査を受け、発症していないか調べるようにしてください。
血栓症ってルナベルの副作用なの?
ルナベルなどのピルは、通常ですと安全に使用できる薬ですが、ごくまれに血栓症という重大な副作用を起こすことがあります。
新聞などでも報道され一般的にも認知度が上がり、心配だという声を聞く機会が増えました。
血栓症の起きる可能性は非常に低いものですが、いったん発症してしまうと命に関わる副作用ですので、常にそのことを念頭に置いて使用する必要があります。
重篤な血栓症の予防のポイントとしては
1)高リスクの方は服用しないか、慎重に服用する
2)リスクを下げるような生活を心がける
3)早期発見に努める
喫煙者、肥満、片頭痛、コントロール不良の高血圧、40歳以上の方は注意が血栓症リスクが高く、注意が必要です。
禁煙をしてください。
喫煙者は、非喫煙者に比べると、なんと150倍も血栓症になりやすいとされています。
ピルを継続服用する予定であれば、禁煙は必須になってくるでしょう。
その他にも体重の管理、脱水の予防に水分摂取を積極的に行う、長時間同じ姿勢を取らない事、などを心がけてください。
血栓症は、血液検査や下肢静脈エコー検査などにより発見できます。
しかし静脈血栓症を早期発見するのは簡単なことではありません。
ですので初期症状を見逃さないことが大切です。
ピルを服用している方は用量に関わらず、激しい頭痛、胸痛や息苦しさ、持続する腹痛、ふくらはぎの痛み、かすみ目や見えにくさといった症状が出ていないか常に気を付けるようにしてください。
上記症状があれば、一度検査を受けてみてください。
ルナベルの副作用の血栓症検査をする前に血栓症を知っておこう
血栓症とは、血管内に血栓(血の塊)ができ、様々な臓器で血流を遮る病気です。
血管内で凝血(血栓)が生じたのち、形成された部位から遊離して血管内を流れ塞栓となります。
血栓形成と、引き続いて発症する塞栓症を合わせて血栓塞栓症と呼びます。
血管内腔面積の75%以上を血栓が閉める場合、組織に供給される血流量が低下します。
そして酸素供給の低下(低酸素症)と代謝産物である乳酸の蓄積による症状が現れます。
進行して90%以上が閉塞すると完全に酸素喪失状態となります。
その結果、細胞が死んでしまい、梗塞となります。
ルナベルの服用により静脈血栓症だけでなく心筋梗塞や脳梗塞も発症する可能性があります。
そして発症確率は年齢や喫煙歴、血圧などの患者背景によって差があり、2000年の日本産婦人科学会雑誌に掲載されました。
ルナベルなどのピルによる血栓症の可能性は非常に低いものではありますが、副作用のない薬はありません。
高リスクの方は、可能であれば服用は避けた方が良いでしょう。
しかし現在服用されている方は、むやみに中止しない方が良い事もあります。
日本産婦人科学会は、いったん中止した後再開すると、血栓症の発生頻度が上がるとの見解を示しています。
統計データの早期発表を望みます。
ルナベルの副作用の血栓症検査にはどんなものがある?
超音波による検査が最も簡単に行えます。
ただし、血栓ができている部位を特定するにはこれだけでは難しく、追加で造影検査が必要になってきます。
これにより、出血部の他に、脳の細い血管にラクナと呼ばれる小さな血栓が詰まっている様子まで見ることが出来ます。
脳ドックなどでもこれらの検査は受けることが可能です。
血栓の有無を確認してみるのもいいかもしれません。
また、血液検査でも検査を行う事が可能です。
血栓症を発症している場合、Dダイマーと呼ばれる物質が血液中に検出されます。
Dダイマーとは、血栓症を発症してから数日たったころにピークとなり、約1週間後には再び正常値に戻ります。
ですので、Dダイマーが上昇していく過程では、少し前に血栓が生成されたことを意味し、逆に減少していくようであれば血栓が小さくなっていることを意味します。
ですので血栓溶解療法の指標ともなります。
これらの検査は、内科でも行う事が可能です。
ルナベルを飲んでいて不安な方は念のため、受診前に検査を受けられるか電話などで確認をしておきましょう。
血栓症検査にかかる費用は?
ルナベルなどのピルは、別名「経口避妊薬」とも言います。
その名の通り避妊に用いられるのですが、その他にもさまざまなメリットがあり、生理が軽くなる、周期が安定化さする、女性に多い腫瘍リスクが低下するという事もあります。
このピルの服用に際しては以前は検査が必要でした。
しかし現在は血液検査などは必ずしも必要ではなく、問診や血圧測定で血栓症リスクが高いと判断された場合に実施されるようです。
この場合保険が通らないため、おおよそ3,000円~5,000円位を自費で支払う必要があります。
Q.ピル採血(血液検査)の費用はどのくらい?
A.これらの検査は自費で、また血液検査の基準や項目もまちまちなため、クリニックによって差があります。
一般的な血液学的検査や血液生化学検査であれば1,300円~1,500円程度であることが多いです。
しかしここからさらに詳しく血栓症に関連して血液凝固系検査を行うと3,500円程度になります。
この3種類をすべて行うと、だいたい5,000円程度が費用の目安となるでしょう。
費用について、最低限かかる金額、オプションで必要になる金額、最大必要となる金額の目安を事前にクリニックに問い合せると安心です。
エコーであれば、保険適用の場合3割負担で1,050円程度となります。
脳ドッグであれば保険適用外となり、医療機関によって違いますがおおむね4~9万円となります。
血栓症の症状は部位によって異なる!
ルナベルを服用されている方は、本当にわずかな確率ですが下記のような血栓症のリスクがありますので、心配であれば必ず検査を受けるようにしてください。
心臓の周囲の血管(冠動脈)に血栓ができた場合
心臓に血液を運ぶ動脈である冠動脈に血栓ができると、心臓に酸素も栄養も送る事が出来なくなり、心筋梗塞となります。
心臓の細胞が死んでしまうのです。
発症直後に胸やその周囲に痛みが走り、冷や汗や時として吐き気などに襲われます。
心臓のポンプ機能が落ちることによって心不全に移行することもあります。
脳の血管に血栓ができた場合
脳の細い血管に血栓が詰まった場合。これを脳梗塞と呼びます。
症状は脳のどの部分に血栓ができたかによって違いますが、体に麻痺が起きたり、物忘れが起こることがあります。
また、一過性脳虚血発作が起こる場合もあります。
脳梗塞の前兆とされるのですが、一過性の塞栓のため、しばらくすると症状が治まります。
深部静脈血栓症の場合
エコノミークラス症候群という言葉が有名ですが、飛行機の長時間のフライトなどで起こる症状です。
下肢静脈のうっ滞により脚に血栓ができ、初期症状としてむくみなどが現れます。
これは通常は片足のみで、片側だけがむくんでいるように見えます。
症状は多彩で、寝ている時には症状は軽く、立ったり座ったりしていると症状が起きたり、歩行時のももの裏の痛みや皮膚の色の悪化という症状として現れることもあります。
同じ姿勢で長時間過ごすことで脚の血流が滞って血栓ができて肺に到達し、肺の血管をふさぐ事があります。
これを肺血栓塞栓症と呼びます。
ルナベルを服用するなら血栓症検査をしよう!
血栓症とは血の塊によって血管が閉塞することで生じ、身体中に張り巡らされた血管のどの部位が閉塞したのかによって多彩な症状が現れます。
時として、命に関わるとても重要な病気です!
ルナベルの副作用で血栓症になるリスクが高まる場合もありますので、検査は必ず受けるようにしましょう!
血栓は、早期発見、治療する事がとても重要なのです!