レキソタンは、強い抗不安作用を持っています。
神経症などを患う方にとって、とても頼れる薬ですが、レキソタンは効果が強い分、副作用もやや多い傾向があります。
注意すべき副作用の1つに「離脱症状」があります。
頭痛が起きるのは、もしかして離脱症状なの!?
今回、そんなレキソタンとレキソタン離脱症状についてと、離脱症状が生じてしまった際の対処法などを紹介させて頂きます。
レキソタンとは?
(1)レキソタンの作用
筋弛緩作用、鎮静作用、抗けいれん作用、催眠作用、自律神経調整作用等です。
緊張や不安、焦りを鎮め、眠りを誘い、けいれんを抑え、意欲低下や気持ちが落ち込む等の抑うつ状態を改善し、自律神経を整えます。
医療現場で、神経症(強迫神経症、不安神経症、うつ状態、心気症、解離性障害、離人症等)、心身症、自律神経失調症や、更年期障害、頸肩腕症候群、腰痛症等が原因の精神的な緊張、不安、焦燥、睡眠障害、うつ状態等に使われます。
また手術前後、麻酔施術前等の緊張・不安の緩和にも使われます。
離脱症状は頭痛等です。
(2)ベンゾジアゼピン系の種類
ベンゾジアゼピン系製剤は多種類あり、特徴が違います。
①クロルジアゼポキシド製剤
効果は穏やかで確実、持続性があります。
②ジアゼパム製剤
クロルジアゼポキシド製剤より強力で、緊張・不安を和らげ、自律神経の安定、眠気を誘い、過緊張の筋肉を緩め、けいれんを抑えます。
副作用は眠気以外はあまりありません。
③クロラゼプ酸2カリウム製剤
ジアゼパム製剤より効果が強く、うつ状態に早く長時間効果が続きます。
④ロラゼパム製剤
少量でも効きます。
筋弛緩作用は弱く筋肉の衰えた高齢の方にも安心で、長期使用でも肝臓の負担がなく耐性もありません。
⑤クロキサゾラム製剤
歩行運動失調などの副作用は少ないが、作用は強く、特に高齢者は医師の指示を厳守しましょう。
頭痛などのレキソタンの副作用は?
(1)レキソタンの副作用としての過敏症状
過敏症状(湿疹やじんましんのような発疹、発熱等のアレルギー症状)等の過敏状態があれば、服用を止めて、病院を受診してください。
(2)その他の副作用
薬剤により多少の差はありますが、めまい、眠気、フラツキ、不眠、けいれん、頭痛、失禁、目のかゆみ・かすみ、眼瞼けいれん(目が乾く、まぶしさ、眼を開けていられない等)、口や喉の渇き、舌がもつれて話しにくい、手指が震える、水分滞留、言語障害、黄疸、倦怠感、脱力感、多幸感(訳もなく幸せな感じになる)、興奮、せん妄(幻覚や妄想のために騒ぐこと)、動悸、血圧低下、頻脈(拍動が激しくなること)、吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部の不快感、便秘等の胃腸障害があります。頭痛は離脱症状としても現れます。
(3)エチゾラム製剤の副作用
間質性肺炎(炎症や損傷で肺胞壁が厚く硬くなりガス交換に支障が出る)、横紋筋融解症(横紋筋細胞が融解し筋細胞内の成分が血中に流出する症状)、炭酸ガスナルコーシス(急激な高炭酸ガス血症により中枢神経や呼吸中枢が抑制されて生じる中枢神経障害や意識障害)、呼吸抑制、女性化乳房、乳汁分泌(乳首から乳汁が出る)、悪性症候群(筋硬直、高熱、発汗、ふるえ、よだれ、頻脈、骨格筋障害、意識障害等)の症状があり、必ず主治医に伝えて対処する必要があります。
レキソタンの離脱症状で頭痛も起きる?
(1)レキソタンの離脱症状
全てのベンゾジアゼピン系の抗不安薬には離脱症状がみられます。
離脱症状とは、抗不安薬の服用を止めたり減薬した時の多様な症状のことであり、抗不安薬の血中濃度が急変することに体が適応できないために起こります。
抗不安薬を大量にあるいは長期間継続すると、脳が「この物質は毎日体に入ってくる」と認識するようになり、その状態を前提として体の働きを調整します。
もしその薬を服用しないと、体の働きを調整できなくなりバランスを崩してしまいます。
この依存的な状態の時に急に抗不安薬を中断・減薬した時の状態が離脱症状なのです。
(2)離脱症状の種類
イライラ、落ち着かない、緊張等の精神症状、肩こり、頭痛、悪心、吐き気、震え、発汗、動悸等の身体症状等があります。
離脱症状は抗不安薬を減薬する時でも、医師の指示通りに服薬すれば心配はいりません。
大量に長期間服薬を継続していると発現しやすいので、抗不安薬については医師とよく話し合いながら、処方通りの量を服用しましょう。
レキソタンで頭痛などの離脱症状を起こさない為には①
(1)レキソタンの頭痛等の離脱症状を防ぐ
ここでは離脱症状を防ぐ方法をお伝えします。
離脱症状の起こりやすさは、半減期が短い程、効果が強い程、量が多い程、服用期間が長い程、生じやすいのです。
離脱症状を起こさないようにするには、この状態と反対であれば良いということになります。
半減期が長い薬剤に変える、効果の弱い薬にする、量を減らす、服用の期間を短くする等の処置をとることで離脱症状を抑えることは可能で、以下に詳しく説明します。
(2)半減期が長い薬剤に変える
元々、レキソタンの半減期は20時間程度で長い方なので、変更する必要性は低いでしょう。
しかし更に離脱症状を抑えたい場合は、半減期がもっと長い抗不安薬も選択肢に入ってきます。
一般的に半減期が短い薬剤は、「すぐに効く」と患者さんに人気があります。
しかしそれは依存になりやすく、さらに離脱症状も起こしやすいのです。
半減期が長く、少しずつ効果が表れるお薬ほど、効果を感じにくくはなりますが、その分、依存も形成もされにくくなるのです。
レキソタンで頭痛などの離脱症状を起こさない為には②
(3) 効果の弱い薬にする
頭痛等の離脱症状は効果の弱い薬剤の方が出にくいものです。
効果が弱いということは、身体への影響も少なく、離脱時の反動も少ないのです。
そのため病気の症状が改善されるに従い、次第に効果の穏やかな処方に変えていくことが、離脱症状の予防につながります。
抗不安作用の強いレキソタンを、何となく長期間飲み続けることはあまり良いことではありません。
病気の経過を見極め、効果の弱い薬剤へと切り替えることができるかどうか、主治医と共に考えていく必要があります。
(4)量を減らす、服用の期間を短くする
薬の量が多めで飲んでいる期間が長いと、依存形成や離脱症状の可能性が高まるので、薬の量を減らすことを定期的に考えなければなりません。
専門家の中には「最短だと1か月で依存が形成されてしまう」と指摘する人もいるので、1月に2回程度は減薬の可能性を探った方が良いでしょう。
ただし、まだ服薬が必要と判断された時は、現状維持で良いのですが、「いつものお薬で・・」で済ませてしまわないように気を付けましょう。
辛いレキソタンの離脱症状の対処法
(1)離脱症状への対処
レキソタンは効果が強い分だけ、減薬時に頭痛等の離脱症状がひどく出る患者さんも時々います。
もしレキソタンを減量する時に離脱症状が出た場合はどう対処するのでしょう。
離脱症状が出てしまったら、「量を減らしたままで様子を見る」か「減薬する前の量に戻す」かの二者択一となります。
その場合、「現れた離脱症状に患者さんがどの程度耐えられるか」というのが判断の基準となります。
(2)離脱症状のピーク
人間の体には新しい環境への適応力が備わっていますので、減薬した量のままでも時間がたてば慣れていきます。
それまで我慢できるのであればそのままが良いのです。
個人差はあるものの、1週間程で、離脱症状のピークは過ぎ、少しずつ症状は和らいできます。
ただし中には3か月も離脱症状に苦しむ方もいらっしゃいますので、無理な我慢は禁物です。
離脱症状が軽く、様子を見ていられるのであれば、症状が治まるまで待つのが良いのです。
(3)元に戻す
もう一つの選択肢は「減薬する前の量に戻す」です。
離脱症状がひどく、我慢しづらいのであれば、元の薬量に戻します。
離脱症状は減薬が原因なので、当然のごとく、薬量を戻せば離脱症状はなくなります。
元の量に戻したら、1~2週間はその量を維持して、離脱症状の変化に注目していて下さい。
その後に、再び減薬に挑戦していきましょう。
離脱症状は焦らずに克服しよう!
レキソタンを長く服用していると、身体にあるのがあたり前になっています。
薬が身体になれている状態で薬がなくなると、イライラや落ち込みといった精神症状、頭痛や肩こりなどの身体症状、吐き気や発汗などの自律神経症状が認められます。
そんな辛い離脱症状がでてしまったら、慣れるまで耐えるか、元の量に戻すかなのです。
しかし、決して焦らずに、離脱症状を克服しましょう!