不安な事があると動悸や涙・・不安障害の症状と原因と治療法

最終更新日:2024/01/24

不安は誰にでもある感情ですよね。
しかし、過度に不安状態になってしまうと日常生活にも支障が出てしまいますよね。
不安を感じた時に、動悸・息切れ・さらには涙まで出てきて、自分の体はおかしいの?と心配になってしますよね。
その症状は、「不安障害」心の病気かもしれません。
今回は不安障害について、ご紹介していきたいと思います。

不安障害とは

不安障害というのは、過剰な不安、恐怖によって、動悸が生じ、涙が止まらなくなる、などの症状が現れ生活に支障をきたすようになる疾患の総称になります。

不安障害とは大きな概念であり、不安障害の中にいくつかの疾患が含まれています。

例を挙げると、 パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害、恐怖症(閉所恐怖症、高所恐怖症など)があります。

「私は不安障害なのか、それともパニック障害なのか?」という質問に対する回答は「不安障害のうちのパニック障害」ということになります。

不安障害でもありパニック障害でもある、ということです。

不安障害には「〜不安障害」と「〜恐怖症」という疾患があり、不安だけではなく恐怖も対象となっています。

この「不安」と「恐怖」には明確な違いがあります。

両者は一見すると同じような意味の用語ですが、不安は漠然とした特定の対象がない恐れの感情であるのに対し、恐怖は明確な外的対象のある恐れの感情を意味しています。

また、障害という言葉は、重篤で治らない疾患などと誤解されやすいことから、近年では不安症と呼ぶことが推奨されています。

発作が突然生じる不安障害・・パニック障害とは

パニック障害とは、急激にめまい、動悸、胸痛、呼吸困難になる、発汗、震え、涙が止まらなくなる、意識を失うような恐怖、死を予感するような恐怖を感じる、といった自律神経症状が生じることをいいます。

パニック障害は不安が強くなる状況(閉鎖空間、逃げ出せない場所など)で生じやすい傾向がありますが、安静時に突然生じることもあります。

発作が突然生じるような生活になると、「また発作が起こったらどうしよう」という不安から、日常生活を平穏に過ごすのが困難になってきます。

重症になってくると、パニック発作がいつどこで起こるかもしれない恐怖から一切外出できなくなってしまうことも少なくありません。

突然強い不安感に襲われる点でパニック障害は社会不安障害にとてもよく似ていますが、パニック障害は対人不安ではなく、主に閉所に対して不安を感じる点が特徴です。

混雑したバスや電車、エレベーターの中で突然強い不安が起こり、パニック発作に襲われるのが最も多いケースです。

「閉所」とは空間の狭さだけでなく、「精神的な閉所」も含まれます。

たとえば、歯科クリニックで椅子に座って治療が始まったら、どうあがいても治療が終わるまでそこから離れることはできません。

それが広々としたスペースのクリニックであっても、「途中で逃げられない」という「精神的な閉所」が不安をもたらし、パニック障害を引き起こすことがあります。

また、車の運転で町の中を走ることはできても、高速道路やトンネル、橋を渡ることは恐れる傾向があります。

動悸や涙が出てしまう不安障害・・社会不安障害とは

社会不安障害(社交不安障害、社交不安症、社交恐怖)とは他者からの注目を浴びるかもしれない状況に対し、恥をかいてしまうことを強く恐れる疾患です。

具体的には、人前での発表、目上の人との会話、人前での食事(会食)などの状況に強い恐怖を感じるため、このような状況を避けるか、強いストレスを受け続けながらそのような状況に耐え続ける生活を送るようになります。

症状が強くなると、仕事などの社会活動に参加できなくなったり、人と会うのが怖くなって自宅に閉じこもってしまうこともあります。

「対人恐怖症」「赤面症」「あがり症」といった俗称で呼ばれることもあります。

日本人の3〜13%が社会不安障害だと言われており、決して珍しい病気ではありません。

息苦しい、過呼吸、動悸がする、胸が苦しい、喉が詰まる、手足がしびれる、めまい、涙が出でる、といった様々な身体症状も伴います。

人に対する不安から起こる社会不安障害は、大勢の人前だけに限らず、コンビニで店員と会話するだけでも緊張して動悸がしたり、受付で字を書いている時に手元を注目されることの恐怖で震えてしまう、といったケースもあります。

過剰な不安が続く不安障害・・全般性不安障害とは

全般性不安障害(全般不安症)とは毎日の出来事や社会活動についての過剰な不安が長期間続く疾患のことです。

症状は慢性的に続き、数か月以上持続することから、集中力低下や意欲低下、易怒性(イライラ)が生じたり、二次的にうつ症状が出現することもあります。

身体的には、安心することができず、常に緊張している状態であるため、筋肉の過緊張が認められます。

そのせいで疲れが取れなかったり、夜になってもよく眠れなかったりするようになります。

また筋肉の過緊張によって、震えやけいれん、頭痛、筋肉痛、異常感覚(ヒリヒリ感や痛みを感じる、など)を生じることもあります。

心配症というのは性格の一つであり、正常範囲に属するものです。

人よりも恐怖や不安を感じる度合いが強めではありますが、それで日常生活に支障を来たすということは滅多にありません。

しかし全般性不安障害の場合は、過剰な不安によって仕事が出来なくなったり、動悸がしたり、涙が止まらなくなったり、ほとんど眠れなくなってしまったりといった症状が続きます。

単なる心配性とは異なり、全般性不安障害ではこれらの不安によって日常生活に支障が出てしまいます。

動悸や涙が出るのは脳の病気?

社会不安障害、パニック障害、強迫性障害などの「不安障害」は突然起こる強い不安から、呼吸困難、過呼吸、涙が出る、動悸、胸が苦しくなる、喉が詰まる、手足がしびれる、めまいがする、といった身体症状を伴い、非合理的な反応を繰り返す疾患です。

精神疾患はよく「こころの風邪」などと表現され、精神的なストレスが原因のように考えられがちですが、不安障害はストレス性の疾患というよりは、むしろ「脳の病気」であると言えるでしょう。

脳梗塞や脳出血のような脳の血管障害による病気とは異なり、不安障害には脳の神経伝達物質である「セロトニン」の変化が大きく関係していると考えられています。

個人の性格や育ってきた環境などが直接の原因となる病気ではありません。

なので、内向的な性格の方だけでなく、元々は人前で話すことが好きだったという外交的な性格の方でも社会不安障害を発症します。

性格、職業、知的レベルと疾患発症とは直接的な関係はありません。

不安障害は脳内の神経伝達物質の乱れによる脳の病気の1つだということを認識し、症状があって社会生活に支障があると感じているようなら、そのままにしておかず、適切な治療を受けることが大切です。

動悸や涙が出る不安障害は治療ができる

不安障害では、主に「SSRI」を使った薬物療法と認知行動療法が行われます。

SSRIとは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」の略で、脳内物質であるセロトニンの分泌を調整する効果があります。

精神安定剤とは異なる薬で、効果が現われるまで少し時間がかかります。

その間は安定剤を併用しながら段階的に量を調節し、SSRIの効果が出始めたら安定剤を中止するという形になります。

突然の強い不安から生じる、息苦しい、過呼吸、動悸がする、胸が苦しい、喉が詰まる、手足がしびれる、涙が出る、めまい、などの身体症状が緩和されてきたら、「認知行動療法」を併用することをおすすめします。

これは、簡単に言うと不安になった時の「行動パターンを変えていく」という治療法です。

社会不安障害の場合だと、人に見られて失敗することを認知し、不安になるのですが、今までだったらその不安を回避していたところを「少しずつ避けずにトライする」「不安を感じたらこの行動を取る」と、行動パターンをトレーニングしていくことになります。

性格を変えることは困難ですが、行動を変えることは難しくありません。

行動パターンを練習していくことで、次第に自信がつき、不安を感じる状況に適応できるようになります。

気になる症状がある場合は心療内科へ

不安障害の症状は人それぞれ違いますが、日常生活に支障をきたすほど悩んでいたりする方は、是非一度心療内科へ行ってみるのもいいかもしれませんね。

あまり神経質に悩まずに、不安を感じたら、うまく対処できるようになれるといいですね。

治療をすることで改善できる病気です。

前向きに頑張りましょう。

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