不安神経症は度が過ぎればれっきとした疾患です。
一般の人が不安神経症の人を見れば、と単にその人の個性、性格だと決め付けて終わるかもしれません。
確かにその人の性格もありますが、自分の家族や友人が不安神経症と診断されたらどうなのでしょうか?不安神経症は周囲が理解し支えることも必要です。
不安神経症の原因や治療法を知り、克服に向けて自分自身で改善する方法もご紹介します。
不安神経症(全般性不安障害/GAD)とは?
人間には感情があり、喜怒哀楽や安心感、不安感といった感情を日々感じ取りながら生きています。
しかしその中で、不安の割合が多くなると、生活にまで支障が及ぶ可能性があります。
6か月以上強い不安感に悩まされている場合は「全般性不安障害(GAD)」(不安神経症)という疾患に掛かっているかもしれません。
人間は楽しい、つらい、悲しいなどの感情を日々発生しながら生活していますが、不安という感情は、自身を守るためにあるものです。
通常であれば、不安が生じても受け流す、深く考えすぎないといった対処をして折り合いをつけ、不安とうまく付き合っています。
しかし、強い心配事などの心因的要因、疲労や怪我などの身体的要因、ストレスなどの社会的要因、生まれつきの人格などが原因で、自分の内にある不安をコントロールできなくなることがあります。
生活に支障を来すほど強い不安を抱えている場合は、「不安神経症」になっているかもしれません。
これは不安症状を主とする神経症で、1000人のうち64人が経験する疾患だとされています。
特徴として、10代半ばから高齢者まで発症し、男性よりも女性が発症しやすい傾向にあります。
不安神経症は心配事などを、過剰にネガティブに感じ取ってしまう精神の病気です。
精神的、身体的両面で症状が現れます。
放置しておくと、「うつ病」や「パニック障害」を招く恐れもあるので、医師のサポートを得て克服する必要があります。
不安神経症(全般性不安障害/GAD)の原因と特徴は?
精神障害のひとつである全般性不安障害(GAD)(不安神経症)は、心理的要因や身体的要因、社会的要因など、様々な要因によって発症すると考えられています。
特に悩み、不安、ストレスといった心理的要因が原因であることが多いですが、心理的要因とは全く関係なしに発症することもあります。
発症の時期としては、成人期初期が最も発症しやすく、男性よりも女性のほうが発症しやすいという傾向があります。
全成人のうち約3%が経験する疾患だといわれ、人口全体からの頻度でみればあまり珍しくはない病気です。
全般性不安障害の特徴としては、仕事に関することや将来に関することなど、様々な出来事に対して過剰な不安が起こります。
不安にさいなまれる状態が6か月以上続く場合、一般的に全般性不安障害(GAD)を発症していると診断されます。
気分に落ち着きがない、何かと疲れやすくなった、いらだちを感じる、頻繁に肩が凝ってしまう、物事に集中できない、何事にもやる気が出ない、不眠が続くなどの症状を3つ以上伴います。
診断のきっかけとしては、自分自身では気づきにくく、身体の不調などで通院をした結果、発覚することが多いことが特徴です。
不安神経症と診断された場合、放置するとうつ病やパニック障害につながる恐れがあるため、医師の指導のもと薬物療法とカウンセリングなどの精神療法を行い、克服を試みます。
不安神経症(全般性不安障害/GAD)の症状は?
不安神経症の特徴として、過剰な不安と心配にさいなまれ、半年以上、慢性的に不安感情に覆われます。
診断としては、不安神経症と近い症状を持つ「自律神経失調症」や、女性ホルモンの不調によって精神不安に陥る「月経前緊張症(PMS)」または「更年期障害」と誤診されることもあります。
診断が誤った状態で治療を受けているままでは症状が回復しなかったり、完治が難しくなったりします。
そうすると、うつ病やパニック障害、社会不安障害(SAD)などの、慢性的に続く重いメンタルの疾患を併発する恐れがあります。
不安神経症によって具体的に体に起こる症状として、頭痛、めまい、震え、動悸、酔いの感覚、自分の体が他人のもののように感じられる、悪寒、熱感、全身の脈拍感、便秘、頻尿、首や肩の凝り、があります。
また精神面では、集中力の欠如、記憶の曖昧さ、やる気が湧かず疲れやすくなる、イライラが続く、焦燥感に襲われる、小さなことが過剰に気になる、悲観、人と会うことが億劫になる、熟睡できない、就寝中何度も目が覚める、などの症状が出ます。
不安神経症を根源とするこれらの症状が続く場合、睡眠や日々の生活に支障を来すので注意が必要であり、医師の協力による克服が必要となります。
不安神経症(全般性不安障害/GAD)を克服するためには?
不安神経症を治療、克服するうえで、通院は欠かせません。
通院においては、薬物による療法と精神療法を行います。
ここで一つ注意を喚起すると、不安神経症は自然治療で治るものではないため、症状にさいなまれたり兆候が見られたら、必ず病院で治療を受けて下さい。
薬物による療法としては、抗不安剤や抗うつ剤を使用して不安症状を緩和します。
薬物には依存性や副作用があるため、薬の使用は最低限にするべきです。
薬物を利用している間は、アルコールの摂取とクルマの運転は控える必要があります。
精神療法としては、カウンセリングを受け、思考と行動を疾患状態から修正していく認知行動療法などを行います。
この療法は不安神経症の克服に有効であり、無意識層で起こっている不安の発生源を探り出し、思考と行動を不安神経症を克服する方へコントロールしていきます。
また、新たな治療法として、EMDR、EFTと呼ばれる治療法があります。
過去あったつらい記憶を思い浮かべながら、EMDRでは眼球運動、EFTでは東洋医学のツボをタッピングして、脳を刺激していきます。
神経系に働きかけ、脳の働きが促され、感情が和らぎます。
不安神経症の克服としては、生活習慣の改善も効果的です。
栄養バランスの取れた食事をする、十分に睡眠を取る、日光に長時間当たる、明るい人と交流するなど、生活習慣を変えることで効果があります。
克服するために自分自身でできることは?
不安神経症を克服するには、まず第一に規則正しい生活をすることが大切です。
生活に乱れが生じると精神が不安定になり、不安が生じやすくなります。
生活を規則正しくすれば、精神面が整えられ、きちんとした生活を送れているという事実があるだけでも自信がつきます。
まずは、整理されたサイクルでの生活をシンプルに続けましょう。
全般性不安障害は、日常自分の身の回りに起こる様々な出来事や人間関係に対して、過剰なまでの不安が生じてしまう病気です。
普段であれば心配にならないことでも不安感を覚えてしまい、気分は常に安定しません。
不安や心配が多いという以外には具体的な症状が発生することがあまりないため、ただの心配性だと思われてしまう場合が多く、発症が見逃されがちです。
また、食生活が乱れると脳へ十分、適切な栄養がいかなくなり精神不安定に繋がるため、栄養バランスのよい食事を心がけることも重要です。
アルコールは一時的には気分を良くさせますが、飲酒が毎日続くといつしかアルコールに頼るようになり、飲酒量が多くなると却って精神を不安定にさせる危険性があります。
お酒以外での楽しみを見つけたり、気分が明るくなる服装を心がけましょう。
会話についても、つい話したくなるネガティブな内容よりも、意識して明るい話題を選ぶようにして話す方がよいかもしれません。
克服するためには、周りの理解が必要
不安神経症は、アメリカでは20人のうち1人が一生涯のうちに発症するという分析結果があります。
日本においても、1000人のうち64人が経験するといわれています。
女性のほうが男性よりも患者になる割合が高く、神経質、心配性な人が発症しやすい病気です。
年代的には、10代から高齢者までどの世代でも起こりえます。
また、長期的に不安にさいなまれる症状が続く「全般性不安障害(GAD)」のほかに、突発的に不安症状が発生する「パニック障害」があります。
主な症状として、呼吸困難、動悸、発汗が現れ、半時間ほどで治まります。
友人や家族が全般性不安障害(GAD)と診断されたら、本人にしっかり向き合って話を聞いたりつらさを理解するように努めましょう。
不安という感情はとてもつらいものです。
気にする必要はないという態度や言い方は避け、本人の話をじっくりと聞いてあげることが大切です。
不安神経症は仕事を休んだり、症状が重いときには入院が必要なケースがあります。
病気という理解はしつつ、発症した人を特別扱いしすぎないことも大切です。
本人のためにと思って過剰な干渉を行った結果、かえって本人のイライラを強くしたり、自信喪失させ、克服が遠くなってしまうかもしれません。
バランスを見極めつつ、周囲が支えとなって、「全般性不安障害(GAD)」の克服と、患者の自立を応援することが大切です。
不安神経症は克服できる!
不安神経症は世界でも多くの人がかかっている病気です。
しかし、その症状に気付いていなかったり、わかっていても周囲の理解が得られなかったり・・本人も家族もとても辛いですよね。
でも、不安神経症は克服できる病気です。
診断された時は、規則正しい生活を心がけ、専門家と一緒に、克服に向けて頑張って欲しいと思います。