介護職を悩ませる腰痛!悪化する前に腰痛予防のストレッチを

最終更新日:2024/01/13

腰痛で悩む介護職は非常に多く、腰痛予防は大きな課題の1つとなっています。

腰痛が悪化すると、仕事どころか起き上がれなくなるほど痛みが強くなります。

そのように悪化する前に、仕事や日常生活で腰に負担をかけないように心がけ、腰痛を予防しましょう。

また、普段から腰痛予防のためのストレッチや筋力トレーニングをすることが大切です。

知っておこう!腰痛の原因

腰痛で悩む方は大変多く、国の調べによると国民の4人に1人は、腰痛を持っています。

その中でも、介護職は腰痛の訴えが多い職業です。

なぜ、腰痛は出るのでしょうか。

ヒトは2足で立って歩きますが、元々の背骨の作りから、立って歩くこと自体が腰に負担をかけています。

しかし、背骨がS字カーブを描き、体幹の筋肉などがバランス良く働くことによって腰への負担を軽減させることができます。

しかし、無理な姿勢をとったり、腰へ負担のかかる動作を行うことにより腰痛が出てしまいます。

腰痛は、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症のように原因がはっきりとしている特異的腰痛と、原因がはっきりとしない非特異的腰痛に分けられます。

特異的腰痛より非特異的腰痛とケースのほうが、圧倒的に多いと言われています。

特異的腰痛は専門的な治療を要することが多いものですが、非特異的腰痛は生活習慣やストレス、心理的な影響もあることが知られています。

腰痛予防のために日常生活で動作や姿勢に気をつけ、ストレッチや筋力トレーニングを行うことが大切です。

なぜ、介護職は腰痛が出やすいのか?

介護職は腰痛が出やすいと言われていますが、その原因として、仕事の中で重いものを持ち上げたり、中腰での作業が多いことが挙げられます。

ベッドに寝たきりで自分で体を動かせない方の清拭や体位変換、オムツ交換、また更衣動作などのケアを行う際に、中腰や前傾姿勢など無理な姿勢をとることが多く、腰痛が出やすくなるようです。

また、日常生活動作(ADL)が自立していない方の寝返り動作や起き上がり動作、車いすへの移乗、立ち上がり動作などを介助する際、腰をかがめたり、腰をひねったり、重いものを持ち上げる必要があり、腰への負担はかなりのものになります。

入浴介助の時、介助される方が自分で動けない場合、不安定な姿勢や無理な体勢をとり洗体を介助することもあります。

このように、介護職は腰へ負担がかかる動作や姿勢を繰り返し行う場面が多く、腰痛が出やすいのです。

ただ、介護職だからといって全ての方に腰痛が見られるわけではありません。

体の使い方のコツを知り、腰痛への負担を軽減する介助方法を実践し、自分の身体をストレッチや筋力トレーニングによりメンテナンスすることにより、腰痛予防できます。

ストレッチと筋力トレーニングは、腰痛予防に効果的

腰痛予防のためにストレッチを行い柔軟性を上げ、体幹の筋力トレーニングを行い腹筋や背筋を鍛えましょう。

ストレッチをして筋肉や腱などの軟部組織の柔軟性を上げます。

筋肉が柔らかくなると、外力や衝撃に対してしなやかに迅速に反応でき、ケガや障害を予防できます。

また、関節の可動範囲を広げることができるため、様々な姿勢を無理なくとることができるのです。

無理な姿勢を長時間とると、腰痛の原因となりますが、ストレッチで体をしなやかに保つことにより、腰痛の発生を抑えることができます。

介護職が仕事をする際、長時間同じ姿勢をとらず、合間合間にストレッチをして、体をほぐすと良いでしょう。

また、体幹の筋力トレーニングを行いましょう。

腹直筋や腹斜筋、腸腰筋などの体の前側の筋肉と、脊柱起立筋や腰方形筋などの体の後側の筋肉をバランス良く鍛えることで、体幹や骨盤を安定させます。

姿勢が良くなると、腰への負担も少なくなり、腰痛予防につながります。

また、骨盤や腰まわりの筋力をつけると腰を外力から守ってくれます。

そのため、腰痛予防のためにストレッチと筋力トレーニングを行うことを習慣にしましょう。

介護職のための腰痛予防のストレッチと筋トレ~立位編~

職場で立ってできる介護職における腰痛予防に効果的なストレッチ方法を紹介します。

①太ももの前側(大腿前面)のストレッチ

廊下の手すりや椅子に片手をかけ立ちます。

片方の足をお尻につけるように膝を曲げ、片脚で立ち、もう一方の手で足部を持ち、太ももの前を伸ばしましょう。

その姿勢を10~20秒保持します。

反対側も同様に行います。

膝を曲げたほうの股関節が曲がらないように気をつけましょう。

②背中と上半身のストレッチ

廊下の手すりや椅子の前に立ち、両手で手すりや椅子を持ったまま、体を前にしっかり倒します。

両肩を真下に引き下げ、背中と上半身を伸ばしましょう。

その姿勢を10~20秒保持します。

③太ももの前側(大腿前面)と後側(大腿後面)、お尻(臀部)の筋トレ(フロントランジ)

片脚を前に大きく一歩踏み出します。

膝が90度に曲がるまで、腰を下に深く落とし、その後、ゆっくり元の直立姿勢に戻ります。

左右交互に10回づつ行います。

上半身はぐらつかないよう、姿勢を真っすぐ保持しましょう。

膝は内側に入らないように注意してください。

④太ももの横側(大腿外側)、前側(大腿前面)、後側(大腿後面)、お尻(臀部)の筋トレ(サイドランジ)

片脚を横に大きく一歩踏み出します。

腰を下に深く落とし、その後、ゆっくりもとの直立姿勢に戻ります。

左右交互に10回づつ行います。

これも、膝は内側に入らないように注意してください。

介護職のための腰痛予防のストレッチと筋トレ~臥位編~

寝た状態でできる介護職のための腰痛予防のストレッチと筋トレを紹介します。

家で寝る前や起きる際に布団の上で行ったり、職場のリハビリ室のプラットフォーム上などで行ってみてください。

①お尻(殿部)のストレッチ

仰向けに寝て、片膝づつ両手で抱えてください。

その姿勢を10秒保持します。

ゆっくりと左右10回づつ行いましょう。

②わき腹(体側)、腰、背中のストレッチ

仰向けに寝て、片膝を両手で抱え、膝をかかえたまま横に倒してください。

その姿勢を10秒保持します。

ゆっくりと左右10回づつ行いましょう。

③腹部の筋トレ

ゆっくりと吐きながら、おへそをのぞき込むようように頭を持ち上げます。

腹筋がしっかり働いているか確認しながら行いましょう。

ゆっくりと10回行います。

④腹部と脊柱まわりの筋トレ

うつ伏せの状態から両肘、両膝をつけた姿勢になります。

片方の膝を伸ばしながら、まっすぐに脚を後ろに伸ばしましょう。

その姿勢を10秒間保持し、元の姿勢に戻ります。

ゆっくりと左右5~10回づつ行いましょう。

お腹とお尻に力を入れて体幹を安定させます。

この運動が、楽にできるようになったら、今度は対角となる肘と膝を伸ばします。

例えば右手を前方にまっすぐ伸ばすと同時に左脚を真っ直ぐに後ろに伸ばします。

介護職が仕事上に気をつけたい腰痛予防のポイント

腰痛が出やすい姿勢や動作を理解し実践することで、腰痛を予防しましょう。

介護職の腰痛予防のためのポイントを紹介します。

①同じ姿勢を長時間続けない。

こまめにストレッチを行い、筋肉をリラックスさせましょう。

②中腰や前傾姿勢をできるだけ避ける。

ベッドに寝ている方のケアをする際は、中腰にならないよう工夫をします。

膝をベッド上に乗せて介護をしたり、ベッドの高さを上げてみましょう。

③体から離した位置で重いものを持たない。

重い物や対象者を持ち上げる際には、自分の体の近くにできるだけ近づけてから持ち上げると腰への負担が軽減されます。

④低い物をとったり、足元まわりの作業をする際には、膝を伸ばしたまま体をかがめるのではなく、膝を曲げてしゃがんで行いましょう。

⑤体をひねったままで作業をしない。

体を斜めに向けて作業するのではなく、作業対象物の正面を向いて作業しましょう。

また、腰痛には、ストレスや心理的な影響もあると言われています。

ストレスを溜めないよう気分転換をすることも大切です。

最近は、安全に、また介護者の負担を軽減させる介護用品も出ているので活用してみるのもオススメです。

例えば、移乗動作の介助負担を軽減させるボードや、対象者の体位交換をスムーズにさせるスライディングシート、また対象者を持ち上げることができるリフトなどがあります。
自分の腰を守るために、腰痛のセルフコントロールを心がけてください。

介護職を長く続けるためにも、腰痛予防を!

介護職で腰痛にお悩みの方は、仕事をする際の姿勢や動作などを見直してみましょう。

腰に負担のかかる姿勢で作業を続けると、なかなか腰痛は軽減しません。

腰痛がひどくなると、仕事を続けられなくなる方もいます。

ひどくなる前に、ストレッチや筋トレを行ったり、介護作業の姿勢を見直して腰痛予防を実践しましょう。

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