側弯症とは、筋肉の拘縮により脊椎の並びがカーブしている、また神経が圧迫されて肩や背中、足に痛みが出てしまう病気のことを言います。
原因は色々とありますが、多くはその原因が明らかでない突発性側弯症といわれるものです。
手術をすれば治る・・・でも、手術で神経麻痺などの後遺症がでないのか不安!
今回は、側弯症についてと、気になる手術の後遺症などについてまとめてみました。
側弯症とは?
本来は前後にS字湾曲が形成されている背骨が、左右にS字またはC字に湾曲している状態を側弯症と言います。
背骨のねじれを伴うケースもあり、重症化すると肺などの内臓機能に影響が出てきます。
圧倒的に女性に多く、その比率は2:8ほどと言われており、2%~3%の人口に現れる症状です。
しかし、軽度な側弯症人口も合わせると、およそ50人に1人の割合で側弯症であると言われています。
腰の不調を訴えることが多いのですが、中には自覚症状が一切出ない人もおり、特に若年層では痛みを感じることはありません。
20代前半までは背骨が成長し続けるのですが、成長と共に痛みが出てくるケースが多いのが特徴です。
早期発見によって重症化を防ぐことができますので、子供が定期的に検診を受けることは大切なことです。
治療法としては経過観察が一般的ですが、外形がおかしくなってきたら手術をするという方法が取られます。
手術後の後遺症としては、麻痺などが心配されます。
側弯症の原因
なぜ側弯症が発症するのか、先天的なものと後天的なものがあると考えられています。
後天的なものとしては、出産時の過程や事故によるものが考えられ、脳性麻痺や脊椎披裂を患った人に見られるケースもあります。
側弯症患者のおよそ80%が突発性側弯症、または遺伝性突発性側弯症であり、ここで出てくる「突発性」とは原因不明のことを指しています。
80%の側弯症患者が原因不明ということになりますが、思春期突発性患者の30%は家族に側弯症患者がおり、遺伝的な要因があることも確認されています。
幼少期に受けた何かしらの衝撃が原因であるという説もありますが、はっきりとは解明されていません。
発見が早ければ早いほどいいので、学校でも検診が行われており、早期発見に繋げています。
また、はっきりと原因がわかっている側弯症もあり、生まれつきの椎体奇形によるものや、脳性麻痺などの神経学的疾患、筋ジストロフィーなどの筋疾患、脊柱の感染症や骨折が原因の側弯症もあります。
重症化すると手術が行われますが、やはり麻痺などの後遺症が心配です。
側弯症の症状
側弯症の症状としましては、思春期の側弯症ではほとんどのケースで痛みは伴いません。痛みがあるとすれば、筋肉がひっぱられることによる成長痛のような痛みが考えられますが、これは成長痛ではなく筋肉の痛みです。
見た目の症状としましては、腰や肩の高さの違いや左右の肩甲骨の違いなどが挙げられます。
肩甲骨の位置の違いは、前屈の姿勢を取ることで確認しやすいです。
また、見た目ではしっかりとした姿勢を取っていても、背骨の形状次第で片方に圧がかかってしまいます。
そのため、背骨と背骨の間にある椎間板と呼ばれるクッションが、通常の人と比べると老化が早まり、骨棘が形成されやすくなります。
そして、その骨棘によって背中への強い痛みを感じることがあります。
消化器系の弱化や疲労感、免疫力の低下といった症状が現れることがある他、運動制限や装具着用などがある場合には強い精神的ストレスを感じることもあります。
湾曲が大きければ大きいほど消化器系や心肺機能への影響も心配です。
内臓への影響が出るようでしたら手術が必要ですが、麻痺などの後遺症が心配です。
術後の神経麻痺が不安・・・側弯症の手術をする理由は?
側弯症の手術が行われる例としましては、側弯の進行を防ぐことや見た目の問題などが挙げられます。
10歳から12歳でコブ角が30度以上だと9割以上、コブ角は60度以上だと100%進行すると言われています。
ここで出てきたコブ角というのは、側弯症によって湾曲した変形を表す数字であり、角度が大きいほど重症化しているということになります。
これらの側弯症を放っておくと重症化されてしまいます。
重症化されると内臓機能の低下や腰の痛み、背中の痛みなどの症状が見られますので、側弯症の進行を止める目的での手術が行われます。
骨の成長が終わっている場合でも、コブ角40度以上の側弯症に進行が見られるケースがありますので、相談の上で手術を受けるか決めるといいでしょう。
見た目の問題としましては、30度のコブ角で容姿に劣等感を感じると言われているので、進行を防ぎ劣等感を感じないようにするための手術です。
麻痺などの後遺症も心配ですし、傷跡も残りますので、慎重に検討しましょう。
側弯症の手術で神経麻痺の後遺症は起こるの?
側弯症の手術において、神経へのダメージや麻痺などの心配があります。
神経へのダメージとしては、大人の手術でリスクが高くなるのですが、側弯症の手術を行った人の1%程でしか現れません。
筋肉の衰えとして現れるケースがありますが、リスクとしてはとても小さいので、あまり心配はありません。
麻痺もほとんど出ません。
手術中のモニタリングにより麻痺が防ぐことができますし、最新のモニタリング電子機器で脊髄を測定するなどの方法が取られますので、安心して大丈夫です。
電子機器の測定によって電気反応が落ちていたケースもあるのですが、そのケースでは患部への操作方法を変更するなどの処置が取られますので安心です。
神経へのダメージも麻痺も、後遺症として残ってしまうという可能性は非常に低く、内臓機能への影響や腰や背中の痛み、見た目の問題への不安などを考えると、重症化する前に主治医と相談することがオススメです。
じっくりと主治医と話をしましょう。
側弯症の手術で神経麻痺は稀だが、それ以外の後遺症って?
神経へのダメージや麻痺などのリスクは少ないと話をしましたが、側弯症の手術において心配なのは手術による傷跡です。
こればっかりは後遺症として残ってしまうのですが、側弯症の手術では20センチから40センチとも言われる傷跡が残ってしまいます。
もちろん、洋服を着ていれば見えない場所ですし、機能的にも体には影響ないのですが、手術跡にコンプレックスを感じてしまう人も多くいます。
背中の見える水着を着るときなど、気になってしまうかもしれません。
もう一つの後遺症としましては、体の動きの低下が見られます。
手術の際に背骨と背骨の間に金属のインプラントを埋め込みますので、背骨が矯正した状態で固定されます。
ですので、手術後に固定された背骨が動きが取れません。
しかし、手術前の変形していた状態の背骨の動きが正常だったわけではありませんので、あまり気にならないかもしれないですね。
普通に生活をしていて気になるほどの運動制限はほとんどありませんが、運動をしたときなどに気になってしまうかもしれません。
特に体をひねるような運動で気になるかもしれません。
現在行われている側弯症の手術はまだまだ歴史が浅く、高齢になったときに後遺症が現れないとは言い切れません。
あらゆる可能性があるので、主治医と相談して決めることがオススメです。
手術のリスクとメリットを理解しよう!
側弯症の多くは、成長期の子供に発症します。
しかし、自覚症状が乏しいため、発症当初は本人も周りの人達も気づかないことが多いのです。
外見の変化が明らかになるころには、脊椎の変形が相当進んでいる場合もあります。
治療のタイミングを逸しないためにも早期発見が大切です。
また、リスクとメリットをよく考えた上で、手術について主治医に相談してみましょう!