普段生活している中で、身体全体の骨に痛みを感じることがある人も少なくないのではないでしょうか。
専門医に検査をしてもらっても病気と判断されないこともあります。
今回は、全身の骨の痛みがあるとどんな病気が考えられるのか、検査方法と改善方法について説明していきます。
原因不明な全身の骨の痛みはどんな病気が考えられる?
リウマチ性疾患とは全身の関節や骨、筋肉などに痛みを感じる病気なのですが、検査をしても何の異常も見られないという奇妙な特徴があります。
しかもリウマチとは違って関節の形が変わったり、腫れてくることはありません(病名はあくまでも症状がリウマチに似ているというところから付けられました)。
そこまで広く知れ渡っている病気ではないので、周囲の理解はなかなか得られないかもしれません。
ですが決して嘘や誤魔化しなどではないのです。
命に別状はないものの、痛む範囲が広いので、日常生活や仕事に支障を来す恐れがあります。
アメリカやヨーロッパでは1990年代の辺りから知られるようになり、日本でも30年ほど前にこの病気らしきものが確認されました。
現在は「線維筋痛症」と呼ばれています。
日本ではまだ世間どころか医療関係者にも浸透していない病名のため、診てもらっても、ヒステリーなどで片付けられてしまうことがほとんどのようですが、それでも徐々に研究が進められ、治療法を見出す努力が始まっています。
中高年の女性に多く見られますが、若者がなっていても珍しくありません。
それどころか患者の中には子供も含まれています。
欧米ではよくある病気という認識らしく、アメリカでは人口のおよそ2%がこれにかかっていると見なされています。
線維筋痛症の痛みに対する症状
線維筋痛症とはあまり馴染みのない病名ですが、どのような症状が起こるのでしょうか。
まずは全身に痛みを感じます。
それこそどの部位が痛んでもおかしくはありません。
酷い時には目の奥や口の中、骨、関節にまで達します。
場合によっては痺れたり、強張ったりもするようです。
その日の天気や、ストレスや疲れの溜まり具合によっても痛みの度合いは変わります。
この他にも「眠れなくなる」「倦怠感」「便秘」「下痢」といったものから「抑鬱感」や「不安感」というような精神的な症状なども引き起こされます。
また血の流れが悪くなり、指先が紫や白に変色して、冷えや痺れを感じる「レイノー現象」と呼ばれるものもあります。
痺れや痛みは、神経が圧迫されることでも起こります。
特に手の辺りに出やすくなっています。
これだけではありません。
頭痛や耳鳴りがしたり、目や口が乾いたり、トイレに行く回数が増えたり、女性なら生理が安定しなかったりと、何らかの病気の前触れや、病気にかかった時に起こるであろう症状の数々が、思いつく限りオンパレードでやって来る可能性があると見て良いでしょう
原因不明な全身の骨に起こる痛みの別の病気や症状
線維筋痛症は、他の病気と併発することがたまにあります。
併発していないものを「第一次線維筋痛症」、したものを「第二次線維筋痛症」と分けて考える場合もあります。
線維筋痛症の患者のほとんどは骨などの痛みに加えて、全身にかなりの疲れを感じていますが、慢性疲労症候群と併せて罹患しているケースや、似ているだけで別の病気にかかっているという可能性もゼロではありません。
研究者によっては、症状の現れ方は違うものの、元を辿れば同じ病気であると考えている人もいるようです。
上述した慢性疲労症候群とはその名の通り常に激しい疲れを感じるようになり、それに加えて熱が出たり、頭や喉、筋肉に痛みを感じたり、リンパ節が腫れてきたりします。
さらに全身から力が抜けるような感覚に襲われ、頭がぼんやりとして上手く働かなくなり、不眠や抑鬱状態に陥ります。
何故こうなるのかは、今のところ分かっていません。
脊髄関節炎という病気は、脊髄や手足の関節に炎症が起きるもので、線維筋痛症とよく似ています。
併発していることも多いようです。
線維筋痛症は病院の診察でもヒステリーなどと言われてしまうことがほとんどで、正しい治療法というものが見つかっていません。
しかし心療内科では、ストレスなどが理由で発症する心身症の一種なのではないかという見方をしているようです。
原因不明な全身の骨の痛みの検査や診断方法は?
線維筋痛症だと判断のつく検査方法は今のところ存在しません。
リウマチや膠原病にかかっているか、あるいは併発している可能性を確かめることは出来るので、そちらの検査を受ける必要性はあります。
そもそも線維筋痛症は普通の検査では異常であることを示せないというところが特徴でもあります。
具体的な症状は全身の骨に感じる痛みですが、このような症状に見舞われた上で、検査で異常が発見された場合、似たような症状が出る別の病気だと見なされることがほとんどです。
ですが近頃はMRIなどの脳の画像を撮影する検査がある程度進歩したため、もしかしたらこの先、線維筋痛症かどうかを判断するための手段として使える日が来るかもしれません。
線維筋痛症であるかというのは、1990年代にアメリカの学会が出した基準を参考にすることが多いようです。
確かめるポイントは「3ヶ月以上全身が痛むか」「ある部分を4kgの力で押した時、18ヶ所のうち11ヶ所が痛むか」の2つです。
また2010年には、より診断しやすいように手直しが施されました。
もし線維筋痛症だと思った場合、リウマチ科を訪ねることが多いかもしれません。
ですが内科や整形外科、心療内科でも受け付けてくれることがあります。
診療を引き受ける病院や、相談窓口などを紹介してくれるサイトもあるので、ネットで調べてみるのも良いですよ。
線維筋痛症の痛みが起こる原因はなに?
線維筋痛症になると全身はもちろん、関節や骨などにも痛みを感じますが、何故こうなるのかは原因不明だったりします。
神経、内分泌、免疫などの調子が悪いからと言われていますが、確証はありません。
現在は睡眠障害を始め、痛みを抑えたり知らせたりする物質との関係や、それらを伝える信号に関わっている部分の血流が低下している可能性などを中心に研究がされているようです。
発症のきっかけとなる要因は感染症、怪我、精神的なストレスなど、色々考えられます。
痛みというものは何らかの刺激や衝撃が加わることで、痛みを感じる器官にそれらが伝えられ、脊髄を遡って脳に届いた時、初めて「痛い」と感じます。
ですが線維筋痛症の痛みはこれとは違い、中枢神経の中で感じているのではないかと言われています。
線維筋痛症は命に関わるものではありません。
ただ痛みの度合いによっては日常生活に支障が出てしまい、最悪入院しなければなりません。
症状がどれだけ続くのかも差がありますが、早くて数ヶ月ほど、長くても3年くらいで良くなることが多いようです。
最も厄介なのは「世間にあまり知られていないこと」でしょうか。
周りの人達どころか、下手をすると医者にも理解を得られないことがあります。
それくらいマイナーな病気なのです。
これが原因で不安感やストレスを溜め込み、悪化する人もいるようなので、まずは多くの人にこの病気を知ってもらうことから始めなければいけません。
線維筋痛症の痛みに対する治療方法
全身の骨に痛みを感じる線維筋痛症という病気には確実な治療法はありません。
そのため様子を見つつ、少しずつ治療をしていきます。
主に行われている治療法は「薬物投与」「リハビリ」「心理療法」「代替療法」の4つです。
また生活習慣を根本から変えてみることも有効です。
休みを適度に取り、リラックスすることでストレスや疲れを和らげ、気持ちを落ち着かせることは大事です。
東洋では「姿勢」「食物」「精神」の面から健康について考える傾向があり、これらに問題があると体調不良を起こすと言われています。
このうち「姿勢」のバランスが崩れていると、血の巡りが悪くなったり、神経が押し潰されることで、身体の機能が低下したり、痛みを感じることがあります。
さらにストレスから自律神経にも異常が発生し、内臓が悪くなることや、不安感や抑鬱など精神的な症状に見舞われることもあります。
線維筋痛症の症状のひとつに緊張から来る頭痛がありますが、これは肩凝りや姿勢の悪さによる筋肉の緊張が原因です。
これは無自覚のうちにストレスとして蓄積されていくため、許容出来る範囲を超えないように気を付けながら、健康について見直さなければなりません。
姿勢が良いと、身体に必要なエネルギーや血がスムーズに運ばれていきます。
すると免疫力や、自然治癒力も上がります。
健康的な身体を得るなら、まずは姿勢を正すことから始めましょう。
とりあえず一度は専門医に診てもらおう!
全身の骨に痛みが出ると動くことも辛くなります。
何かしたいことがあっても、痛みが気になって集中が出来ません。
必ずしも原因不明とも限りませんので、一度専門医に診てもらうことで今回紹介した病気の他に重大な病気の早期発見が出来る可能性もあります。
身体に痛みが起こり、辛いときは、とりあえず専門医に診てもらうことをお勧めします。