毎日毎日厳しいレッスンが続き、体は疲労困憊・・・
そんなときに、ふとした動作で腰に痛みが出るようになった!
ストレッチはちゃんとしているはずなのに・・・
このような経験をされた方、もしくは現在している方、ストレッチには種類があります。場面に応じて、ストレッチの種類を選ばないと、かえって怪我をしやすくしたり、パフォーマンスを落とします。
ストレッチの種類を覚えて、レッスンに耐えきれる体をつくりましょう。
ストレッチの種類と効果
ストレッチには種類があり、その効果もそれぞれ違いますので、ご紹介します。
・バリスティックストレッチ
太ももの裏側や背中等を伸ばしたいときに、身体の一部分の重さを利用して、無理のない範囲で反動をつけながら伸ばしていくストレッチです。ウォーミングアップで行ないます。
相手にグイグイ押してもらったり、引いてもらう方法もこのストレッチになります。
体が温まっていなかったり、勢いよく行なうと怪我をする可能性があります。
・スタティックストレッチ
20秒くらいを目安に、反動をつけずにゆっくり伸ばすストレッチ方法で、静的ストレッチとも呼ばれます。
筋肉を緩めるので、クールダウンで行ないます。
・PNFストレッチ
筋肉の性質を応用したストレッチです。関節可動域の向上が期待できます。
基本的には、熟練したパートナーが必要になります。
目的とする筋肉を使い、その状態をキープします。
ウォーミングアップ、クールダウンどちらでも有効です。
このストレッチをセルフでも出来るようにしているのがカラダラボです。
・ダイナミックストレッチ
バリスティックストレッチと混同されがちですが、ダイナミックストレッチの方が、動きながら行なうことが多いです。
サッカーのウォーミングアップでよく見かけるブラジル体操がダイナミックで、学校の体育の前にしていた伸脚やアキレス腱伸ばしはバリスティックになります。
ダイナミックストレッチの方が、スポーツなどの動きを意識したストレッチになります。
バレエのレッスン前のストレッチは?
ストレッチには種類があり、効果も違うということをご理解いただけたでしょうか?
レッスン前にすべきストレッチは、PNF・バリスティック・ダイナミックです。
最近は減ってきているように思いますが、動く前にスタティックストレッチをしている方がいます。
動く前の筋肉は、張りのある締まった使いやすい状態にする必要があります。
スタティックストレッチは、先ほど説明致しましたように、クールダウン向けの筋肉を伸ばすストレッチです。
このストレッチをすると、緩んだ締まりのない筋肉になってしまいます。
柔らかい筋肉と緩んでいる筋肉は、大きな違いがあります。
柔らかい筋肉は、伸び縮みして動かしやすい筋肉ですが、緩んでいる筋肉は、筋肉の伸び縮みする性質が上手く働かない状態になっています。
この状態で運動をしてしまうと、いつもよりパフォーマンスが発揮出来ず、体が上手に使えないので、怪我の原因にもなってしまいます。
他の3種類のストレッチでウォーミングアップをして、動ける体を作っていくわけですが、上手に筋肉に刺激を入れるための注意点やコツがあります。
バリスティックストレッチやダイナミックストレッチを行なう際のコツは、反動を上手く利用することです。
力でグイグイやるのではなく、波打つように優しく動いてみましょう。
ブランコを手で引いて、ブランコが揺れ続けるようなイメージで、最初に使った力をそのままずっと使うようにします。
バレエをして腰に痛みの出る方の注意点
バレエをしていて、腰に痛みの出る方への注意点をご紹介します。
バレエの動きは、腰に負担が掛かりやすいものが多くあります。
その負担を軽減させるためにも、ストレッチとトレーニングや体の使い方が重要になります。
特に体の使い方は重要です。体の使い方には姿勢維持も含まれます。
どんなに柔軟性がある人でも、体の使い方が悪いと症状が出やすくなります。
悪い例で多いのは、姿勢をピシッとしようと、腰を反りすぎることです。
腰だけで背骨のS字カーブを維持しようとしながら動くと、腰の筋肉に過度な負担がかかり、筋肉を傷めてしまいます。
思い当たる方は、鎖骨から鳩尾までの一直線を少し突き出すようにしましょう。胸を開くイメージです。
これだけで、自然とS字カーブは出来てきます。
胸が開けない方は、猫や犬が伸びをするときのポーズをしましょう。
このストレッチの詳しい説明は後ほど致します。
その他にも、股関節の外側に体重がかかっていて、大腿筋膜張筋〔だいたいきんまくちょうきん〕という筋肉が張っていて腰に痛みを出していることもあります。
この筋肉に張りが出ると、足が上げにくくなったり、股関節の動きが悪くなります。
内転筋群を上手く使えるようにしましょう。
バレエをして腰に痛みの出る方のストレッチ
では、先ほど出てきた胸のストレッチと内転筋群を使うトレーニングを詳しく説明致します。
【胸のストレッチ】
・動物のように四つん這いになりましょう
・股関節の真下に膝が来るようにしましょう
・股関節の位置を変えずに、手を床に着けたまま、前に伸ばしていきましょう。胸が着く人は胸を床に着けましょう
・顎を床に着けて、正面を向きましょう
・片方の脇の下に体重をかけるようにして、ストレッチをかけます
・10秒キープしましょう
・10秒キープしたら、反対側も同様に行ないましょう
【内転筋群を使うトレーニング】
・仰向けになり、脚は腰幅に開き、体育座りの形にして、手は腰の横におきましょう
・手で補助しながら、お尻を上に上げていきましょう。このとき、膝から下が床に対して垂直になるように調整しましょう
・両足の間隔が開いているので、その間隔をなくすように、股関節の方からゆっくり閉じ、膝をくっ付けましょう
・膝をくっ付けたら、お尻をゆっくり下ろしましょう
・10回行ないましょう
※手の補助がいらない方は、足裏全体で床を踏みながらお尻を上げましょう。
腰や骨盤、重心の正しい位置
今回のストレッチをしていても腰の痛みがなかなか取れない場合は、姿勢のチェックをしましょう。
理想的な姿勢は、横から体全体を見たときに、耳垂(耳たぶ)・肩峰(肩の出っ張った骨)・大転子(股関節外側の出ている骨)・膝蓋骨後面(膝のさらの後ろ)・外果(外くるぶし)2~3cm前、の5点が一直線で揃うように重心がかかっていることです。
腰の理想的な湾曲は、壁を背にしたときに、壁とのすき間に手のひらが入るくらいです。
骨盤が前傾した状態では、この腰と壁のすき間に余裕があります。
この状態は、背中の筋肉や大腿筋膜張筋の張りが強くなっていたり、腹筋や太もも裏の筋肉であるハムストリングスが締まっていない場合や弱くなっていると起こりやすくなります。
骨盤が後傾した状態では、今度は反対に腰と壁のすき間に余裕がなくなっています。
この状態は、ハムストリングスの張りが強くなっていたり、腹筋やお尻の筋肉や大腿四頭筋が締まっていない場合や弱くなっていると起こりやすくなります。全体的に弛緩が強い状態ともいえます。
最後に脊柱のS字カーブがあまりない、腰椎が平坦になっている状態があります。
この状態は、腰椎の衝撃吸収作用が低下しているので、腰椎椎間板ヘルニアなどを発症しやすくなります。
骨盤が後傾しているのと同様に、腰と壁のすき間に余裕がなくなっています。
バレエのレッスンで腰が痛い!正しいストレッチの方法は?まとめ
腰痛は日常生活を過ごしているだけでも出るものです。
運動をしている方なら、なおさら起きやすくなります。
筋肉を伸ばすだけ=甘やかし
筋肉を締める=躾(しつけ)
というようなイメージでも良いかと思います。
甘やかすだけではなく、躾るようにしましょう!
身を美しくすると書いて躾です。締めるストレッチもしっかり行なって、症状の起きにくい真の美しいカラダを目指しましょう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。