人の体の左側には、心臓をはじめとする大切な臓器があります。
心臓や胃、膵臓(すいぞう)などが何らかの病気にかかったとき、左の背中に痛みが出てくることがあります。
原因も分からず、急に背中に痛みが出て、その痛みが続くようでしたら、注意が必要です。
運動不足や食生活の乱れ、仕事や家庭などの精神的ストレスを感じていて、背中に痛みが出てしまっている方は、もしかしたら内臓疾患の可能性があります。
内臓別に左の背中の痛みでまとめました。
左の背中の痛み・『心臓』編
◎狭心症
痛みの出るところは、背中の左側から左下辺りです。みぞおちから左胸にかけて胸側に も痛みが出ます。また、左肩や左腕に痛みが出ることがあります。
痛みの場所が、あまりはっきりしないのが特徴的です。
数十秒~数分痛みが出ます。この時間より短い場合は、狭心症の可能性はほとんどない でしょう。
◇症状
重いものを持ったり、坂道や階段を歩いたときに、数分間の胸の痛み。
または、睡眠中や安静時に突然、痛みが出てくる。
◎心筋梗塞(しんきんこうそく)
痛みの出るところは、背中の左側から左下辺りです。胸に圧迫感を伴う激痛が走り、痛 みが30分以上続きます。
◇症状
血圧の低下に伴い、顔の血の気が引いたり、冷や汗が出たりします。
急に痛みが出たり、何日か前から、弱い痛みが出たりする場合があります。
狭心症と心筋梗塞の違いは、
狭心症:血管が狭くなって、血が通りにくい状態です。
心筋梗塞:狭くなった血管に、さらに血液の固まりが詰まってしまい、血が流れない状態です。
東洋医学的に、心(心臓)は夏に症状が出やすくなっています。
立夏を過ぎたあたりから夏とするので、5月くらいから夏となります。
心が弱ると、精神的ストレスを感じやすくなり、人間関係が壊れやすくなります。
この時期は、狭心症なども起きやすくなるので、トマトやスイカなど赤色の食べ物を摂ることで、血液がサラサラになってくるので、積極的に食べるようにしましょう。
左の背中の痛み・『胃』編
◎胃がん
痛みの出るところは、背中の左側から左下です。みぞおちに痛みや違和感。
◇症状
胃のもたれる感じ。食欲不振。みぞおちの痛みや不快感。吐き気やゲップが続く。
貧血。倦怠感。息切れ。黒色の便が出る。
◎胃潰瘍・十二指腸潰瘍
痛みの出るところは、背中の左側から左下です。胃やみぞおちにも痛みが出ます。
◇症状
胃の痛み。吐血や血便。胃・十二指腸に穴があく。急激な腹痛。吐き気。発熱など。
◎胃炎(いえん)・神経性胃炎
痛みの出るところは、背中の左側から左下です。胃やみぞおちにも痛みが出ます。
◇症状
胃の不快感やむかつき。嘔吐。吐血することもあります。頭痛。食欲不振。倦怠感。
東洋医学的に、胃は梅雨と晩夏に症状が出やすくなっています。
晩夏は夏の終わり頃です。
この時期は、甘いものが欲しくなります。
白砂糖などの人工甘味料を摂ってしまうと、血液ドロドロや胃の消化不良が起きてきます。
びわやももなど黄色・だいだい色の食べ物で甘味を補充しましょう。
左の背中の痛み・『膵臓』編
◎膵炎(すいえん)
痛みの出るところは、背中の左側~左下です。左脇腹の上からみぞおちにかけて痛みが 出ます。痛みの度合いは、軽い鈍痛から激痛まで幅広く出ます。
◇症状
吐き気。嘔吐。食欲不振。発熱。
油の多い食事やアルコールを多く飲んだ後は、膵炎の原因として多いので、とくに気を 付けましょう。
◎膵臓癌(すいぞうがん)
痛みの出るところは、背中の左側~左下です。胃やお腹にも痛みが出ます。
初期段階でこれといった症状がないので、背中の痛みが長く続く場合は、念のために内 科か消化器科を受診しましょう。
◇症状
糖尿病の発症・悪化。体重減少や目の白目の部分や爪、皮膚、尿などの色が黄色っぽく なる症状の黄疸(おうだん)が出たら、速やかに病院へ行きましょう。
膵臓は、消化液を分泌したり、血液中の糖(血糖値)の量を調節するホルモンを分泌します。
東洋医学的に、膵臓というのは存在せず、脾臓(ひぞう)と膵臓は同一の役割をするものと、捉えられています。
膵臓=脾臓となりますと、胃と同じ時期に養うべきです。
黄色・だいだい色の食べ物を摂りましょう。
左の背中の痛み・『筋肉』編
背中の筋肉が疲労すると、背中に痛みや違和感を感じる場合があります。
背中の筋肉が緊張した状態になってしまうと、筋肉が疲労して血液の流れが悪くなってしまうことで違和感や痛みが出てきます。
長時間のデスクワークや車の運転、立ち仕事の方に多い症状です。
特に、デスクワークですと、そこまで体を動かさないので、体に負担が少ないと思いがちですが、姿勢が崩れていると体には大きな負担がかかっています。
姿勢の崩れが、背中の筋肉へ与える影響力はとても強いものですので、姿勢の崩れを感じたら、こまめに休憩を入れて、体を動かしてほぐすようにしましょう。
最初は背中に違和感を感じ、なんとなく重だるい感じや動かしたときに張りを感じたりします。
違和感を放置して何もしないでいると、徐々に痛みが出てきてしまいます。
違和感から痛みになってしまうと、改善するまでにも時間がかかってしまいますので、違和感を感じた時点で対処しましょう。
出来るなら、毎日背中のストレッチをすると良いでしょう。
また、左利きの方やスポーツで左手・左足を使うことのある方は、左の背中に痛みが出ることがあります。
この場合は、筋肉の使い過ぎによる筋肉痛や体の使い方が悪いなどの原因が考えられます。
ストレッチをしっかりと行ない、筋肉に疲労を溜めないようにしましょう。
そしてトレーニングで正しい体の使い方を修得しましょう。
背中に痛みを出さないようにするために
運動不足や食生活の乱れ、仕事や家庭などの精神的ストレスを感じている方。
これらを解消しましょう。
体を作り上げているのは、『食』です。食べ物が悪くて一番ダメージを受けるのが内臓です。
昨今では、ファストフードやコンビニ弁当など、手軽で簡単に食べられるものが溢れていますが、これらを食べるときには注意が必要です。
注意する点は、添加物です。食品というのは本来、自然にある食べものから作られるべきです。
しかし、添加物は食べ物とは違い、化学的に作られたものの集まりです。添加物の多くは栄養にならず、体にとって異物として扱われ、体に悪影響を及ぼします。
食品を買う際には、ラベルを見て内容物をチェックする癖を付けましょう。
例えば、おかか、海苔と食品原料が書いてあり、その後に調味料(アミノ酸等)とあれば、そこから後は全て添加物です。
『食』を正すのと並行して、軽い運動やストレッチをするようにしましょう。
運動やストレッチをすることで、血液の流れが良くなり体もスッキリします。
『食』を内側とすれば、運動は外側(筋肉など)を良くします。
筋肉は使うためにあるものですので、適度に使ってあげましょう。
内側と外側が良くなってくると、自然とストレスにも強くなってきます。
生まれ持った性格もありますが、食と運動はストレスに大きく関わってきます。
心当たりのある方はまずは2週間、食と運動に気を付けて生活してみましょう。
左の背中に痛みが出たら要注意!?背中の痛みで分かる症状 まとめ
戦後から日本の食生活と社会は大きく変化してきました。
戦前は、衛生面が不完全だったので、伝染病などによる死者が多かったのですが、
戦後は、肥満や高血圧、糖尿病など生活習慣病にかかる割合が大きくなりました。
そして、デスクワークが増えたり、移動手段が楽になり、運動をする機会が減りました。
食生活の欧米化や労働時間の増加が原因で、心臓病や胃の症状などが出やすくなったと言っても過言ではありません。
出てから「どうしよう」と考えるのではなく、「出さないようにするにはどうしよう」という考えにすることが、健康への第一歩だと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。