右背中の痛みが出たら放っておきますか?前日に激しい運動をしたり、重いものを運んだ、ぶつけたなど筋肉痛になるようなことをしたのであれば、2,3日様子を見ても良いですが、心当たりがなければ体の内側が大変なことになっているかもしれません。そこで、どういった病気で右背中の痛みを感じるか、その時自分でどのように対処をしたらよいかを今回はまとめていきたいと思います。
こんなことで右背中の痛みを感じる
右背中の痛みは、専門的には「背部痛(はいぶつう)」と呼ばれています。
しかし、背部痛の中には原因がはっきりとわからないものも多く、画像検査(レントゲンなど)をしても異常がわからないこともあります。
そんな背部痛の原因の一つに、肉体労働などによる筋肉の疲労が挙げられます。
筋肉の疲労は、ストレス(筋肉の負担・緊張)が続くことで起こります。
このストレスは、筋肉が弱い・姿勢が悪い、ということが原因でも起こります。
血行が悪くなるため、肩や背中の痛みが出やすくなります。
特に背中の筋肉の場合は、肩こりなどで知られる「こり」が生じ、そしてこの「こり」が「筋肉痛」という形で表れます。
また、「こり」の状態が長く続くと、筋肉は硬くなり、感覚も鈍くなってきます。
一方、怪我や骨の異常などの場合にも、背中の痛みが出ることがあります。
例えば骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、胸椎腫瘍(きょうついしゅよう)という病気があります。
骨粗鬆症は骨がもろくなった状態です。
転ぶ、重い荷物を持つなど、体に衝撃が加わると、背骨が折れて背中から胸のあたりにかけての痛みが出ます。
胸椎腫瘍は「がん」の一種です。
他の臓器などにある「がん」が胸の高さの位置にある背骨に移ったりした場合、背中の痛みが生じます。
また、胸椎腫瘍も骨粗鬆症のように骨がもろくなっているため、衝撃が加わることで背骨が折れてしまい、痛みが出ることもあります。
右背中の痛みを感じる方は変な姿勢で過ごしていませんか?
右背中の痛みの原因として、特に注目する必要があるのは姿勢の悪さでしょう。
最近はコンピュータ、スマホなどの携帯電話を使用することも多いでしょう。
これらの使い過ぎも姿勢の悪さ、そして右背中の痛みに関係してきます。
コンピュータなどの使い過ぎで、背中が丸まって、姿勢が悪くなってくることがあります。
この状態を「円背(えんぱい)」または「猫背」と言います。
円背になることで、肩・首・背中などの関節や筋肉の痛み・痺れが表れてきます。
時にはお腹の部分(内臓)が圧迫されることもあります。
もちろん、背中の痛み以外にも症状が出てきます。
例えば、腕や指の痺れ、肩の凝りや痛み、腰の痛み、眼精疲労(がんせいひろう)があります。
このようなコンピュータなどの使い過ぎによって生じる症状の総称として「VDT症候群」と言います(VDT:Vidual Display Terminals)。
VDT症候群は、上に挙げたような肉体的な疲労だけでなく、精神的な疲労も引き起こします。
そのため、厚生労働省も「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を定めて、注意を呼び掛けています。
VDT症候群の症状として、特に注目してもらいたいものとしては眼精疲労(がんせいひろう)があります。
意外かもしれませんが、目の疲れは目の症状(痛み・かすみ)の他にも背中・腰・頭の痛み、酷い場合は吐き気などの原因になります。
ストレスは右背中の痛みの原因になる!
右背中の痛みの原因の一つとして、先程ストレスという言葉が出てきました。
そもそも、ストレスはどのように体に影響するのでしょうか。
身体はストレスを受けると様々な反応が起きると言われています。
例えば神経の一種である自律神経は、ストレスに反応する神経と言われています。
この働きが過剰になると痛み(胃・頭・背中など)だけでなく、眠れないといった症状が出てきます。
ストレスだけでなく生活習慣も自律神経に影響し、痛みのほかに手足の痺れを引き起こすこともあります。
最近は医学の分野でも「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉が使われ、痛みに対しては身体だけでなく心にも治療を行うことが大切と言われています。
特に、痛みが長く続くほど心の問題となってくると言われています。
現代の社会にはストレスが多いと言われ、「ストレス社会」という言葉も出てきています。
特にアメリカでは、ストレスが原因で生じる痛みが増えている傾向にあり、慢性的な痛みが3番目に多いと言われています。
右背中の痛みは肝臓に異常があるから
右背中の痛みには、重い病気が隠れていることがあります。
それが肝臓・胆嚢(たんのう)の病気で、「肝臓がん」「肝炎」「胆嚢炎」があります。肝臓がんとは、文字の通り肝臓ががん化する病気のことです。
肝臓自体ががん化することよりも、他のがん化した臓器から移る場合がほとんどです。
どのがんにも言えることですが、がんは初期の段階では症状が現れにくく、進行してがんが大きくなってから症状が出てきます。
特に肝臓の場合は、痛みを感じる神経がないことが一番の理由です。
肝臓のどの病気も早期に気づくことは少ないため、「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。
また、肝臓がんの特徴としては、男性の方が多くみられることが挙げられます。
肝臓がんでみられる症状には、右側の腹部不快感、右背中の痛み、疲れやすさ、吐き気、食欲がないなどがあり、特に食欲がなくなってしまうために食事がとれず、徐々に体は衰弱していきます。
右側の症状が多いのは、肝臓が右側にあることが一つの理由です。
肝炎は大きく二つの原因から大別され、
1)ウイルス性肝炎(A型・B型・C型)、
2)アルコール性肝炎があります。
胆嚢は肝臓の裏側にある臓器のため、肝臓の病気と同様に体の右側に症状が出ることが多いです。
特に、右肩・右背中に痛みが出ることが特徴です。
そのほかには胸の痛み・冷や汗・寒気・吐き気がみられることもあります。
右背中の痛みはこの対処法を実践!
これまで右背中の痛みの原因を見てきましたが、次は対処法を見ていきます。
1)冷やして炎症を抑える
炎症とは、赤み・熱さ・腫れ・痛みがみられる状態のことです。
特に右背中の痛みが出たばかりの時期には、冷湿布・氷枕などで冷やすことが推奨されます。
既に右背中に熱さがあるため、温めると逆に症状がひどくなります。
しかし、原因・時期によっては冷やすことで血行が悪くなり、症状がひどくなることもあります。
2)体を温める
温めることで血行が良くなるため、痛みを起こす物質が洗い流され、痛みを和らげる効果があると言われています。
温かい蒸しタオルなどを使って温める方法が良いでしょう。
しかし、心臓に異常がある場合は注意が必要です。
3)マッサージを受ける
マッサージも温めた場合と同様に、血行を良くする、筋肉の疲労を取るなどの効果があります。
加えて心のストレスもほぐす効果があると言われているため、胃腸の調子を整えることが出来ます。
マッサージは街の治療院、病院などで受けることが出来ます。
しかし、右背中の痛みが出てから時間が経っている場合や症状が強い場合は効果が得られない場合もあります。
4)市販の薬を使う
症状の様子を見たいとき、既に専門家に相談している場合には市販の薬を使うこともできます。
5)病院の診察を受ける
最も確実な方法です。
上記の方法を実践しても効果が得られない場合にはきちんと受診することが必要です。
右背中の痛みは予防するのが一番!!
最後に、右背中の痛みを予防する方法を見ていきます。
1)姿勢に気を付ける
背中の痛みと背中の筋肉の関係はとても深いです。
特に姿勢の悪い状態によって筋肉の無理な負担・筋肉の緊張した状態が続くと肩や背中の筋肉の「こり」を生じ、痛みが出てきます。
2)肩と背中の筋肉を鍛える
身体を動かす機会の少ない人は、少しの運動でも痛みが出やすいです。
また、運動不足で筋肉が弱くなると姿勢の悪い状態を引き起こし、痛みが出やすくなります。
3)定期的にストレッチをする
ストレッチには筋肉を軟らかくしたり、血行を改善したりする効果があり、痛みを和らげることが出来ます。
右背中の痛みを予防するために、軽めの運動・ストレッチの習慣づけをしましょう。
しかし、痛みが広い範囲に広がる、痺れを伴う場合にはストレッチや体操は薦められません。
4)運動をする
運動は右背中の痛みの予防には特に効果的な方法です。
しかし、痛みが強い場合、運動で痛みがひどくなる場合、痺れ・尿漏れと言った症状が出る場合は専門家への受診が必要です。
5)食生活を改善
胃腸の病気は現代社会に特徴的な病気と言われています。
特に食生活に注目すると、刺激の強い食事が原因となります。
右背中の痛みの原因の一つである肝臓の病気にも、食生活が関係しています。
6)冷えの予防
血行が悪くなると痛みが生じるため、冷え性がある場合は、クーラーなどで背中を冷やしすぎないようにする必要があります。
右背中の痛みには要注意!
様々な原因から右背中の痛みを感じるということはお分かりいただけましたか?
ご自身でここ最近の過ごし方から原因を特定できれば対処は簡単ですが、自分自身で体の中の様子までは分かりませんよね。
背中に痛みが出たときはもうかなりの進行状態ということも考えられます。
痛みではなく違和感を感じたほどでも、病院で検査をしたほうが安心できるのではないでしょうか。
ご自身の体の状態に無関心な方もまだまだいます。
ぜひこの記事を参考に、自分の体と向き合ってみてくださいね。