咳が続くと辛いですよね。まさかその影響で最悪肋骨が骨折してしまうなんてこともあるのです。そうならないために症状を知り、早めに対処してください。今回はその原因と対処法をまとめました。
咳が続くと肋骨を骨折してしまう
咳が長引くと、肋骨が疲労骨折してしまう場合があります。つまり大きな咳によっていきなり肋骨が折れるのではなくて、咳という小さな刺激が続くときに肋骨が折れてしまう可能性があるのです。
疲労骨折というのは、マラソンランナーの欠場理由で聞いたことがあるかもしれませんが、骨に急激な圧力が加わるのではなく、小さな圧力が骨の同一部位に繰り返し、力がかかることによって骨折が起こることです。
軽度な場合には骨に細かなひびがが生じる程度です。咳をしたときだけに肋骨にひびが入ったところに痛みを感じます。ひびが入りやすいのは咳をしたときに力がかかりやすい第7、第8、第9肋骨骨折です。(上から数えて7、8、9番目の肋骨)
このときに検査をして肋骨骨折を発見して、咳をとめる治療をすることが大切です。
重症化すると本当に骨が折れてしまいます。そうなると咳をしなくても、体をひねっただけで痛みを感じたり、何もしなくても痛みを感じます。そうすると咳を止めるだけでなく、肋骨の治療が必要になります。
咳による肋骨骨折の治療法と治療期間
咳による肋骨骨折の治療法は、咳を止めることが優先されます。
肋骨骨折が軽度な場合には、咳を止めることによって、自然にひびがなくなり、痛みも取れてきます。寝ているときなるべく寝返りを打たないように、睡眠時には電気を消して、なるべく音をさせずに、室温に気をつけることも有効と言われています。
胸部用のベルト(バストバンド)などで固定することも有効です。(しかし、寝るときにバストバンドを着けていると熱が逃げないために暑く感じて、寝返りが増える可能性があるので、寝るときは外した方が良いという意見もあります)
咳による肋骨骨折では重症化した場合も基本は固定です。重症化すると、常に痛みを感じることから患部の固定が難しくなるので、鎮痛のための内服やシップなどの外用剤をしっかり使用する必要があります。
1~2週間程度固定していると痛みが徐々に減っていきます。3週間程度で痛みが気にならないようになります。4週間後にはレントゲン上でも治癒している場合が普通です。
ただし、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で骨の密度が低くなっている場合には治癒するまでの期間が長くなる場合もあります。
咳が続きやすい病気
咳が続く病気としては喘息が思い浮かびますが、喘息の場合には喘息発作がでているときに咳が続きますが、期間はそれほど長くないので、可能性は低くなっています。
しかし、重積発作などでは肋骨にかかる力の大きな咳が出る場合があるので、発作の後に胸の痛みがある場合には肋骨骨折の検査を行う必要があります。
花粉症は鼻の症状がでる人が多くなっていますが、咳が続く人もいます。その場合に胸の下部に痛みを感じる場合には肋骨骨折を疑う必要があります。
呼吸器系のアレルギーがある人は年中咳が出ることから、肋骨骨折の可能性が増えます。この場合にはとにかく咳を抑えることが大事になります。
アレルギー性鼻炎の場合にも咳が続く場合があるので、肋骨骨折の可能性が高まります。
かぜが長引くと胸に痛みを感じる場合があります。この場合には肋骨骨折の検査も大事ですが、肺炎を発症している場合を疑うのを優先します。まず、肺炎の検査をします。それから、レントゲンで肋骨骨折の検査を行います。肋骨骨折は命にかかわる可能性はほとんどありませんが、肺炎は命にかかわる可能性があるからです。
肋骨骨折にならないために必要な栄養
骨は骨膜と骨で支えられています。骨に力がかかっても、折れにくいのは骨膜というクッションがあるからです。
肋骨骨折を防ぐためにはまず骨を丈夫に保つ必要があります。そのためには骨の成分であるカルシウムが必要です。
しかしカルシウムだけが十分であっても骨は強くなりません。以下の栄養素も必要です。
ビタミンD:骨がカルシウムを吸収するために必要です。しかしビタミンDは体の中で作られるので、あまり栄誉素としての摂取は日本ではあまり気にする必要がないといわれていました。
しかし、体の中でビタミンDを合成するためには紫外線が必要となってきます。美白のために紫外線をシャットアウトしている女性の中でビタミンDが不足する場合があります。これは北欧などで緯度が高いところで日中紫外線量がもともと低い地域と同じ問題が生じてしまいます。
リン:リンとカルシウムは体の中でその比率が一定になるように調節されています。リンが過剰になると骨からカルシウムが溶け出し、骨粗鬆症になる可能性が増えてしまいますので、気をつけましょう。
肉類や乳製品や加工食品の粘着度を高め固まりやすくする結着剤として食品添加物にはリンが多量に含まれています。そのため、リンを大量に摂取している場合にはカルシウムをたくさん取る必要があります。
その他、マグネシウムやビタミンKが不足すると、骨が弱くなります。
骨膜はコラーゲンなどからできています。これはコレステロールから体の中で作られます。この原料となるコレステロールはほとんど肝臓で作られるのであまり心配することはありません。
肋骨周りのストレッチをしよう
肋骨骨折の予防法は栄養補給によって、骨を強くするだけでは不足する場合があります。
骨の周りに刺激を与える必要があります。そのため、腕立て伏せなどによって負荷をかけると胸の筋肉が発達するとともに骨の発達を促します。
咳による肋骨骨折は肋骨の一部だけに負荷がかかることが発生することから、軽い負荷を全体に分割することも効果があります。パートナーなどと背中合わせになって片方の背中の上に片方の背中を載せることによって肋骨全体に軽い負荷をかけるストレッチがオススメです。
このストレッチは肩甲骨を動かすことから、肩こりや腰痛にも効果があります。
同様なストレッチとして、腹這いに寝て、頭の後ろに組んで、背中をそることも有効です。ただし、ひとりで行うと腰に力が入りすぎるので、パートナーにゆっくりと引き上げてもらうことをおすすめします。
後は肩に指先をつけて、ひじを肩を中心に回します。なるべく大きくゆっくり回すことが大切です。前方10回、後方10回を1セットにして1日3回行うと肋骨が強くなります。また、このストレッチは肩甲骨を動かして、脂肪燃焼にも効果があるので、やってみてください。
肋骨骨折予防のストレッチに骨折予防以外の効果もあります。
咳が続いて肋骨が折れる場合があります。
実際に痛みが出た場合には、咳を止めることが重要になります。咳が止まれば、安静にしていれば(痛みが強い場合には固定し、鎮痛剤を使えば)4週間程度で治ります。
咳程度で骨折しないようにするためには、食生活で骨を強くするための栄養素を取ることも大切ですが、ビタミンDが体の中で生産できるように少しは紫外線を浴びることが大切です。
肋骨を鍛えるストレッチは肩甲骨も動かすことになるので、肩こり、腰痛、脂肪燃焼に有効です。続けてみると骨が強くなり、肩こり、腰痛が消え体重が少し減っているかもしれませんので、是非試してみてください。