嘔吐しそうになったり、物を飲み込もうとすると何だか違和感がするのはとても気になる症状ですね。
これは食道の中で炎症が起こっているからだと思われます。
飲みこんだ物の通り道である食道は、刺激を受けやすい場所でもあります。
こうした症状の原因を突き止めるべく今回は食道炎の種類と対処法について説明していきます。
嘔吐を伴い違和感を感じる食道炎の種類について
食道に違和感を感じて嘔吐したことのある人は多いでしょう。
食道は喉頭と胃をつなぐ約25cmの、文字通り食べ物の道のことです。
喉頭には上部括約筋があり、食道と胃との境目には下部括約筋があります。
この筋肉を使って食べ物や飲み物を口から胃へと一方通行で送り込むのが食道の役割です。
体の中にある食道ですが、外からくる食べ物や飲み物、間違って飲み込んだ異物と直接触れるため、刺激を受けて粘膜に炎症が起こりやすくなります。
これが食道炎です。
食道炎は原因によりさまざまな種類があります。
逆流性食道炎(胃酸の逆流)、感染性食道炎(細菌・ウイルスの感染)、腐食性食道炎(薬品の誤飲など)、放射線食道炎(放射線療法の影響 )など様々な病名があります。
このほとんどは逆流性食道炎で、それ以外に食道炎になることはほぼありません。
ですので、一般的に食道炎といえばこの逆流性食道炎のことです。
それぞれの症状と対処法についてお話していきましょう。
嘔吐を伴い違和感を感じる逆流性食道炎について
逆流性食道炎により食道に違和感を感じて嘔吐することがあります。
もともと日本人には少ない病気でしたが、最近は増えています。
日本の食生活が欧米型に変わったことにより、逆流性食道炎にかかる人が増えたと考えられます。
胃の中の胃液はph1~1.5と強酸性を示します。
逆流により食道の粘膜が胃液に触れると、酸の刺激と消化酵素によりただれたり、潰瘍ができたりします。
逆流性食道炎の3大症状、胸やけ、呑酸(どんさん)、嚥下障害について説明しましょう。
胸やけ
胃液により食道が傷ついて起こります。
食後に起こりやすいです。
みぞおちから胸にかけて痛みを感じます。
呑酸(どんさん)
胃液が口の方まで上がってくることにより、酸っぱい液体がのどにこみあげてきたり、酸っぱいげっぷが出たりします。
嚥下障害
炎症で喉や食道の粘膜が腫れることにより、飲み込む際違和感を覚えたり、のどに詰まる感じがします。
そのほかにも3大症状以外の多くの症状もあります。
通常は胃液が逆流することはありません。
しかし下部食道括約筋の機能が低下すると、胃液が逆流することがあります。
年を取ったり、暴飲暴食で起こりやすくなります。
胃を圧迫したり、過度のストレスなどでも起こります。
逆流性食道炎の対処法について
食道に違和感を感じて嘔吐した場合、逆流性食道炎だと感じたら消化器内科か内科を受診して、検査を受けましょう。
逆流性食道炎ではなくほかの病気の可能性もあります。
自然に治ることはあまりないので、早めの受診が大切です。
症状が悪化すると、胃がんや食道がんなどを引き起こすこともあります。
薬で治らない場合は手術を行う可能性もあります。
自己判断で胃薬を飲むのではなく、早めの受診が大切です。
また処方された薬を数日飲むことで食道粘膜の炎症はすぐに治まるでしょう。
しかし再発しやすい病気なので、規則正しく生活し、逆流性食道炎を予防していかなくてはなりません。
処方される薬について紹介します。
ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、PPI
胃酸の分泌を抑制する
制酸薬
逆流した胃酸を中和する
粘膜保護薬
食道粘膜を保護し炎症の改善を促進する
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
みぞおちのつかえをしずめる
安中散(あんちゅうさん)
胸やけ、胃もたれをしずめる。
逆流性食道炎の予防、改善のために日常生活で気をつけること
食道の違和感で嘔吐して、 逆流性食道炎と診断された場合、どのようなことに気を付けたらいいでしょうか。
腹八分目の食事をする。
和食を心がける。
刺激物を控える。
禁煙する。
ストレスをためない。
など多くの注意点があります。
また食後に飴やガム、梅干を食べると唾液が分泌され 逆流性食道炎の予防に効果があります。
食道が急に痛くなった時には、白湯や牛乳をコップ1杯飲みましょう。
その後病院で適切な処置を行ってください。
逆流性食道炎は年齢を問わず発症します。
食道がんの可能性もあるので、痛みを感じたら念のため病院で検査してもらいましょう。
「胸やけ」「呑酸」「嚥下障害」が続くのなら、市販の薬を飲むよりも、病院で検査してもらいましょう。
漢方薬も効果的です。
喉のつかえなどに効果があります。
服用に慣れるまでは、吐き気や胃の不快感、かゆみなどを感じますが、慣れるに従い改善されます。
しかし体質に合わず症状が強くなるなど不具合があれば、医師と相談しましょう。
嘔吐を伴い違和感を感じる食道裂孔ヘルニアについて
食道は横隔膜にある穴を通って胃までつながっています。
通常は腹腔内に収まっている胃ですが、圧迫を受けると胃の一部が食道裂孔内にはみ出すことがあります。
食道裂孔ヘルニアとよばれる状態です。
自覚症状がないので、気づかないような軽い状態であれば、特に治療することはありません。
しかし胃の一部が食道裂孔にはみ出ることにより、胃液が逆流しやすくなります。
そのため違和感を感じて嘔吐したり、逆流性食道炎となることがあります。
年を取ったり、妊娠出産、肥満による圧力などが原因と考えられます。
逆流性食道炎と同じ症状なら炎症を鎮める治療をして、胃を正常に戻す外科手術が必要となります。
ストレスも消化器に悪影響を与えます。
自律神経のバランスが乱れ、食道のぜん動機能が低下し、胃液が逆流しやすくなるのです。
肥満やストレスは自分で調整することができます。
食道裂孔ヘルニアや逆流性食道炎とならないよう、日常生活に気を付けて過ごしたいものです。
嘔吐を伴い違和感を感じるその他の食道炎について
食道に違和感を感じて嘔吐する逆流性食道炎以外にもいろいろな食道炎があります。
感染性食道炎
食道に細菌やウイルスが感染して起こる食道炎。
逆流性食道炎よりなりくにくい食道炎です。
ウイルス性食道炎
ありふれた常在菌が、免疫力が低下した時に活性化して食道に炎症を起こします。
免疫力が急激に低下しないように健康管理をすることで防止できます。
放射線食道炎
肺がんの放射線治療中に一時的に食堂粘膜に炎症が起こる食道炎。
放射線治療が終了すると自然に治ります。
腐食性食道炎
刺激の強い化学製品を飲み込んで起こる食道炎。
成人が自殺を企てて起こすことが多いですが、小さい子供のいる家庭でも起こる可能性はあります。
化学製品を飲み込んでしまった場合、すぐに病院で胃洗浄や薬品の中和を行う必要があります。
吐かせると食道の炎症が広がったり、気管支に入って誤嚥性の肺炎を引き起こす可能性があります。
危険な日常品は子供の手の届かないところに保管しましょう。
嘔吐を伴い違和感を感じる食道炎の疑いがあり、心配なときは?
嘔吐を伴い違和感を感じる時はもしかして、自分は重大な病気ではないか?ととても心配になりますよね?
またそう思っても病名を知ることがこわくて医療機関に行くことをなかなか躊躇していけないことって多々ありますよね?
今は医療技術も進歩し、あまり身体に負担無く検査を受ける事が出来る様になったのでもし、気になる症状がひとつでもあったら早めに専門医療機関を受診する事をお勧めします。