外科と整形外科の違いを知っている方は多いのでしょうか?
医療関係に携わっている方ならともかく、縁のない方には同じに思えてしまいます。
いざケガをしたときにどこに行けば良いかと迷わないためにも違いを知っておきましょう。
外科と整形外科の違い
病院には○○科といった専門とする内容が違う様々な科があります。その中で外科とは内科とともに医学の中心を担っています。内科は問診、視診、触診などから症状を見極め手術をせずに投薬による治療を行うのに対して、外科は手術による治療を行います。
外科というこの診療科目は広範囲を網羅しているため、頭部、胸部、腹部、四肢など部位ごとにさらに細分類化されて専門的に研究が行われています。
脳神経外科や整形外科などといった専門分野が確立されていますが、整形外科は外科と何が違うのでしょうか?
整形外科の診療科目で扱うものといえば捻挫、打撲、骨折、腰痛、関節痛などが中心になります。そのため外科といっても手術をメインに治療するイメージとは異なると思います。もっとも代表的なものは骨折の治療で、外傷骨折、疲労骨折、病的骨折など様々です。外傷骨折は外側からの力によって引き起こされる骨折で、交通事故やスポーツ事故などで起こる骨折はすべてこれに当てはまります。疲労骨折とは筋肉の収縮による小さな力が骨の筋付着部に繰り返し加わることで起こる骨折を指します。完全なる骨折ではなく亀裂骨折になる場合が多くなっています。病的骨折は、骨が何らかの病気に冒され強度が落ち異常な状態となり、ひょっとした何かのはずみに折れてしまう骨折です。主たる原因は骨肉腫です。 骨折の治療は早期発見、早期治療が最善であり、骨折をしてから6~8時間が最適だと言われます。そのほかにも肉離れや打撲といった靭帯や筋肉に関する外傷や疾患、坐骨神経痛やヘルニアなどの脊髄や神経に関する外傷や疾患、腰痛や肩こりの治療、リハビリテーションなども行っています。
その他にも違いのある外科がある1⃣
まずは子供専門の外科、小児外科です。
小児外科とは、小児科で診るような疾患の中で、手術を必要とした場合に対応します。
新生児から15歳未満が対象年齢となります。例えば、15歳未満の鼠径ヘルニアや虫垂炎、腸にできるようなポリープなどが当てはまります。小児科で診る疾患だといっても、心臓や血管は心臓血管外科で、頭は脳神経外科、腎・泌尿器は泌尿器科で診ることになります。
皆様は形成外科を耳にしたことがありますか?整形外科の言い間違いじゃないの、と思われる方も多いかもしれません。しかし、形成外科という分野はすでに半世紀以上前から存在していたのです。
形成外科とは、身体の各部に生じた組織の異常や変形、欠損、さらには見た目的な不満足に対して、様々な手法や特殊な技術を駆使して、機能だけでなく形態的にもより正常に、より美しくすることで、皆様の生活満足度向上に貢献している、外科系の専門領域なのです。
形成外科の診療内容
・怪我、火傷、床ずれなどで残った傷
・ガン手術で失ってしまった組織や機能を再建する
・皮膚の病気で変わってしまった箇所で切除が必要な場合
・身体の生まれつきの奇形を修正する
・しわやたるみなどの除去といった若返り手術や目や鼻、アゴのラインなどの美容外科
ホントに少し前までは、美容整形はこっそりと周りの人たちに内緒でやっている印象でしたが、ここ最近は美容外科で整形することが流行といっても過言でないほど、普通に行う人々が増えているように感じます。実際のところ、美容整形外科手術のためにだけ海外を訪れる人たちも多くいるようです。
美容外科は両親からもらった大切な体の一部を人為的に作り変えてしまうので、マイナスなイメージが強かった気がします。ところが最近では美容整形でコンプレックスを無くして自分をもっと良くしようと考える人や、いじめや悪口の原因を無くすなどの目的で訪れる方々が多いようです。
ただ単に自分の容姿をもっと綺麗に見せようとするだけが目的であればあまり望ましくない気がしますが、ずっと抱えていたコンプレックスを取り除くことによって自分の人生が開けるのであれば、それは良いことだと思います。
その他にも違いのある外科がある2⃣
歯科口腔外科をご存知ですか?これはどちらかというと街中というよりは病院内に属していることがほとんどです。
歯科とつくので歯医者さんのスペシャリストのようなイメージが湧きます。診療内容としては、一般歯科と同じく歯周疾患や虫歯も勿論診ますが、それよりもっと大がかりな口腔内の手術を行うような疾患をメインに扱います。例えば、交通事故やスポーツ事故によって歯が折れてしまったり、顎関節にひびが入ってしまったりといったケースが当てはまります。その他にも、舌癌(ぜつがん)をはじめとする口腔内の様々なガンの手術もこの歯科口腔外科の専門です。咽頭がんの場合、耳鼻咽喉科で手術をすることもできますが、歯科口腔外科が担当する場合もあります。
また、神経内科と連携して味覚異常を診るといった、他科との連携を図ることが病院内に属している理由です。
脳神経外科は、頭部、脳血管、脳神経にかかわる疾患の中で手術が必要なものを担当します。例えば、脳梗塞です。手術後は、内科や神経内科に回すことが多いようです。
そのほか、事故による頭部外傷、脳腫瘍、てんかんといった病気も担当しています。脳血管性の認知症もこの科で診ます。これらも手術後は内科や神経内科に回す場合が多いようです。
脳神経外科というとかなり難手術を専門とするイメージがありますが、症状や病名を見るとかなり身近なものだと感じることができるでしょう。
その他にも違いのある外科がある3⃣
外科とつくものはまだまだあります。
呼吸器外科とは、肺、気管、横隔膜といった呼吸器に対し、手術を行う診療科です。
具体的な病気としては、細身の若い男性が発症しやすい自然気胸という病気です。肺の一部分が少し破れて、空気が胸腔に漏れてしまうという病気のことです。これを手術をせずに、管をつかった処置で対処する場合は呼吸器内科もしくは内科が担当します。気胸手術が選択された場合は、呼吸器外科の担当となります。
肺がんについても同じことがいえます。手術を行うなら、呼吸器外科、手術以外で投薬治療となった場合は呼吸器内科もしくは内科となります。そのため、ほとんどの疾患が呼吸器内科または内科と連携をとって治療していくことになるます。また、肺がんに対して放射線治療を選択した場合は放射線科との連携をとります。
次に心臓血管外科とは、心臓および動脈、静脈といった血管の手術が担当です。狭心症や心筋梗塞といった病気を診ることになります。これらの病気は手術は心臓血管外科、手術後もしくは手術なしの場合は循環器内科が担当になります。ほとんどが循環器内科との連携になります。
心筋梗塞は国の三大疾病の一つです。これからさらに心臓血管外科の役割は大きくなっていくのは間違いないでしょう。
整形外科と、接骨院・整体院の違いは
最初に説明しました整形外科と同じようなイメージのある接骨(整骨)院、整体の違いはどんなものなのでしょうか?
一般の方からすると、どれも同じようなもので、明確な違いを把握されていない方も多いかもしれません。
整形外科では医師が診察をし、必要な検査を行い、診断をします。法律上診断を許されているのは、医師だけなのです。診断後、病態に合わせて処置、投薬、注射、手術、リハビリテーションなどで治療していきます。
接骨(整骨)院では、国家資格を取得した柔道整復師が施術を行います。柔道整復師は医師ではなく医業類似行為をすることを許可されている国家資格です。健康保険が使えますが、捻挫・打撲などのケガ、骨折・脱臼などの外傷治療のみが業務範囲になります。それ以外の慢性的な腰痛や膝痛などは保険適用外になります。
接骨(整骨)院で健康保険を使って外傷以外の慢性不調で通うことは違法です。実費負担になるのが当たり前です。
整体院は無資格です。健康保険は適用外です。読んで字のごとく体を整えることを生業としています。健康保険適用外の慢性痛解消をメインとしているところが多いようです。
実際のところどれが良いかと聞かれたら、まずはきちんと検査をし、医師の診断を受けて治療をしてくれる整形外科の受診をお勧めします。
レントゲン、CT・MRI、血液検査、その他の必要な検査を行い、症状の原因をきちんと特定し、そこに治療を行うのが整形外科の特徴であり、他の職種では行えません。
病気や怪我の原因が姿勢の悪さや生活習慣だった場合は整体で身体を整えることで様々な不調が取り除けるかもしれません。
最終的には自己責任、自己判断で最善の選択をできるようにしておきましょう。
まとめ【外科と整形外科の違いは何なの?他にも外科ってあるけど。】
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整形外科とその他の外科の種類をまとめてみました。
○○外科は基本手術をするのが専門、内科などと連携を取りながら様々な専門的分類がされています。
その中で整形外科だけは少し特殊で接骨、整骨院と間違われやすい外科と言えます。基本的に整形外科以外は自分の判断で直接診察に行くことはほとんどないでしょう。連携の上で、回されることが多いと思います。
外科すべてをこなせるオールラウンダーではなく、より専門分野に特化したスペシャリストのいる○○外科のほうが安心して任せられそうですよね。
少しは参考になりましたでしょうか?
またこういった情報を発信していきたいと思います。