妊娠中は、色々と体の不調が現れやすいものですよね。
胃腸の不快症状もその中の1つで、つわりによる吐き気や、食欲不振、消化不良などがあります。
妊娠をする前であれば、気軽に胃薬を飲んでいた人も多いと思います。
しかし、妊娠中に薬を服用するのは、お腹の赤ちゃんに悪い影響を与えてしまうのではないかと不安になりますよね。
今回は、妊娠中に処方された胃薬を服用しても良いのかについてまとめてみました。
胃薬を処方してもらいたい!妊娠中の不快な胃腸症状と原因
妊娠中は体の変化が起きやすく、様々な症状が出ます。
代表的なのは「つわり」ですが、その他にも多数ありますので確認してみましょう。
まず妊娠中は胃腸の働きが弱くなります。
それに伴って吐き気や胸焼け、また消化不良による食欲不振なども妊娠期の特徴です。
そしてつわりは詳しい原因はいまだに解明されていないものの、ホルモンバランスが崩れていたり、身体が赤ちゃんを異物と認定してしまい、拒絶反応を起こしている為とも言われています。
またこのホルモンバランスを崩す原因となるプロゲステロンというホルモンは、受精卵が着床しやすい状態に整えて、妊娠を継続させる働きがあります。
妊娠期にはとても大きな働きをしてくれるホルモンなのですが、分泌され過ぎると心と体に不快感をもたらします。
また妊娠後期になると赤ちゃんが大きくなってくるので、胃腸を圧迫するようになり不快感が出ます。
食事を何度かに分けて食べると良いでしょう。
この様に妊娠期は胃腸の不快感が出てしまう物なのです。
しかしだからと言って、安易に市販の胃薬を飲んではいけません。
大切な時期ですから、胃薬は医師に処方されたものを飲む様にして下さい。
妊娠中の胃薬は基本的には医師に処方してもらおう
妊娠中は胃腸の働きが弱まっているので、苦しい時期もあると思います。
そんな時頼りたくなるのは薬ですよね。
ただ妊娠中はリスクを避ける為にも、飲んでよい物を選ばなくてはいけません。
胃薬には第1類~第3類医薬品と医薬部外品があり、妊娠中は第2類医薬品の一部と第3類医薬品、医薬部外品には飲めるものがあります。
また一般的に作用が軽めと言われている「ムコスタ」「セルベックス」でも妊娠中は安全と言い切れません。
その中でも安全性が確立されていないものに関しては、説明書きに妊娠中は控える旨が記載されていますので必ず確認して下さい。
また一番間違いないのは、病院に行って医師に処方してもらう事です。
妊婦さんの中には妊娠高血圧症などで飲んではいけないものもあるので、処方箋の方が確実です。
また家に元からある胃薬を自己判断で飲むのは危険なので、かかりつけの産婦人科で聞いてみましょう。
とにかく大切な時期だけに、慎重には慎重を期して薬を選んでいただきたいと思います。
妊娠中の不快な胃腸症状には、処方される漢方が安心?
昔から女性の治療には漢方が向いていると言われています。
これは古来より漢方が女性特有の疾患の治療に力を入れてきたことに、起因しているようです。
漢方は古来からの歴史に裏打ちされた安心感がありますし、効き方が穏やかで副作用が少ないので、妊娠中の治療には最適と言われています。
妊娠中の症状緩和には3世紀ごろの書物に「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が効くと書かれています。
これは安胎薬というもので、妊娠中毒症などの治療に現在も処方される薬です。
また漢方には「末病を治す」という言葉があります。
「未病」とは病気ではないけれど放置しておけば病気になるかもしれない状態の事を指します。
例えば冷え症は厳密に言えば病気ではありませんが、漢方薬には対応している物があります。
妊娠中の症状もまさに未病の様なものですから、漢方が合うという事です。
妊娠中の漢方胃薬としては、胃痛があれば柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)や四逆散(しぎゃくさん)が良いですし、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は吐き気や、もたれ、胸やけなど、いろいろな胃腸症状に広く使われています。
また冷えを伴う症状の時は、人参湯(にんじんとう)が良いとされています。
妊娠中の辛いつわりに・・・処方されることが多い漢方薬の紹介
では妊娠中に処方されることの多い漢方薬を紹介します。
★小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)
つわり時の胃薬としては代表的な物で、主に吐き気が強い時に効き目があり、胃の調子を整えてくれます。
サトイモ科の植物や菌類、生姜など自然由来の成分で生成されています。
★呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
冷えに効く漢方で、頭痛にも効果があります。
まれに食欲不振や胃の不快感が出る事があります。
★人参湯(にんじんとう)
こちらも冷えを予防する作用があります。
また貧血防止にも効果があります。
★六君小湯(りっくんしゅとう)
胃腸の働きを活発にしてくれるので、食欲不振時に良く効きます。
★半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
先ほどの小半夏加茯苓湯にホオノキの樹皮と紫蘇の葉を加えた漢方薬です。
発汗させるので解熱の効果が高かったり、食欲を増進させてくれます。
漢方薬は穏やかな効き目の為副作用は少ない方ですが、全くないとは言いきれません。
服用時は医師の指示に従ってください。
妊娠中に胃薬を処方してもらう前に!胃腸に優しい食べ物を摂ろう
胃薬を処方してもらうのも良いのですが、妊娠中は食べる物も気を遣わなくてはいけません。
妊娠中に自然由来の物から作られている漢方が良い事を踏まえれば、食品も当然添加物や着色料、保存料が入っていないものを摂りたいと思いますよね。
まずは主食を玄米や胚芽米といった、未精製の雑穀に替える事をオススメします。
赤ちゃんの為にも必要な、ミネラルやビタミン・カルシウムが豊富に含まれていますし、食物繊維も豊富なので便秘がちな妊婦さんにもオススメです。
ただしこれらは消化が良くないので、良く噛んで食べましょう。
また大豆系食品もオススメです。
大豆食品に含まれる、たんぱく質は、赤ちゃんの体のベースとなる、血液や筋肉を作る体組織の主成分です。
たんぱく質をを多く含む肉類や乳製品は、同時に脂肪分も多く含んでいる為妊娠中はあまり歓迎できません。
その点脂肪がほとんど含まれていない大豆は、良質なたんぱく源として最適なのです。
後は胃腸が荒れてしまう妊娠中は薄味のものや、温かい物を中心に摂り、胃を刺激しない事も重要です。
妊娠中の辛いつわりの軽減の為にツボ押しもオススメ!
妊娠中は胃薬を処方される前に、内臓に効く「ツボ」で不快な症状を軽減できるかもしれません。
詳しく紹介していきます。
★内関(ないかん)
内関は腕にある、内臓の働きに深く関わるツボです。
特に、吐き気、胃痛、乗り物酔い、二日酔い、しゃっくりなど消化器系の不調に効果があり、食欲不振、軟便、お腹の張りを改善してくれます。
妊娠中のつわりなどで、吐き気がしたり、胃がムカムカする時に特に効果があります。
手のひらを上に向けた状態にし、手と手首の境目になっているしわの中央から、指をひじに向かって3本分置いたところが内関です。
★足の三里(あしのさんり)
足の三里は、腹痛、嘔吐、下痢など胃腸トラブルの他に、むくみの改善や滋養強壮の効果も期待できるツボです。
俳人、松尾芭蕉が「足三里にお灸をすえたらあと三里(12㎞)歩ける」と言ったことが名前の由来らしいです。
膝にあるお皿の外側から、指4本分ほど下がったところにあります。
足の三里は周りよりくぼんでいるので、それを目安に探してみると、見つけやすいかもしれません。
ただしこれらのツボを押していただく時の注意点として、血行が良い時は避けて下さい。飲食後30分前後、お酒を飲んだ時、お風呂上りなどは特に注意して下さい。
妊娠中は薬を飲む前に食生活の工夫で胃のトラブルを防ぐ
いかがでしたか。
妊娠中の体の不調は、本当に辛いものです。
つわりや胃痛は、生活している中で食べすぎないようにしたり、消化にいいものを食べたりするなどの胃に優しい食生活の工夫だけでも、症状が改善されることがあります。
漢方薬でも服用する際は、やはり医師から処方されたものが一番安心できるでしょう。