朝起きたときに小指が腫れていたということはありませんか?
どうして小指側なのでしょうか。
小指側に異常が起きたときは身体の内側に何かしら問題あるかもしれません。
小指の関節が腫れてしまうのは水分レベル
ここでは東洋医学の考え方に基づいてお話ししていきます。
人間の身体の中はほぼ水分です。
生きていく為のさまざまな生命活動を維持している基本物質が「気、血、津液」です。
気、血、津液は、飲食物や呼吸から取り込む水穀の精微や精気から作られます。
そして、骨や肉を作り、内臓の働きや筋肉の動きなどのエネルギー源になります。
精と陽気は生命活動を支える大事な部分です。
精は血の役割ととても似ている物質で、私達の成長や発育など、人体の機能を維持するエネルギー源になります。
陽気は、筋肉の収縮運動や摂り込んだ食事から作られ、身体を温め、さらに気の作用を助けて、生命を維持する働きがあります。
気、血、津液はお互い助け合って身体の生命力を維持しています。
気は、血が作られ、体中を巡るために必要不可欠なもの。
水穀の精微から血を生成するには、気の作用が原動力となっています。
また、血がスムーズに流れるのは、心気の推動作用、肺気の血を散布する作用、肝気の血の巡りを調節する作用に助けられています。
更に血が血脈から漏れずに流れるのも、気の作用です。
反対に血は、気を経脈中に運び、気の作用が全身に働くようにします。
そのため、「血は気の毒の母」といわれています。
同様に、気と津液にも相互関係があります。津液の生成、輸送は、気の気化作用、推動作用、固摂作用によって成り立っています。反対に、津液の不足は、気にも影響を与え、気を損傷します。また、津液の巡りが悪くなったりすると気の巡りも悪くなります。
小指の関節が腫れるのは精の影響
人の身体を作る物質には、気、血、津液の他に大切な物があります。
それは「精」です。
精は人間が生きる上で必要な生命エネルギーと言われています。精には親から代々受け継がれた先天の精と食べ物から作られてエネルギーとなる後天の精の2つがあります。
先天の精は腎に蓄えられています。腎精とも言います。腎精には生殖機能を高める仕事があります。
例えば女性の方であれば、月経を起こしたり、男性であれば精子の産生を高めるといった働きをします。それから男女に共通することでは身体を成長させるには腎精が重要になってきます。しかし、年齢を徐々に重ねるにつれて腎精が徐々に減少していきます。腎精が減少していくと身体の老化が始まります。その影響で生殖機能も徐々に老化していきます。またその他に腎精は身体の元気の源の原料になったり、骨髄を作る働きや、血液などにすごく関係してくるのです。
一方、後天の精は主に普段の食べ物から作られています。その食べ物から作られたものを各内臓など身体全身に運び、生命活動を支えるエネルギー源になるのです。その一部は腎に運ばれ、成長とともに消耗していってしまう腎精が減少しないようにうまく調整する役割をしています。
小指の関節が腫れるのは熱気の影響
気、血、津液とともに、「陽気(熱気)」という物質が身体の生命活動に関係があります。
陽気は身体のいろいろな働きをするときにバランスを整えるために大きなサポートをする働きがあります。そのため、決して欠かせないものです。
陽気は体温を維持し、臓腑や身体の組織の働きを促進させる働きをもっています。また、気の温煦(おんく)作用や気化作用を支えているものです。
その働きができているのも陽気のおかげなのです。さらに、体内の水分を水蒸気のように細かくし軽くすることによって、全身くまなくスムーズに巡るようにするのも陽気の働きです。陽気の作用によって、津液などの水分は、正常に輸送、排泄されます。体内にきちんと陽気を発生させるためには、食事をきちんとすることが必要不可欠です。摂り入れた食べ物を臓腑が消化、吸収する一連の過程で陽気が発生します。また、そのためには腎の働きが弱くては問題があります。こうした過程で発生した陽気は、身体に蓄えられたり、必要であれば再度、全身に配られます。つまり、体内の陽気が不足してしまうと、臓腑の働きが弱くなってしまい、身体が冷えてしまいます。水分の巡りも悪くなるので、むくみ、便秘や排泄異常などの症状もあらわれます。このような症状が起こりやすくなると、筋肉や骨、関節などに影響が出てきてしまうのでバランスよく身体を管理する必要があります。
小指の関節が腫れるのは心のトラブル
小指側に症状が出たときはもしかしたら季節的なトラブルの可能性があります。
小指側には内臓の経絡が流れています。小指側は心臓と小腸に関係があります。心の部分で何かしらのトラブルがあると身体にも影響が出てきます。心のトラブルがあると、顔色や舌の部分が白っぽくなりますし、心の調子が悪くなって水分や血液を身体に送ることができなくなると顔や舌が青紫色になります。
一方、小腸の機能が低下すると、消化吸収が悪くなり、便や尿にまでも異常が起こります。小腸は表裏関係にある心の働きから影響を受けているので、心のトラブルによって、ともに小腸の不調が起こることがあります。例えば心の部分に過剰な熱が加わると小腸も影響を受けます。反対に小腸に何かしらのトラブルが起こると心に影響を与えることがあります。
小腸に熱がこもってしまうと、それが心にも異常が伝わり、心の働き自体に異常が起きてしまいます。その影響で舌の色が熱を帯びたように赤っぽくなったり、心が落ち着かない、寝たくても眠れない、睡眠が浅くすぐ目が覚めてしまうといった影響が起こるのです。そのような現象が続いてしまうと、血をうまく体内に送ることができなくなってしまったり、栄養を運ぶ力、水分を運ぶ力などが弱まり、うまく全身に送ることができなくなってしまいます。その影響で関節に負担がかかることも考えられるのです。
小指の関節が腫れたときの対処は
小指側に症状が出たときは関連がある経絡を流してあげましょう。
まずは心経の経絡を流しましょう。心経は脳と心臓に関連がある部分でこの二つの部分をうまく調整する部分のツボです。
流れている部分としてはまずは心臓から始まって、小腸へと下り、また心臓に戻り、枝分かれします。
枝分かれの片方はのどを上がって目の下にまで達します。もう一方は、わきの下にある【極泉(きょくせん)】と呼ばれるツボから体表にあらわれて、腕の前面を下りていき、手の平側の【少衝(しょうしょう)】のツボで終わります。
今度は小腸系の経絡を流してあげます。小腸は心経と表裏の関係性があり、小腸の調整を行っています。小腸系は手の甲の小指側にある【小沢(しょうたく)】から始まり、手の甲から腕の背面を上がって肩の後ろを通り、身体の前面に出てきて鎖骨の上で体表と体内の二手に枝分かれをしていきます。
体内の場所は心臓と胃を通って小腸に達します。体表の場所は、鎖骨から首を上がって、耳の手前のツボ【聴宮(ちょうきゅう)】で終わります。この部分の経絡を流してあげることで心臓、脳、小腸の機能が活性化します。
心の部分が安定していれば体内に血を送る作用が安定し、小腸の部分が安定していれば食べ物の消化がうまくいき栄養が体内に行き渡りやすくなり身体の異常が起こりづらくなるのです。
予防するには?小指の関節が腫れてしまったときは まとめ
東洋医学の考え方から小指の関節が腫れてしまった場合について書いてきました。
身体の仕組みを少し知っておくだけでも今度身体の異常が起こらない為の予防に繋がります。内蔵の疲れが起きてしまうと色々な症状がでやすくなるので内側からのケアを意識することが大切だと私は思います。
この記事が皆様の健康になるためのきっかけになれば嬉しいです。