左後頭部の痛み、または右・両側に痛みがある、後頭部以外のほかの場所の痛み、またはめまいや吐き気などの症状はないのかなどによって考えられる病気はさまざまです。
吐き気や激しい痛みの頭痛は要注意です!
頭痛の種類や特徴、病院に行くべき危険な症状、片頭痛などの頭痛の症状の対処法を紹介します。
左後頭部の痛みやめまいの原因はさまざま
頭痛を訴える原因はさまざまですが、よく耳にするのが不自然な姿勢、固定された姿勢でのデスクワークによって起こってしまう首のこり、肩こり、背部痛などがあります。
またディスプレイ画面を注視して起こる目の疲れなども頭痛の原因のひとつになります。
これらは疲労の蓄積によって起こる頭痛ですが、さらにストレスがあると緊張型頭痛と呼ばれ、後頭部から頭頂部にかけて痛みが起こります。
緊張型頭痛は、筋収縮性頭痛、緊張性頭痛、心因性頭痛などとも呼ばれ後頭部の頭重感、首の後ろ側が突っ張るといった症状が特徴です。
また左右どちらか片側の目の奥に強い痛みが起こる群発頭痛では、ストレス、お酒の飲みすぎ、血管拡張薬の服用などが原因に挙げられます。
群発頭痛の場合、女性よりも男性に多く現れる傾向があります。
群発頭痛の原因は解明されておらずはっきりしたことは分かりません。
女性の場合、原因にホルモンバランスの乱れが挙げられ月経が始まる前、または終わる頃にめまいや左後頭部の痛みがつらくなるという人もおられます。
左後頭部の痛みやめまいの症状で考えられる病気①
左後頭部の痛みやめまいで考えられる病気には帯状疱疹があります。
帯状疱疹は体の左右どちらか片方だけに、水ぶくれが帯のようにできます。
痛みは強く再発する病気です。
ヘルペスウイルスが知覚神経の神経節に入り込み遺伝子の形で潜伏します。
ウイルスが再活性化する仕組みはまだハッキリ解明されてはいませんが、過労やストレス、加齢など免疫機能が低下すると発症してしまいます。
帯状疱疹はいつどこにできるか分からないため、頭痛、神経痛、耳が痛い、お腹が痛いといった症状を訴えます。
耳の後ろから首のリンパ節にかけて帯状疱疹が出た場合、首の痛みや後頭部の痛みが現れ、さらに内耳の神経が痛むとめまい、難聴といった症状が現れます。
人により痛みの程度は変わってきますが、帯状疱疹の痛みはヘルペスウイルスで神経組織が傷つけられて起こります。
激しい痛みを放置しておくと神経は刺激を受け続けて血管の収縮、筋肉の緊張が起こり肩こりのときのような状態が見られます。
そのため帯状疱疹の治療は早めに皮膚科を受診します。
左後頭部の痛みやめまいの症状で考えられる病気②
風邪をひいた後など頭痛が長期間続いている場合、考えられるのがウイルス性髄膜炎です。
首の後ろ側が硬くなり右や左後頭部の痛み、発熱や嘔吐を伴うこともあります。
ウイルス性髄膜炎は髄膜炎のなかでももっとも多くみられる病気で、脳の表面を覆うくも膜下腔に起こる炎症です。
髄膜炎を起こす原因によってはひどくなると意識障害、けいれん、麻痺といった症状が現れることもありますが、ウイルス性髄膜炎の場合、一般的な対症療法で治癒する病気です。
しかし、初診では感染性または非感染性の特定ができないことがまれにあり、1週間の入院による経過観察と検査所見を見ながら治療する場合もあります。
ウイルス性髄膜炎の症状によく似た症状がでる単純ヘルペス脳炎では脳内に左右差のつく異常が見られ、頭痛、嘔吐、まぶしさ、発熱が現れ検査の結果、脳波に異常が見られることが多いといわれています。
さらに耐えられないほどの強い痛みを訴えるくも膜下出血や脳の中の出血である脳内出血では手足の麻痺、めまい、ふらつき、言語障害、意識障害といった症状が現れます。
体の危険信号を見逃さないで!
脳の血管がもろくなり破れてしまうのが脳出血です。
脳の血管が詰まって脳の組織が死んでしまうのが脳梗塞です。
何の前触れもなく突然に起こる脳出血とは違い、大半は比較的ゆるやかに発症し前頭部、右や左後頭部の痛みから脳全般の症状として頭痛やめまいが起こるのが脳梗塞です。
多くの場合、失語症が現れると脳梗塞が脳の左側に起こり、片マヒが起こると右側に脳梗塞を認めるといわれます。
右側に脳梗塞があると体の左側にあるものを見ようとしない、気づかない、無視するといった行動が現れます。(半側空間無視)
また絵を描いてもらうと左半分が描かれていないなどといったことも見受けられます。
そのほか、しびれや知覚障害、意識障害、言語障害、失語症などが見られます。
言語障害、片マヒ、意識障害などの症状が現れたらすみやかに専門医で検査を受けてください。
脳梗塞は発症3時間以内に治療を受けることができれば、後遺症をほとんど残さず回復できるといわれています。
脳梗塞は若年者にも起こり得る病気です。
嘔吐や起床時の激しい頭痛も要注意!
脳腫瘍があると頭痛、悪心、嘔吐といった症状が起こります。
朝起きた際には強く激しい頭の痛みがあるのに起きてしばらくすると痛みが弱まり、治ったように感じるケースが多いといわれます。
脳腫瘍は頭蓋内で囲まれた脳の中で大きくなるため、急激な頭痛は起こさず慢性の頭痛を起こします。
腫瘍が大きくなるにつれ頭痛も強さを増していきます。
頭痛が強くなると耳鳴り、めまい、嘔吐といった症状も多くなります。
また脳の腫瘍で圧迫され視野障害が起きるようになります。
ゆっくりと頭痛が強くなっていく脳腫瘍とは別に、「頭を斧で割られたような激しい痛み」と表現されるくも膜下出血は脳動脈瘤の破裂が原因です。
くも膜下出血は急激に悪化するため命の危険にかかわる病気です。
基本的な予防法はないといわれますが、過労やストレスによって引き起こされることが多いためこれらのことに注意し極力避ける努力をします。
朝から何となく頭が重く右や左後頭部の痛みがあり、徐々に激しくドクドクとなるような頭痛はほとんどの場合くも膜下出血とは考えなくてよい頭痛です。
くも膜下出血では突然の激しい痛み、嘔吐、出血が多い場合は意識がなくなるといわれています。
左後頭部の痛み起きたときの対処法
緊張型頭痛では、疲労による筋肉の緊張をほぐす対処法として入浴が挙げられます。
お湯の温度はぬるめで40℃ぐらいのお湯にじっくり浸かります。
肩こりや各種神経症に効き、ストレス解消につながります。
右や左後頭部の痛みでは左右の親指によるツボ押し(風池のツボ)がとても効果的です。
また直接、蒸しタオルを首や後頭部にあてることにより血行が良くなり痛みが弱まることもあります。
ズキズキするような片頭痛は温めると返って逆効果になります。
光や騒音を避けて静かな部屋でゆっくり横になり痛みが治まるのを待ちましょう。
またチョコレートや赤ワイン、エダムチーズなど飲食物でも頭痛の誘発因子と呼ばれるものは避けたほうが無難です。
群発頭痛ではアルコールを控えます。
群発頭痛は一般的な鎮痛剤は効果がないため使用しません。
医療機関で治療薬の処方を受け予防的治療を行います。
主にエルゴタミン製剤、カルシウム拮抗薬が使用されます。
群発頭痛はトリプタン系薬剤の頓服薬、または皮下注射で頭痛を抑えることができます。
家庭に酸素ボンベを設置すると酸素吸引を行うことが可能です。
いつもと違う頭痛はすぐに病院へ!
後頭部頭痛にも、さまざまなタイプがあり、原因や症状、対処法が異なります。
なかには、危険な病気の可能性もありますので、いつもと違うな・・と異常を感じたら、すぐに病院へ行くようにしましょう。
特に危険な症状が現れている場合、直ちに病院を受診しましょう。