握力の低下はかなり深刻なようです。握力が低いと病気の症状があるなし問わず、早死に傾向があるデータがとれたとニュースの話題にあがっていました。握力が弱いな、無くなってきたなと感じている方は一度精密検査をしたほうがよよさそうです。また握力を維持向上するために出来ることがあるかもしれません。それでは今回は握力の低下をテーマにお話ししていきたいと思います。
握力の低下率と早死の関係性
缶やペットボトル、瓶などの蓋が開けられず、他の人に開けてもらったことのある人は多いと思われます。別に珍しいことではありませんが、その回数がわりと頻繁で、それも40歳以上の人は少し気を付けた方がいいかもしれません。もしかしたら何かの病気を知らせてくれている可能性があります。
今回はカナダにあるマクマスター大学などの資料を見て、握力の低下によって引き起こされる病気の危険性やリスクについてをお話ししていきます。
突然ですが、貴方が最後に握力を測ったのはいつ頃でしょうか。身長や体重と違い、会社や病院で健康診断でも受けない限り、普通の家庭で測定することはまずありませんよね。
一般的に30~40代の女性の平均値は、昔と比べれば下がっていますが、それでも30kg前後をキープしています。これよりも大幅に少なかったり、昔は普通だったのに、ここ最近になってから、がくっと手に力が入らなくなったら危険信号です。弱ければ弱いほど病気にかかりやすく、早死にしやすくなるからです。
握力の低下は心臓の病気の予兆かも?
17カ国を対象とした実験で、35歳から70歳の人(合計14万人)に4年の間とある実験を行った結果、握力が5kg下がるごとに、心臓に関わる病のリスクが17%高まることが判明しました。九州大学でも似たような研究が行われましたが、やはり同じ結論が出ています。
ですが「握力が下がる=早死に」という極端な式は成り立ちません。しかし握力を鍛えれば良いというわけでもありません。死ぬ確率が上がるのは「握力が失われることとなった原因」にあります。だからといって完全に役に立たないわけではなく、自分が現在どれだけ健康なのかを示す目安としてなら利用出来ます。
ペットボトルや瓶など身近にあるものの蓋が開けられないと感じている人は、今の握力がどれくらいかを調べてみましょう。
スポーツショップにハンドグリッパーと呼ばれる握力向上の道具が売っているので、それをちょっと握らせてもらいましょう。まったく動かせないならまずいかもしれません。
気になるようなら購入して、筋力アップも兼ねてこまめにチェックすると良いですよ。
脳の病気が隠れている?
テレビなどでよく聞く脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり、完全に塞がってしまうことで、血液が届かなくなる病気を指しています。この病気が発症する前には必ず、脳の働きが悪くなることで、血が流れにくくなるという症状が引き起こされます。その結果、様々な症状が兆候として身体に現れるため、このサインを見逃さずに、怪しいと思ったらすぐに病院へ駆け込んで下さい。
主な症状は手足の痺れや握力の低下を始め、文字などがぶれたりぼやけて見える、激しい眩暈に襲われる、肩が凝っているどころか痛いと言った方が正しい、喋ろうとすると舌が上手く動かない、短い間だが何も覚えていない、普段は出来る動きが出来なくなっている……このうちどれか1つでも心当たりがあれば、身体の異常を疑いましょう。年を取ったから仕方ないと結論付けては手遅れになってしまいます。
いくら自分の身体だからといっても、病に関する疑問を解消するなら、やはり医者に診てもらうことが一番大事ですよ。
首や肩の病気で握力は低下する
首や肩が痛んだり、手足が痺れたりするのに加えて、握力が落ちてしまう人もそれなりにいるようです。これだけではなく、他にも腕に力が入らなくなったり、肩やその周辺に痛みを感じたり、特に寝相が悪かったわけでもないのに寝違えたような状態になったり、そもそもあまり眠れなかったりといった症状に悩まされることもあります。
こうなる原因は頸椎のヘルニアや神経根の異常であることがほとんどです。私も実際に頸椎症性神経根症という病にかかったことがありますが、その時は頸椎によって神経に負荷が掛かり、腕に支障をきたしました。特に肘から指にかけて強い痺れが起こり、とても不愉快でしたね。しかも長い間痺れが取れないと、だんだんだるくなってくる上に、上手く物が握れないといった症状に見舞われました。
より具体的に言うと、握力が下がってきたというよりは、手は握っている形をしているのに感覚自体は鈍くなっていると表現した方がしっくり来ますね。
誰でも使う手は運動不足にはなりにくい
握力が落ちるのは運動不足によって筋力が弱くなったせいだと思う人も多そうですが、握るというのは日頃から意識せずに行っているので、実は筋力の中でも下がりにくい方なのです。
こんな実験をしてみましょう。片方の手で握手をします。もう片方の手を首に当て、気を数分間流し込みます。これだけで握力は強まります。
筋肉は鍛えなければ強化されないので、どちらかというと腕や肩、首などが凝り固まっている可能性の方が高く、それにより脳から「握る」という命令が上手く伝わらなかったのかもしれません。
とはいえ握力が急激に下がってきたというのは深刻な病気のサインでもあります。全身を構成しているパーツは全て大切で、どれひとつとして失ってはいけません。
缶や瓶の蓋が開けられないだけだから別にいいやと軽んじていると、その間にじわじわと病が進行していく危険性があります。ですが逆に言うと、握力を強くすれば症状を和らげることが出来ますし、それどころか事前に防ぐことも出来るかもしれませんよ。
握力を維持向上するために出来ること
誰でも気軽に行える握力アップの方法は、グーとパーをひたすら繰り返すことです。それだけかと思った貴方、実際にやると案外大変ですよ。30回ほどやると腕にだるさを覚えますし、何より単純作業なので飽きてくるのです。ですからテレビを観たりラジオを聴きながらなどの「ながら運動」を強くおすすめします。
指を曲げる時はしっかり握り込み、伸ばす時は指先までピンと伸ばすようにして、屈伸をきちんとやり切ることがポイントです。そうすれば伸び縮みをするための筋肉の働きが良くなります。信号を待っている時など、短時間かつ手持ち無沙汰な状況で、暇潰し感覚でやるといいですよ。
続いては丸めた新聞やタオルを胸の前で力いっぱい捻る運動です。立ってやるか、座ってやるかはお好きなようにどうぞ。コツは両手でしっかり握りしめ、濡れ雑巾の水気を切るように限界まで絞りきることですね。
これは握力の他に、手首も鍛えられます。手首もまた握力に関わるものなので、鍛えて損することはありません。
家の中を一通り拭き終えたら、締めくくりにこの運動をするように習慣付けると忘れなくていいですよ。部屋も綺麗になってお得ですよね。
握力の低下は恐ろしい知らせかもしれません
毎日のように当たり前に使っている手だからこそ、弱りにくいもの。それが弱って握力がなくなったら、相当体がおかしな方向に進んでいるかもしれません。いつも出来ていたことが出来なくなったら、老化のせいではなく、病気を疑うようにしましょう。それほど握力は弱りにくいものなのですからね。