整体師とマッサージ師に必要な資格。それぞれの施術内容は?

最終更新日:2023/05/18

最近色々なところでよく目にするようになった「整体」「マッサージ」の言葉。
なにが違うのかイマイチわからないという方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
整体師とマッサージ師では持っている資格が違うのです。
今回は、整体とマッサージについて、必要な資格や施術内容の違いなどをご紹介していきたいと思います。

マッサージをするには国家資格が必要

いわゆるマッサージを業務として行うためには、厚生労働省が定める「あん摩マッサージ指圧師」の資格を取得する必要があります。

「あん摩」「マッサージ」「指圧」はそれぞれ厳密には理論や技術的に違いがありますが、まずは「人の体をもみほぐす仕事」のためには、この資格が必要なのだと思ってください。

エステティシャン、整体師、足裏マッサージ、タイ式マッサージなどでもマッサージは行われており、彼らはそれを「治療行為」ではなく「ボディケア」であるなどと主張していますが、本来は違法行為です。

「あん摩マツサージ指圧師、鍼師、灸師等に関する法律」には

・第一条  医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、鍼又は灸を業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、鍼師免許又は灸師免許(以下免許という。)を受けなければならない。

・第十二条  何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。

と明確に定められています。

「医業類似行為」にはマッサージも含まれ、「足裏だからいい」などということはありません。

整体師に必要な資格は民間資格

「あん摩マッサージ指圧師」が、国が認めた公的な資格であるのに対して、公的に「整体師」というものはありません。

故に、いわゆる「整体師」は自称にすぎません。

資格も免許もないので、誰でも自称することができます。

「整体スクール」などで免許を発行している場合もありますが、これは「認定免許」あるいは「民間資格」というもので、公式にはなんの保障もないものです。

単なる「スクールの修了証」であり、いわば「子供銀行券」のようなものだと思ってください。

整体スクールは短ければ3ヶ月ほどで修了できます。

そこでは、簡単な骨格についての知識や、骨格矯正などを教えているようです。

「整体師」は公的にはあくまで無免許ですから、「医業類似行為」に含まれない骨格矯正などはできても、マッサージをすることはできません。

ただし、多くの「整体院」では、それを無視してマッサージも行っています。

現在日本では、それを禁止する法律はあっても放置されているというのが実情ですが、法的には無免許でのマッサージ行為は罰金が課せられることになっています。

整体とマッサージの根本的な違いは資格の有無

「あん摩マッサージ指圧師」免許を取得するためには、厚生労働省が認可した学校で3年間以上定められたカリキュラムを履修した後、国家試験に合格する必要があります。

合格した後に保健所に申請すれば免許が交付されます。

医療機関やマッサージ院、接骨院などで働く場合には、免許を持っているだけで問題がありません。

自ら開業するときは、保健所に開業届を出します。

施術所は広さや設備など、法律に定められた条件を満たさなくてはなりません。

出張専門であれば、出張届けを提出するだけで業務ができます。

「あん摩マッサージ指圧師」は、患者さんの体の部位を、揉む、擦る、叩く、押すなどの行為が認められています。

もちろん、認められているといっても、それを性的行為にまで拡大解釈して行うことは認められません。

あくまで常識的な「マッサージ」の範囲内で認められているということです。

鍼治療・灸治療を行うためには、他に「鍼師」「灸師」の免許を取得する必要があります。

この2つはそれぞれ独立した免許ですが、試験自体は同時に受けることができます。

「整体師」はこれら国が認めた資格ではないので、マッサージなどの「医業類似行為」を行う法的根拠はありません。

そもそも整体ってどういうものなのか

いわゆる「整体」には、様々な流派があります。

それは、広く知られているような骨をポキポキ鳴らして骨格の位置を調節するものから、宗教じみた怪しい方法までいろいろです。

ストレッチのようなものを「整体」と称している場合もあります。

ただ、日本では「整体師」は無免許と同意義であり、ゆえにその技術レベルも医療知識も、免許取得という「最低限保障」がないためにピンキリです。

日本では認められていないけれど、一つだけ信用できる「整体師」の種別があります。

それは「カイロドクター」です。

アメリカではカイロプラクティックには「カイロドクター」という公的な資格があります。

カイロドクターを取得するためには、骨格や筋肉などの解剖学を中心とした医学知識と、事故を起こさないような技術を修める必要があって、日本の整体の「民間資格」とは天地の差があります。

日本にもアメリカでカイロドクターを取得した先生がいますが、日本では認められていない資格であるために、ひとまとめに「整体師」扱いされていますが、カイロドクターであれば技術的にも信用していいでしょう。

ただし、いかにカイロドクターであろうとも、日本ではマッサージをすることは許されていません。

整体で期待できる効果とは

いわゆる「整体」が主張する効果は、骨格の歪みを直すことで筋肉の緊張をゆるめ、また、骨格の歪みや筋肉の緊張によって圧迫された血管、神経を開放することで、血液の流れをよくし、また痛みを緩和するといったことです。

これには、ある程度の医学的根拠も認められます。

しかし、中には、骨盤の位置を矯正するだけで、内臓の位置が整ったり、ダイエット効果があるなどという主張もありますが、これはまったくエビデンスがない主張だと言えるでしょう。

また、整体によって自然治癒力が高まるだとか、アレルギー症状が改善するなどといったことを喧伝する整体師もいますが、そのような効果は期待すべきではありません。

整体に期待できる効果は、あくまで崩れた体のバランスを整えることです。

しかし、整体師は無免許ですから、整体を受けるにしても、上述のカイロドクターか、有資格者のマッサージ師や柔道整復師で整体も行っている人にお願いすることをおすすめします。

ただし整体師が絶対ダメということではなく、しっかりと知識と経験を積んだ優れた整体師もたくさんいます。

そういった方に巡り合えればいいと思います。

ちなみに「整体師」と「柔道整復師」の違いは、前者は無免許、後者は国が認めた有資格者であり、整体師が開いているのが「整体院」、柔道整復師が開いているのが「接骨院」「整骨院」です。

ただし、有資格者で「整体院」を開いている人もいます。

あん摩とマッサージの違いとは

マッサージができる資格は「あん摩マッサージ指圧師」ですが、「あん摩」「マッサージ」「指圧」はそれぞれ違うものです。

まず「あん摩」は中国を発祥とする手技療法で、その本来の目的は、こった筋肉などをもみほぐすことではなく、緊張した筋肉を緩めることで「気血」の流れをよくすることです。

「あん摩」は基本的には体幹から手足の先端に向かって「遠心性」で行われます。

「指圧」は実はあん摩の流派の一つでした。

あん摩の技術の中から、指で圧をかける技術を取り出し、特化したのが指圧です。

「マッサージ」は西洋生まれの手技療法で、こちらはあん摩とは逆に手足の先端から体幹に向かって行う「求心性」で行うのが基本です。

これは、先端に行った血液を体に戻し、新しい血液を流してあげるという西洋医学的な発想でできています。

とはいえ、現在日本ではこれらを厳密に分けて行っている先生はほとんどいないでしょう。

「マッサージ」と称しながら、大部分はあん摩や指圧の技術、理論で行っています。

ちなみに中国には伝統的には「整体」にあたる骨格矯正術はなく(現在はカイロプラクティックが伝わって行われています)、日本で生まれた技術です。

違いは資格の有無だったのですね

いかがでしたか?

整体とマッサージの根本的な違いは、資格の有無だったとは、始めて知りました。

しかし、整体で受ける施術も、マッサージの施術も、似ているので、人それぞれ感じ方も違うので、自分に合った施術を選んでいくことが大切なようですね。

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