整形外科は骨・関節・靭帯・腱・神経・筋肉などの運動器を専門としています。
一度は受診したことがある方も多いですよね。
注意しなければならないのは、レントゲン撮影やCT、MRI検査は、整骨院や接骨院ではしてもらえないということです!
今回は、整形外科で行うレントゲン撮影やCT、MRI検査の画像検査の違いと、気になる費用についてお話しします。
病院で何となくしていた検査の目的が分かるようにする為にも、是非参考にして下さい。
レントゲン検査で何が分かるの?
レントゲンとはX線撮影の事で、波長が1pm – 10nm程度の電磁波であるX線を目的の物質に照射して撮影します。
X線は物質を透過する能力を持っていて、X線が透過してきたものを「黒」、透過しないで吸収されたところを「白」で表現したものがX線(レントゲン写真)です。
レントゲン写真が白黒なのはこういった理由があるのです。
骨や心臓などは透過しにくく、肺などは通過しやすいため、骨や心臓は白く、肺は黒く映るため形がよく判ります。
肺がん、肺結核、肺炎、気管支炎、肺気腫など肺の病気、心臓肥大、大動脈瘤、甲状腺の異常などいくつかの病気が疑われる時に、その原因の振るい分けなどに用いられます。
体にかかる負担が少ない検査で、手軽に受けられるメリットがあります。
X線撮影は以下のような様々な方法で活用されています。
X線断層撮影は、通常のレントゲンが体に水平な映像であるのに対して、横切り(断面)の映像を撮るものです。
上部消化管造影は、食道・胃・十二指腸などに硫酸バリウムという造影剤を入れて、より鮮明な画像を撮るものです。
バリウムは白くドロッとした液体状のものですが、実は元は金属です。
レントゲン撮影後、下剤を使って排出しないといけないのはその為です。
注腸造影検査は、肛門から造影剤を注入して大腸の検査をします。
血管造影は、細い管(カテーテル)を入れて、血管内に造影剤を入れると血管が白く映り、より詳しい観察ができます。
このように造影剤を使用することで、より鮮明な画像となります。
整形外科では、主に骨折の有無を調べるのにほとんどの場合行われる検査です。
整形外科のレントゲン撮影費用はどのくらい?
整形外科に行くとまず最初にレントゲン撮影を行うことが多いです。
多くは診察前にレントゲン撮影をします。
レントゲン写真を撮影したら、医師が画像を見て骨に異常がないかを確認し、その後に触診や問診をするという流れになります。
MRIなどの方がより詳しく分かりますが、MRIは高額であり、個人病院ではMRIの設備がない病院もあるので、はじめにまずレントゲンを撮るのが一般的です。
費用は、枚数やフイルムの大きさにもよりますが、自己負担額3割の方で1枚数百円から1,500円ほどになります。
画像診断料とX線撮影料と電子画像管理加算の合計点数×10×0.3(自己負担額3割)が患者さんの負担費用となります。
撮る枚数やフイルムの大きさは人それぞれ症状により違ってきます。
例えば、手が痛い場合、突き指したのか骨折しているのかを調べるために、手のレントゲンを撮るだけなら、フイルム枚数は1枚でフイルムの大きさ小さく済みます。
体のあちこちを撮影する必要がある場合や、胸部などの比較的体の大きな部位を撮る場合は、その分料金が掛かってきます。
整形外科はお金が掛かるイメージがありますが、他の診療科とそれほど変わりはありません。
整形外科に通院していても、一度レントゲンを撮ったら、病状にもよりますが、受診のたびに毎回撮影するわけではありませんし、他の整形外科にかかりたい時にも、そのレントゲンの画像を持っていくことも可能です。
整形外科でレントゲン以外のCT検査って?費用など
CT検査(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)とは 、X線を使って身体の断面を撮影する検査です。
体内の様々な病巣を発見することができますが、特に心臓、大動脈、気管支・肺などの胸部、肝臓、腎臓などの腹部の病変に対して優れた抽出能力があります。
CTでは輪切りの画像を作ることもでき、それをコンピューターで再構成して3Dにすることもできます。
整形外科では、レントゲンでは分からないような骨折を探したり、骨折の詳しい形やひびの有無を見るために撮影されます。
バラバラに骨折した場合は、手術前に詳しい状況を確認するためにCTを撮影します。
検査時間は、CT室に入ってから20~30分です。
検査中はただ横になっているだけで、検査中に気分が悪くなったりしたら、検査室のスタッフとマイクを通して会話ができます。
妊娠している方、妊娠している可能性のある方は検査を受けられないこともあるのでスタッフに申し出る必要があります。
CT検査の費用は以下の通りです。
単純CTで約2,000円(1割負担)、6,000円(3割負担)
造影CTで約3,500円(1割負担)、10,500円(3割負担)
冠動脈CTで約4,100円~4,500円(1割負担)、12,300円~13,500円(3割負担)
整形外科でのMRI検査について!気になる費用は?
MRI(Magnetic Resonanse Imaging;磁気共鳴画像)検査とは、X線撮影やCTのようにX線を使うことなく、その代わりに強い磁石と電波を使い体内の状態を断面像として描写する検査です。
体内の様々な病巣を発見することができますが、特に脳や卵巣、前立腺等の下腹部、脊椎、四肢などの病巣に関しては、圧倒的な検査能力を持っています。
レントゲンとCTは放射線を使うのに対して、MRIは磁気を使います。
整形外科では、MRI検査では骨はもちろんむしろ軟部組織、すなわち筋肉や靭帯の観察に適しています。
骨に関してはレントゲン・CTの方がよく分かりますが、骨以外のことに関してはMRIがよく分かります。
患者さんにはベッドに仰向けに寝ていただいた状態で磁石の埋め込まれた大きなトンネルの中に入ってもらいます。
20分~30分ほど、動かずにじっとしている必要があります。
MRI検査の費用は以下の通りです。
単純MRI検査で約2,600円(1割負担) 約7,800円(3割負担)
造影MRI検査で3,500円〜4,200円 (1割負担)10,500円〜12,600円(3割負担)
単純心臓MRI検査 で約3,000円 (1割負担)約9,000円(3割負担)
造影心臓MRI検査 で3,500円〜4,700円(1割負担) 10,500円〜14,100円(3割負担)
レントゲン検査の結果で分かること!
胸部レントゲンで疑われる病気として、癌、肺炎、肺気腫、大動脈異常、肺動脈狭搾、慢性気管支炎、心肥大などがあります。
胃部レントゲンでは、潰瘍、炎症、癌、ポリープ、十二指腸潰瘍、胃拡張、胃下垂などです。
レントゲンは手軽な検査ですが、その分精密さに欠けています。
レントゲンの異常陰影を含め、癌の疑いが多少ともある場合はより詳しい検査を受けるべきです。
年々約7%というハイペースの伸びで増加している肺癌ができる場所である肺は、肋骨、多数の血管とX線を通しにくいもので囲まれています。
自覚症状が出て病院に行く頃には様々な部位に転移していて、実に84%が手遅れとなっています。
肺癌の危険兆候は以下の通りです。
早期発見できる可能性があるので、チェックしてみてください。
1.たばこを1日1箱以上吸っていませんか?
2.喫煙指数(1日の本数×喫煙年数)が600以上になっていませんか?
3.40歳以上の中年を迎えていませんか?
4.緑黄色野菜を普段からほとんど食べない生活を送っていませんか?
5.咳・たんが最近よく出ませんか?
6.胸、背中、肩など原因不明で痛む時がありませんか?
7.空気の悪いところで生活、仕事をしていませんか?
整形外科でのレントゲン検査に妊婦は慎重な判断を!
レントゲン撮影を受けることが妊婦と胎児に与える影響として、 胎児が順調に成長しない可能性があり、無事に出産しても成長していく中で白血病やガンなどの病気になるかもしれないということが言われています。
ほとんどの医師も若い女性には安易にレントゲン撮影をしないように配慮しています。
しかし、胎児への被ばくは「レントゲンが全て原因で起きました」と言い切れるほど、まだ医学は発達していません。
胎児の被ばくが100mGy以下であれば安全というのが医学の先生方の常識になっています。
この数値は普通のレントゲンでは心配ないレベルですが、数回レントゲンを撮ることも考えられるので、慎重な判断が必要になります。
整形外科医の意見も聞きつつ、かかりつけの産婦人科医にも相談をして決めることをオススメします。
レントゲンは簡単で結果がすぐ分かる便利な検査です。
しかし、一度被ばくしたら体に多少なりともダメージを与えることになるので、妊婦は特に慎重な判断が必要になります。
運動器の不調を感じたら整形外科で検査を!
簡単にまとめると、骨の事はレントゲン撮影とCT検査、その他はMRI検査というのが基本路線でしたね。
検査についての知識を持っていれば、医師にも要望を言えたり質問が出来ます。
気になる症状があったら、必ず整形外科の専門医がいる病院で診察、検査を受けるようにしましょう!