浮腫(むくみ)は様々な原因で起こりますよね。
浮腫の原因を特定し、症状にあった浮腫軽減に努めることが大切です。
各個人にあった看護ケアにより、浮腫の改善に繋がります。
足の浮腫ケアに足浴を行う目的や、方法、注意点についても紹介していきたいと思います。
浮腫の状態をチェックしましょう
看護ケアとして、足浴ができるかどうかしっかりとチェックしてください。
A/浮腫の場所と状態
・場所
顔、手足、指、背中などどこにでも浮腫は生じます。
また、軽い浮腫から中程度、重症と段階があります。
これらの組み合わせによって、症状は人それぞれだということです。
注意深く観察して、症状を把握してください。
B/痛みの有無
浮腫が重度でも痛みが全くないことも多く、反対に浮腫は軽いのに痛みが強く出るということもあります。
痛みの有無にかかわらず皮膚に異常がないかチェックしてください。
C/随伴症状の有無
浮腫とともに現れやすい症状があります。
主に、
皮膚が硬くなる・乾燥する。
皮膚が冷たい。
倦怠感・疲労感。
食欲がなくなる。
おしっこが出ない。
体重が増える。
腹部膨満感。
息切れなど。
D/栄養摂取量
浮腫の原因として、タンパク質、ビタミンB1、カリウム不足があります。
これらが不足しないような食事メニューを組みましょう。
E/水分量
水分は体に入る量と出ている量のバランスがとても大切です。
毎日の摂取と排出の水分量は可能な限りメモしてください。
F/体重計測
浮腫は水分が溜まることで起こりますから、体重が増えます。
通常の5%以上増えることもあります。
G/薬の副作用
現在服用している薬の副作用で浮腫が現れることもあります。
使用用法を今一度確認し、心配な場合は即刻使用を中止し、医師に相談してください。
症状にあわせて浮腫の軽減をしましょう
症状によって対処方法は変わってきます。
A/姿勢を変える
看護が必要な寝たきりの人は背中に浮腫が起こりやすいです。
これは『体位性浮腫』といわれ、常に同じ姿勢でいると発生します。
デスクワークの人が足に浮腫が現れるのも同じ現象です。
そのため、軽くするために、小まめに姿勢を変える必要性があります。
B/浮腫の起こる場所を高くする
浮腫は水分であり、重力の作用で下へ下へと溜まっていくもの。
また、血流やリンパと関係性があるため、心臓より高くするのが理想です。
足首であれば、布団や枕を下に挟むとよいでしょう。
C/体内塩分量
体内の塩分量によって浸透圧が起こり浮腫になりやすいため、摂取量を減らさなければなりません。
D/利尿作用
体内に溜まった水分を排出するために利尿作用の高いカフェインをお茶やコーヒーから摂りましょう。
ただし飲みすぎるのはよくありません。
利尿剤の利用も検討してください。
E/保温
体は冷えると体内の循環が滞ります。
足浴したり、軽い運動をしたり、温かいお湯を飲むのも効果的です。
浮腫の看護ケアについて
浮腫の看護ケアは3種類。
安静・食事・薬物療法です。
浮腫の原因はたくさんあり、症状も異なってくるので、しっかりと状態を確認して、どの療法にするか決めてください。
●安静療法
A/姿勢を変える
B/浮腫の場所を高くする
C/皮膚・粘膜を清潔にする
D/保温(足浴)
何らかの病気によって二次的に引き起こされる場合は、その病気を治さないとダメです。安静にして、浮腫の悪化を食い止めてください。
●食事療法
塩分の摂り過ぎ、ビタミンB1やカリウム不足を改善できるように食事メニューを組み立てます。
献立を吟味して、栄養バランスをしっかりと確保しましょう。
食事療法とともに安静にすることも忘れないでください。
●薬物療法
一般的に利尿剤が使われます。
体内の余分な水分を尿として出していくためです。
場合によっては、浮腫による痛みを抑える鎮痛剤、高血圧のための薬やホルモン剤、そして自然治癒力を高める漢方なども使っていきます。
薬物療法はとても効果的ではありますが、原因が不明でないと効果が得られない、またいつも服用している薬との相性なども考慮する必要があります。
浮腫の軽減に足浴を行うのもオススメ!足浴の目的とは
看護ケアの1つである足浴は浮腫にとても効果的です。
足浴の目的は以下の通りです。
・膝下から足指についた汚れや浸出液を落として清潔にすること。
・温めることで血行を促進することで代謝が良くなり、余分な水分の排出を促すこと。
・温熱作用でリラックスでき、終わった後の快感や安眠が得られるようにすること。
足浴が必要な理由と主な疾患と病気
・自分で動くことが困難で、全身浴やシャワー浴をするのができない場合
・糖尿病など足の衛生状態が優先される状態の場合
・足に大きな傷があり、拭くだけでは浸出液を取り除けない場合
・骨折ややけどなどの理由でお風呂に入れない場合
・施設や在宅サービスなどを利用している方で通常の入浴が満足にできていない場合
・ストレス解消、リラックス効果を目的に安楽効果を得たい場合
・狭窄症や神経痛で足のしびれがあり、少しでもその症状を紛らわす場合
看護ケアによる足浴を行うメリット
・細かく足の状態を観察することができる
・足浴の目的を理解させ、足のトラブル予防を指導することができる
・足浴の具体的な方法を手取り足取り教えやすい
・神経障害の感覚を体感できる
・スキンシップによって、よりよいコミュニケーションがとれるようになる
・毎日でもやりたくなる簡単手軽でリラックスできる
浮腫の看護ケアによる足浴の方法
まずは浮腫をなくすための看護ケアとして行う足浴に必要な備品を準備しましょう。
・足全体が入る大きさの桶やバケツなど
・桶の下にお湯がこぼしても大丈夫なように敷くビニールシート
・大きなビニール袋(感染予防のために桶の内側に袋をかぶせる)
・38度くらいのお湯
・温度計
・ガーゼ
・低刺激のせっけん
・タオル
・保湿剤
準備が整ったら、足首より上まで浸かれるほどまでお湯を入れます。
神経障害があると、水温の感じ方は全然違いますので、温度計を使って正しい温度を確認させましょう。
5分ほどお湯に浸けたら、せっけんを泡立て、ガーゼを使って足指の間は丁寧に足の甲、裏、足首と洗いましょう。
強くこすり過ぎて皮膚を傷つけないようにだけ注意してください。
洗い終わったら、かけ湯をしてきれいに泡を流しましょう。
清潔なタオルでこすらず押しつけるようにして拭き取ります。
水虫になりやすいのでよく乾燥させてください。
反対に乾燥が強い場合は保湿剤を塗りましょう。
足浴を行う際の注意点とは
熱傷
温度が高すぎることはもちろん、適温であっても皮膚が薄い人が行うと熱傷を起こす可能性があります。
そのためには熱いと感じるか、皮膚の色が赤くなりすぎていないかチェックしながら行う必要があります。
皮膚が切れる
高齢者など皮膚が弱く、浮腫のせいで伸びている場合、足浴して軽くこするだけで皮膚が切れてしまう可能性があります。
こすり過ぎには要注意です。
血圧変動
足浴は下肢の血流が良くなり全身を温めますが、姿勢が同じため人によっては血圧が激しく変動する可能性があります。
高血圧または低血圧の人、絶食中の方や寝たきりが長い方は血圧の変化に注意を払いましょう。
看護ケアによる浮腫対策の足浴には38~40度が適温です。
この温度はもっとも副交感神経が優位になるため、リラックス効果が高いのです。
足指の筋肉も緩み、末梢血管も広がり、血液循環は最高になります。
すぐ冷めてしまうからといって、少し高めの42度などから始めないようにだけしてください。
浮腫ケアで負担を軽減しましょう!
浮腫の原因はさまざまです。
看護ケアによって、浮腫を軽減することでどれだけ楽になるのでしょうね。
足の浮腫がある場合に、足浴を行うメリットはたくさんあることが分かったと思います。。
できるのなら毎日でも実践してください。
また、症状別に、浮腫の軽減を行うことも大切です。