深呼吸をした時に、鎖骨の辺りに痛みを感じるという方、いらっしゃいますよね。
鎖骨の痛みは、直接鎖骨に関係がないこともあり、他の病気も考えられます。
鎖骨が痛む5つの原因と、左右それぞれに痛む原因を紹介したいと思います。
また、左右の鎖骨の痛みの原因でもある、胸郭出口症候群。知らない方も多い症状のようなので、あわせて紹介したいと思います。
深呼吸した時に鎖骨のあたりに痛みを感じる時に考えられる原因は?
深呼吸をした時、鎖骨の辺りが痛い、そんな症状に悩まされたことはありませんか?
そんな鎖骨の辺りに痛みが出る5つの原因を見てみましょう。
①肩こり
肩の筋肉は鎖骨ともつながっているので、鎖骨周辺に痛みが及ぶこともあります。
②胸郭出口症候群
鎖骨の下は胸郭から神経の束が出てくる場所があります。
その神経の束が圧迫されることで痛みが生じます。
痛みの他に手の指や腕にしびれがでる、姿勢によって痛みやしびれが変わるという特徴があります。
③頸椎椎間板ヘルニア
首にある頸椎が変形することで神経に刺激が与えられて痛みが出る病気ですが、鎖骨に痛みが出ることがあります。
④気胸
肺を覆う2つの胸膜の間である胸膜腔に、空気が溜まってしまうことで、肺自体がしぼんでしまう病気です。
主症状は息苦しさですが、初期症状として胸の痛みや鎖骨の痛みも出てきます。
また、気胸は痩せた男性に多いという特徴もあります。
⑤心臓神経症
精神の病の一種で、心臓病の症状があるのに、心臓には疾患がない状態です。
その中で鎖骨の痛みを感じることがあります。
深呼吸した時に右鎖骨に痛みを感じる原因
深呼吸をしたら、右鎖骨の下あたりがズキズキと痛む、手や指がしびれたようなだるいような感覚になる、咳をしただけで痛む、といった場合、外科的な原因であることがほとんどだと言えます。
では、いったいどこに問題があるのでしょうか?
こういった痛みがある場合の代表的な疾患は「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」と呼ばれます。
鎖骨の下には、鎖骨下動脈と腕神経叢という血管と神経の束が通り、その周りには筋肉があります。
腕神経叢という神経の束は、脊髄神経から鎖骨、腕、手へとつながり、その神経をまわりの筋肉が圧迫することで痛みが生じる疾患が胸郭出口症候群です。
特徴としては、筋肉がむくみなどで大きくなりやすい女性に多い疾患となります。
胸郭出口症候群になった場合、首や肩のまわりを温めるなどして血行をよくしたり、軽くストレッチをすることで改善することがあります。
他の外科的な原因として考えられるものとして、肩こりの延長からくる、頸椎神経筋症候群があります。
この場合、息苦しさも症状として現れるのが特徴です。
深呼吸した時に左鎖骨に痛みを感じる原因
深呼吸をしたら鎖骨の辺りに痛みがある場合、鎖骨の痛みなので外科的な問題を考えるかもしれませんが、左の鎖骨の下が痛む場合内科的な問題も考えられます。
では、左鎖骨の下あたりが痛む場合、体の内側にはどんな臓器があるのでしょうか?
左側と言ったら心臓がありますね。
心臓病で主なものとして、心臓に血液を運ぶ冠動脈が詰まるなどして、血液が行き渡らなくなることによって起こる虚血性心疾患があります。
この虚血性心疾患は生活習慣病の一つでもあります。
つまり、肥満、喫煙といった生活習慣や、糖尿病、高血圧、高脂血症といった疾患のある方は、左鎖骨の下に痛みがある場合、特に心疾患を疑う必要があるでしょう。
特にそういった危険因子がない方も、食事が不規則であったり、欧米化した高カロリー食ばかりを食べていたりと、生活習慣病になる危険があれば、虚血性心疾患を疑うのが良いかもしれません。
他には、胸の奥が痛む、胸が締め付けられる、胸が焼けつくような感じがする、呼吸困難、吐き気や冷や汗などの心疾患の症状が出た場合や、急激に鎖骨下に痛みが出た場合などは、早めの受診をおすすめします。
深呼吸したとき鎖骨に痛みを感じる胸郭出口症候群ってどんな病気?
深呼吸をしたときに鎖骨の辺りに痛みが生じる場合、いくつかの原因が考えられます。
肩こりや、内科的な疾患、精神的なものも考えられますが、外科的な要因として考えられる主なものとして、先ほども簡単に説明しました胸郭出口症候群があります。
名前の通り、胸郭の出口である鎖骨と第1肋骨の間で起こる病気ですね。
胸郭出口には、前斜角筋と中斜角筋が通り、その下を腕神経叢と鎖骨下動脈が通っています。
前斜角筋、中斜角筋とは、首の奥深くにある筋肉で、頸椎の外側の突起から平行に走る細長い筋肉で、腕神経叢とは、中枢神経である脊髄から腕や手に伸びる末梢神経の束で、第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経からなっています。
これらの神経は腕や手、そして肩甲骨の周りの運動や間隔を司っています。
その神経の束や動脈は、斜角筋の間や、鎖骨と第1肋骨の間にある肋鎖間隙、小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を通ります。
そして、それらの筋肉や骨によって締め付けられたり圧迫されることで起こる一連の病気を総称して胸郭出口症候群というのです。
胸郭出口症候群の症状と原因
深呼吸をすると鎖骨の辺りに痛みが出る原因の一つに胸郭出口症候群があります。
もう覚えられましたね。
この病気は胸郭出口で、末梢神経の束や動脈が筋肉に圧迫されて起こる病気で、鎖骨の周りの痛みの他に、首が重い、腕や手の指にだるさやはれぼったさがある、指先が冷たい、腕にびりびりとしびれがある、などの症状も見られます。
また、この病気の特徴として以下のことが挙げられます。
①女性に多い
20代から30代の女性で、特になで肩の人に多くみられます。
②肩の位置や姿勢によって症状が変わる
発症から時間がたつと、この姿勢による症状の変化は少なくなります。
③交通事故が原因でなる場合がある
交通事故により骨が変形することで、神経や血管を圧迫することになるようです。
④男性はスポーツが原因になることが多い
神経の束や動脈を圧迫する筋肉である斜角筋や小胸筋を鍛え、筋肉が太くなっている男性に多くみられます。
⑤悪い姿勢でなることもある
悪い姿勢でいる、いつも重い荷物を片側で持つ、などの崩れた姿勢によって生じることがあります。
胸郭出口症候群の治療と予防
深呼吸をしたら、肩の周りに痛みが生じる場合、いろいろな原因が考えられますが、外科的な主な原因として胸郭出口症候群が真っ先に疑われます。
では、この胸郭出口症候群になった場合、どのような対処をすることで痛みは和らぐのでしょうか?
治療としては、基本的に温存する方向となり、消炎鎮痛剤を投与したり、温熱療法で痛みを和らげます。
痛みのひどいときには神経ブロック注射を打つといった治療を行い、まれなケースとしては、原因となる肋骨を除去することもあります。
なで肩の女性に多い疾患であり、このような場合はストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法が効果的なことがあります。
そしてなにより痛みが出ない、ひどくならないための予防が大切となります。
まずは腕を酷使しないこと、特に片側だけの腕ばかりを使うことは避けたほうがいいでしょう。
次に、背筋を伸ばし、首や肩に負担のかからない姿勢を心がけましょう。
長時間同じ姿勢を続けることも避けたほうが良いです。
そして、ストレスをためることと運動不足はよくないので、ストレスを解消し肩こり解消運動などで体を動かしましょう。
深呼吸による鎖骨の痛みは胸郭出口症候群の可能性大
深呼吸をすることは酸素をたくさん吸い込めるだけでなく、リラックス効果もありますので毎日実践したいところですが、鎖骨の下に痛みが出てしまうと続けられませんよね。
その原因として最も有力な胸郭出口症候群のこと、理解できましたか?
症状に気付いたら、早めに対処して治す努力をしてください。
自分ではどうしようもないほど辛ければ、すぐに専門医療機関で診てもらいましょう。