甲状腺は私達の体の機能を正常に保つために大切な働きをしています。そのため体に不調が出ると甲状腺の異常を疑い、血液検査をすることが多いです。そんな甲状腺の血液検査ですが、診断結果は当日でるものなのでしょうか?結果はなるべく早く知りたいですよね。そこで今回は甲状腺の血液検査について調べてみました。
甲状腺疾患は当日の血液検査が基本。それ以外は?
甲状腺検査は基本的に甲状腺ホルモンを調べる血液検査が基本です。
それ以外には抗体検査が良く行われます。
私達の体には抗体という、体内に侵入した異物を排除しようとする免疫という機能が備わっています。
この抗体が自分の臓器や細胞を排除しようとする病気で、抗体が過剰に生産され様々な病気を発症してしまいます。これを自己免疫疾患と呼び、関節リウマチを始めとする各種の謬原病がこれにあたります。
自己免疫疾患では甲状腺内にあるタンパク質やホルモン受容体に対して自己抗体が生産されることが原因となっていることから、これらの抗体の有無を測定することで疾患の診断が行われています。
甲状腺の自己抗体の検査ではまずサイログロブリンという物質を測定します。これはサイロキシンと呼ばれる血中に流れる甲状腺ホルモンの直前の状態であり、普段は甲状腺組織の中に貯蔵されていて血液中にはほとんど出ていません。血液中のサイログロブリン値が高い値を示す場合は甲状腺に出来た腫瘍がサイログロブリンを生産するとき、甲状腺が異常な刺激を受けたとき、炎症などで甲状腺組織が破壊されたときなどのため、甲状腺の腫瘍マーカーとしても使われています。
甲状腺疾患は当日の血液検査以外にまだまだある
甲状腺のスクリーニング検査の方法には超音波検査、レントゲン検査、ヨード摂取率検査などがあり、妊娠中の方には超音波検査が行われます。
初診の患者様もほとんどがこの検査方法となります。
ゼリーを塗った探触子を体表を滑らすことである程度の質的診断が可能となります。痛みを伴うこともなく、レントゲンと違って被爆することもありません。
触知できない病変やしこり等の存在の有無やその性状、またその大きさの変化を比較したりすることができます。
しかしこれだけでは確定診断はできないため、細胞診を併用することがあります。甲状腺の体積測定もでき、炎症の診断も可能です。
レントゲン撮影ではしこりの判断や気管の変異などを見ます。
ヨード摂取率検査では甲状腺がヨードを取り込む具合を観察して活動度を判定し、バセドウ病や無痛性甲状腺炎の鑑別に使われます。
またCT撮影も甲状腺癌と周囲の臓器との関係、再発を防ぐチェックなどに用いられます。
しかしレントゲン、CT撮影には放射線、ヨード摂取には放射性同位元素を用いるため、妊娠中の方には控えていただく事になるでしょう。
甲状腺の血液検査の結果は当日出るの?
甲状腺に異常があるか調べるには内科で十分だと思いますが、もし自覚症状がある場合には内分泌科、または甲状腺科のある総合病院などを受診されると良いでしょう。
甲状腺ホルモンの測定は大きい病院でならおよそ一時間程度で結果を出してもらうことが出来ますが、外注ならば一週間ほどかかる場合もあります。
検査の内容は主に血液検査と触診、超音波検査になり、必要な場合はアイソトープという検査も行います。一番簡単なものは血液検査で、これは甲状腺の濾胞細胞と呼ばれる場所でつくられる甲状腺ホルモンを検査します。
甲状腺ホルモンはサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)と呼ばれる二種類のホルモンからなり、濾胞細胞から血液中に分泌され、肝臓や腎臓に向かいます。この二つはほとんどがタンパク質と結合しており、甲状腺ホルモン結合タンパクと呼ばれる状態で血液中を流れていきます。そしてその一部は遊離型ホルモン(TF4、TF3)として、全身に作用します。
当日に出来る血液検査は料金は?
甲状腺ホルモンはスクリーニング検査によって行われます。
採取した血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、遊離サイロキシン(FT4)、遊離トリヨードサイロニン(FT3)の三項目を調べます。
TSHが低値でFT4が高値の機能亢進症ではバセドウ病と無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎とを鑑別するために、抗TSHレセプター抗体検査をします。
バセドウ病と無痛性甲状腺炎の治療法は異なるためにこの鑑別診断は必須となります。通常はTSHとFT4の測定で十分ですが放射性ヨード甲状腺摂取率の測定が出来ない場合にFT3とFT4を比較することで無痛性甲状腺炎の除外診断の参考となるためこれも同時に測定します。
診療費はこの三項目の検査と生化Ⅱ判断料、そして採血料や初診料が含まれます。
内訳はTSH115点、FT3140点、FT4140点、生化Ⅱ判断料144点、採血料12点、初診料270点として、これから三割負担として初診料は2460円となります。再診の場合はもう少し安くなります。
甲状腺の病気は様々な症状を引き起こす
甲状腺の病気といわれると一般的にはあまり知られていません。
しかし実際に病気にかかっている患者数は数十人に一人と言われるほど多くの人がかかる可能性のある病気でもあります。
この差はどこからくるかというと、まず甲状腺の専門医でなければ診断が難しいとされていることです。
最近はインターネットの普及により、専門医を受診して病気が見つかるケースが増えてきましたが、ほとんどは他の病気と間違われて治療されていることが多いというのが実情です。
症状の内容は心臓がドキドキする、疲れやすい、イライラする、体重が増える、便秘、生理不順、不妊と多岐に渡り、これらの症状からは心臓病、糖尿病、認知症、リンパ浮腫などたくさんの病気の可能性が考えられます。
そして受診する科も循環器科から精神科、耳鼻科と幅広く、専門の診断では見つけることが困難です。すぐ良くなれば問題ありませんが、数ヶ月以上続いている場合は病気による症状かもしれません。治療を受けていても症状が治らない場合は、甲状腺の検査を受けることをお勧めします。
別の病気と間違って診察されやすい
甲状腺ホルモンは人間のあらゆる臓器や組織の新陳代謝にかかわっているため、変調をきたすと体中に様々な影響が現れます。
バセドウ病と呼ばれる症状では過剰に甲状腺ホルモンが作られ、見える範囲では甲状腺の腫れや眼球の突出が見られ、ひどいときは定期的に四肢が麻痺することもあります。
また甲状腺クリーゼと呼ばれる合併症も引き起こしやすくなり命にかかわる場合もあります。精神的にも不安定になり、高齢者の方は精神病を含めていろいろな病気と誤診される可能性が高くなります。症状の多さから、甲状腺という言葉自体を病名と誤解している人も多くいます。この病気は女性に多く、また症状の中に不妊や子宮筋腫が含まれることから、この病気にかかると妊娠しない、出産にさしさわりがあるという誤解までが一人歩きしています。そのような誤解に振り回されないために、甲状腺という部位とその病気について正しい知識を身につける必要があります。
甲状腺は気管軟骨の前面に張り付いています。大きさはマグロの刺身二切れほどで、体内で最大のホルモンを出す内分泌腺です。健康な人の甲状腺は柔らかく、筋肉に覆われているので通常の状態では触ってもわかりません。ですから、この部分に触れ固くなったり腫れたような感覚があれば甲状腺の病気を疑ったほうが良いでしょう。
甲状腺の検査は繰り返しましょう
甲状腺の検査結果は当日出る大きな病院に行くべきだと思いますが、そこで異常が見当たらなくても安心せず、定期的な検査をしていくように心がけてください。体は刻々と変化していくものです。生活や環境が変わったら、体も変わるものです。そういったときに様々な検査をする癖をつけると、様々な不調の兆候が早期に発見できるようになります。自分の体は自分自身が一番分かるとは思いますが、自覚症状のない病もありますので、気をつけてくださいね。