日々何気なく聞こえる「音」。この音には特別な効果が期待できるのです。
音を楽しむと書いて「音楽」ですが、音楽には癒しの要素があることをご存知でしょうか?
時間に追われて生活するスタイルが定着している方、たまには癒しの音楽を聴いてストレス解消してみませんか?頭の中がスッキリすると効率もあがること間違いありません。
音や音楽のもつ効果
店のBGMや、駅の発車メロディ、信号の変わり目を知らせる音、風のささやき、鳥の声、街の中でも自然の中でも様々な音が聞こえる中で、私たちは日々の生活を過ごしています。
音が全くない世界など、想像もできない、それぐらい私たちにとって音はかけがえのないものになっています。
音が聞こえなければ静かで、穏やかにすごせると考える人もいるかもしれません。
しかし、逆に音のない世界にいると、人は不安になり大きなストレスを感じることになります。なぜなら、人は音によって、脳が現在の状況を把握したり、危険を察知したりということができるからなのです。
また、心地よい音楽を耳にしたり、鳥のさえずりや、小川のせせらぎなどの音は、人の気持ちを穏やかにする働きがあることも、誰もが知っているところです。
近年では、こうした音が持つ癒しパワーを利用した音楽療法といった治療法が、うつ病の治療や、不登校児に対するカウンセリング、自閉症や失語症などの治療、老人ホームでの利用など様々な場面で行われています。
癒しの効果のある音楽「音楽療法」とは?
音楽の癒しパワーの効果を信じられない人もいるかもしれません。
しかし、はるか昔から、人は音楽を心の治療に使ってきているという経緯があります。
古代ローマ時代においては、音楽を「心の薬」としてとらえており、実際に楽器を患者の心臓部分へ押し当てるようにして楽器の演奏を行って治療していたとも言われています。最近では、内臓関係や肩こりの治療にも音楽の癒しパワーが役に立つと言ったことも発表されています。
これほど、昔から音楽を活用した精神治療が行われているのです。
全く効果がないと頭から決めてかかるのは、如何なものでしょうか?
音楽療法とは、自分で、楽器の演奏をしたり唄を唄ったりする能動タイプの音楽療法と、音楽を聴いて行う、受動タイプの音楽療法があります。
バリー・キャシレスは、その著書『代替医療ガイドブック』の中で、音楽療法が、人々の心の充実感を高め、初期の治療や、症状の緩和、リハビリなどに効果的だということを伝えています。
音楽療法の歴史
<創成期>
音楽は、宗教が生まれるのと同時期に人々の間に広まり、当初は、宗教の儀式や祈りの場面で使われていました。音楽により人々の心を操り、憑依現象を引き起こすといったことも行われていました。精神を豊かにして、信仰を高める目的で歌われるキリスト教やユダヤ教で歌われる讃美歌なども、現在でも、受け継がれています。旧約聖書の中には、うつ病を発症していたと思われるサウルが、家来たちのススメによりダビテを招いて、ダビテの竪琴で、彼のうつ症状を癒やしていたとされる話も書かれています。
<近代期>
第二次世界大戦の頃、アメリカの野戦病院で音楽を流しながら、負傷者の治療を行っていたところ、通常よりも治癒に要する時間が縮まったと言われています。
<現代>
岐阜県にある音楽療法研究所をはじめとして、各地の大学や自治体などでも音楽療法についての研究が進められていて、高齢者や不登校児の心のケアを行っています。また音楽療法士という資格も設けられています。
癒しの音楽の天才!?
世界でその名を知らない人はいないというぐらい、モーツァルトは、数多くの有名な楽曲を世に送り出しているオーストリア出身の天才音楽家です。
幼い頃から宮廷で、音楽の才能を発揮していたモーツァルトの天才ぶりは、人々と会話を交わしながら、脳裏に浮かんだ楽曲を譜面に書き留めていたとも、伝えられているほどです。
会話などの言葉は、脳の左半分が使われ、音楽などは脳の右半分を活用していると一般的に言われています。
理論的には可能なようですが、実際にはそれほど簡単なものでもなく、モーツァルトが右脳を使う天才だったことを、伺い知ることができます。
近年では、モーツァルトにより作曲された楽曲が、健康によい音楽として人々の間で見直されています。
実際、研究で、モーツァルトの音楽が、脳に刺激を与え、自律神経の働きを活発にする効果が立証されています。
モーツァルトの音楽に多く含まれている3500Hz以上の高周波が、健康を維持するための生態機能によい影響を及ぼしているというのです。
農業研究でも、トマトに、モーツァルトの音楽を聞かせることで、発育を促進し、甘味を2倍以上増すといったことも実証されています。
また、モーツァルトの音楽CDも、認知症や高血圧などそれぞれの病状に適しているCDが販売されていて、その効果を期待されています。
癒し以外にも効果がある
老人ホームなどの高齢者施設で、音楽療法は色々な形で活用されています。受動タイプの音楽療法として、日々の生活の中で流れる心地よいBGMは、高齢者の人達の心の安定効果やリフレッシュ効果があると言われています。
また、能動タイプの音楽療法として、皆で歌ったりすることは、心肺機能や呼吸機能を鍛え、認知症の予防などの効果も期待できます。更にストレッチ運動などを合わせ行うことで、より高齢者の健康維持に、音楽を役立てることが可能です。
不眠の障害を発症していた認知症患者に毎日2~4時間ほど、オルゴールを利用した音楽療法を行ったところ、1ヵ月程度で薬を飲まなくても、眠ることができるように改善されただけでなく、計算能力や、記憶力なども以前より改善されたといった実例が上がっています。
認知症だけでなくアルツハイマー病などにもオルゴールを使った音楽療法が効果があると報告があります。物忘れが気になる高齢者の方がいる家庭などでもオルゴールを使った音楽療法を、ぜひ試してみてはいかがでしょう。
癒しの音楽とおすすめなセット
音楽だけをきくよりプラスαを行うことでより癒し効果を高めることができるものがあります。
・音楽(聴覚)+温かい飲み物(温もり)
その効果を高めるプラスαの1つに「温かい飲み物」があげられます。
温かい珈琲や紅茶、ホットミルクなどがより効果的です。
安らぎ効果があるカモミールティなどもよいですね。ただし、睡眠前の珈琲や紅茶は眠れなくなるためオススメしません。また、アルコール類は、興奮作用があり、音楽の癒し効果を妨げるので適していません。
・音楽(聴覚)+アロマ(嗅覚)
音楽を聴く時にアロマやお香を焚くのも癒やし効果を高めます。
アロマにも、色々な種類の香りがあり、その効能にも様々なものがあります。ヒーリング音楽と共に使い癒やしの相乗効果を期待したいと考えるならば、カモミールやラベンダー、白檀、イランイラン、ゼラニウムなどリラックス効果が高いアロマを選択しましょう。音楽とアロマ、それぞれが互いの持つ癒し効果が更に癒し効果をアップさせるでしょう。
好きな音楽を見つけてください
音の持つ力はお分かりいただけましたでしょうか。音の力は無限大です。良い音悪い音があるわけではありません。人それぞれ好みが違うので当たり前です。自分の好きな音を見つけてその力を存分に活用しましょう。つまらない事も乗り越えられるようになるでしょう。ぜひとも音楽に囲まれた生活を送っていただきたいですね。