背中の違和感の改善は身体の連動性が鍵になる

最終更新日:2022/06/16

地球上のすべての生物の存在は、重力という前提なくては考えられません。
いかに重力に順応した身体作りをしていくかは、生存している全ての生物において永遠の課題であります。

特に人間は4つ足動物ではなく2足歩行と進化を遂げたために、頭部の重みを背骨と骨盤で分担して支えております。

そこからくる背中の違和感や肩こりは多く、姿勢の改善で多くの症状が改善できると考えております。

その一つの考え方である、整体学の考え方をご紹介していきます。皆様の抱えている症状を改善するのに少しでも役に立てば幸いに存じます。

整体学からみた背中の3つのライン

整体学では背骨に近い順から、一側・二側・三側という呼び方をするラインがあります。
このラインを最初から神経系統や臓器的な意味合いとして捉えるのではなく、体構造の力学的な面から捉えることにより、その本質的な意味合いが浮かび上がってきます。

一側と関係してくる筋群としては背骨の回旋筋にあたり、あまり大きな可動域を持ち合わせている筋群ではありません。

二側と関係してくる筋群としては脊柱起立筋といって細く長い筋群にあたります。運動の場面で捻りの動作を入れる際にはよく使われる筋肉とも知られています。

三側と関係してくる筋群としては僧帽筋や広背筋といった比較的大きな筋群にあたります。背中の広範囲に広がっており上腕骨にも付着していることから肩関節の症状との関連性まで考えられます。

西洋医学では局所的な見方をし、背中の違和感でしたら背中だけ、肩の違和感でしたら肩だけを見ることが多いです。身体全体から各症状を見ていくことを取り入れていくと、今まで考えられなかった身体の状態と症状のつながりが見えてきます。

背中の一側の構造と違和感からくる症状

まず一側という場所は、背骨のすぐ脇の縦のラインですが、ここは単純にその背骨がどれだけ緩んで弾力があるかということを示します。

背骨は頸椎C1~C7・胸椎T1~T12・腰椎L1~L5の24椎が積み重なっています。それぞれの椎の弾力性を示すということです。

年齢を重ねるごとに背中の骨・筋肉は硬化していきますので、一側に関連する脊柱の回旋筋群の柔軟性を向上させることが硬化予防や違和感を感じない一つの方法となってきます。

逆に硬化している状態を想像すると、椎骨と一側が密着して剥がれない状態にんり、ベタッとしている状態です。こうなると、その椎骨は可動域がなくなったこととなります。

可動範囲がなくなると身体の伸びがなくなり椎間板ヘルニア・腰椎分離症・脊柱管狭窄症などの腰痛の症状に限らず、アトピー・糖尿病・心臓疾患といった不定愁訴からくると考えられる疾患にもかかりやすくなってきます。

多くの患者様の背骨を日々触らせていただいてますが、この一側が柔らかい方は様々な症状をかかえるリスクは低いように感じます。

ここをベースに全身を見ていくのも一つの手法と考えております。

背中の二側の構造と違和感からくる症状

次に二側のラインですが、背中の骨の両側の、太い大きな縦に走る脊柱起立筋のラインです。

人間は胸椎と股関節を回旋させてエネルギーの貯めや放出を繰り返し運動を行います。その運動パフォーマンス向上に一番大事な箇所と言っても過言ではないでしょう。

脊柱起立筋は様々な筋肉の中でも比較的細く長い筋肉でありますが、やはり年齢を重ねるごとに硬化していく筋肉でありますのでストレッチやエクササイズによる柔軟性の獲得は必須になってきます。

また、脊柱起立筋に違和感を感じるというのは腰が硬直していたり、弛緩していたりという腰のバランスが悪い状態がまず先にあって、そこから派生してくるのですから腰のバランスを良い状態に戻すには自然と二側である脊柱起立筋の弾力は戻ってくるのです。

食べ過ぎ・飲み過ぎ・肉体的な過労で身体を酷使していると、腰は硬直してしまいます。
内臓疲労からも精神疲労からも脊柱起立筋の状態は悪化していきます。

経絡経穴をみてもT11~L5には肝臓・消化器系・腎臓系の経穴があります。

例えば脊柱起立筋の硬化を感じ、腎兪が硬ければ生殖器に異常がある可能性がありますし、肝兪や胆兪が硬ければ血液の貯蔵やエネルギーの分解機能に異常があることも考えられます。消化器系に関しては胃兪・脾兪・三焦兪と3つの重要なツボが潜んでます。

このあたりのケアは季節性の症状も関連してきますのでケアを怠ってはいけない場所となっています。

人間の身体の構造上、右側には肝臓があり左側には胃があります。脊柱起立筋は右にも左にもありますので、右脊柱起立筋は肝臓系の状態を表し、左脊柱起立筋は消化器系の状態を表している筋肉という見方もできると思います。

背中の三側の構造と違和感からくる症状

最後に三側は3つのラインの中でも一番外側のラインを指し、二側の脊柱起立筋の外側のラインにあたります。

この三側が違和感を感じてしまうと、身体の崩れ・疲労の度合いを指すといわれております。三側のラインに硬直が出ているという状態は、中心で身体を支えることができなくなって、外々で身体を支えていることを意味していて、身体が崩れてきている、または相当疲れがきていることを表します。

中心で支えることができてないということは、身体は前屈傾向になり大脳を含めた頭部の重みを、姿勢によっては首で支え肩こりになってしまったり、頭部・胸部を腰部で支えてしまいぎっくり腰のリスクを高めたりと身体の弊害がいたるところにでてきます。

患者様によっては「腰の抜けた状態」と腰痛を表現する方がいらっしゃいます。ちょうどそれにあたる状態に感じます。

背中の筋肉の中でも広背筋や僧帽筋といった比較的大きな筋肉にも関係性がでてきますので、広背筋が付着している仙腸関節の硬化もみられ、股関節部分の柔軟性とも相関性が多分に含まれてきます。

広背筋は上腕骨と脊柱と腸骨に付着していますので、三側の硬化からくる五十肩も考えられます。西洋医学的には五十肩だから肩の治療と考えがちになりますが、全身から局部を考えると単なる肩関節の問題ではなく、三側である広背筋の硬直と肩甲骨の状態の問題という見方もできるのではないでしょうか。

整体学からみた背中の3つのラインの連動性

以上、背中の一側・二側・三側の説明をいたしましたが、それらはそれぞれが別々に存在しているのではなく、互いに関係し合いその様相を変化させているのです。

つまり、回旋筋が非常に良い状態で、その横の脊柱起立筋や広背筋・僧帽筋が違和感を感じる状態であるということではありません。身体と筋肉は連鎖して動作を成しますので全てのライン・筋肉が総合的な良し悪しを映し出す鏡なのです。

立位の状態を維持するにも、様々な筋肉が連鎖しております。

重力に対して身体を保持していかなくてはならないので、筋肉のバランスが正しい状態の方が身体は軽くなりますし、効率的に動くことができます。

それが各種スポーツの特殊な動きになっていくと、より複雑な身体の連鎖運動が成り立ち野球で言うと投球動作、ゴルフで言うとスイング動作、他にも陸上・サッカー・バレーボールなど多種多様におけるスポーツにおいて必要な考え方となってきます。

その際にこの3つのラインが重要な働きをし、運動パフォーマンス向上に役立ちます。

日常生活でも特殊な運動においても獲得しておきたい3つのラインの連動性となっていくのです。

まとめ

一つの背中しかないですが、3つのラインに分けられるという整体学から様々な症状やスポーツにおける連動性を考えてみました。

日常生活の中から背中の違和感を感じることもあれば、趣味のスポーツ・競技性の高いスポーツの中で同様に感じることもあると思います。

一概に硬くなる要因というのは一つではないですし、抱えている症状も要因が一つとは思えません。

身体は様々な連動性を備えております。身体全身から見直す視点を持ち、背中の違和感解消に向かっていただければ幸いに存じます。

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