外反母趾からくる腰痛の改善と整体学の関連性

最終更新日:2022/06/28

日常から外反母趾で悩んでいる方々が多いように思えます。

実際に施療の現場でも、親指が中に入って痛みを感じ、オペをしようか悩んでいますという声もお聴きします。

そのような方々は多くの割合で腰痛を抱えていることがあります。

ここでは整体学の流入してきた背景をご紹介したうえで、外反母趾と腰痛を整体学の考え方を参考にし改善方法を見出していきたいと思います。

整体の歴史

整体という施療方法も言葉自体も江戸時代の日本にはなかったと言われています。

どのように現代に流通していったのでしょうか。

1853年、アメリカのマシュー・ペリー提督率いる黒舟来航から徳川幕府に鎖国政策を解除するよう開国を迫りました。
そして薩摩長州といった押し責める大久保利通・西郷隆盛・木戸孝允を筆頭にした統幕派により徳川幕府が衰退していき明治維新を成し遂げ、自動車・鉄道・蒸気船・食品・生活スタイルといった様々な欧米スタイルのものが日本へと流入してきました。

歴史の書物では統幕派はただのテロリストでしかなかったとも言われておりますが、それはさておき、そこから日本の生活スタイルは一気に欧米化となり、文明開化を辿るわけです。

そんな中、肩こり・腰痛など現代の生活スタイルの中で非常に多い症状の対処はどうしていたのかというと、明治~大正時代においてカイロプラクティックやオステオパシーやスポンディロセラピーという科学的・物理的手法が欧米から流入し、日本でも確立してきた東洋医学・漢方の経穴経絡・陰陽五行論を中心とした考え方が混同し、西洋療術と東洋療術の両方が国内で流通していき一般消費者の中で浸透していくのです。

整体と過去の施術法

欧米から流入されたカイロプラクティックやオステオパシーやスポンディロセラピー療術名に変わる用語が日本にはなかったため「整体」という言葉をあてたと一部では考えられているようです。

そのため整体とは比較的西洋的な考え方が強いということが言えるのです。

古くをさかのぼると
①霊術といった気合術や霊道術や精神統一法が38%
②療術といったお手あて、プラーナ療法が21%
③精神療法といった暗示、睡眠療法、精神療法23%
④心霊系霊術といった心霊治療、超能力治療が7%
⑤その他、断食、体操が2%

今の時代を考えると①~⑤の言葉を聞くと⑤の断食や体操が一番日常的に聞きますが、江戸時代には割合的に2%しか流通していなかったのですね。

精神統一や超能力で腰痛が改善すると思われていた時代があるのには驚かされます。

江戸時代に健康雑誌や健康に関する書籍が店頭に並んでも、誰も見向きもしなかったのではないでしょうか。

整体学から考える腰痛・外反母趾の関連性

腰痛と言ったら「腰」と考えられますが、ここでは「外反母趾」を考えていきたいと思います。

外反母趾になっている方が腰痛になっているパターンというのが非常に多いです。

外反母趾の痛みがでなくても、外反母趾の傾向がある方も含めて考えていただけると幸いです。

よく靴のせいで親指が中に入るとも言われ、靴の工夫やインソールの購入などを促す方がいらっしゃいますが、それでは根本的に改善は難しいでしょう。

歴史的背景を考えると、江戸時代には草履や下駄を履いていたため、親指が内側に入ることがなかったため、外反母趾は現代より少なかったと言われております。

外反母趾が影響しての腰痛は少なかったでしょう。

現代では、5本指靴下やインソールの改良によって防止策をとっていますが、草履や下駄を履いてみるのも腰痛・外反母趾改善の一つの手法になるでしょう。

整体学では親指と腰椎の4・5番の関係が最も深いと言われております。

腰椎4・5番に力のある人は下肢の後ろに伸びがあり、また、内側にも弾力があります。
人は歩くときに真っ直ぐ後ろに蹴ることができないため、極端に言うと伸びと弾力がない状態ですと、過度に母指の筋力を使ってしまい収縮傾向に陥り親指が中に入ってしまいます。

そうすると、下肢の後ろの伸びがなく、内側にも弾力がなくなり腰椎の4・5番が弱くなり、腰痛という症状を抱えてしまう傾向があるのです。

日常からどの位置に重心をのせて、生活をしていくのか思慮しなくてはなりませんね。

腰痛改善のための立位時での重心点

外反母趾と腰痛の関連性を考えたうえで、次に外反母趾にならないためにはどうしたらよいのでしょうか。

日常の生活の中で立位の状態が非常に多いと思います。

長い人は一日中立っているという方も少なくないでしょう。

そんな方々は普段どこに重心をのせていると思いますか?

様々な場面で姿勢改善の教室をさせていただいてますが、多い団体では10割の方々が母趾球に体重をおいています。

そうすると、膝は屈曲しやすく全体重を下半身で支えてしまい腰椎の4・5番に負担がかかり余計に親指が内側に入ってしまい、外反母趾と腰痛を抱えてしまいます。

したがって、母趾球に10割というよりは小趾球に7割で母趾球に3割くらいのイメージでのっていただきたいと考えます。

小趾球に重心をおくことにより、前脛骨筋・ハムストリング・腸骨筋・脊柱起立筋が連動し背骨が適正な位置に収まりやすく、体重を適切に分散し立位の姿勢を保つことが可能となります。

足の指もしっかり開くことが可能となり、親指が中に入ってくることが防げるため外反母趾の予防にもなるのです。

4つ足の動物では成しえなかった「立つ」という人間独特の動作が正しく行われなくては、様々な症状を抱えてしまうのです。

こうして考えると、動物には肩こりや腰痛がないのは理解できるのではないでしょうか。

腰痛改善のための歩行時での重心点

上記では静止した状態での「立位」の重心点に触れましたが、「歩行時」の状態も考えていきたいと思います。

歩行時にも同様の割合で小趾球に7割・母趾球に3割くらいのイメージで歩いていくことをお勧めします。

立位と違って動きがでてくるので、足の裏の筋肉の収縮が正しく行われなくてはなりません。

上記でも触れましたが、股関節の回旋が入るために真っ直ぐ後ろに蹴ることはできません。

その際に四指(人差し指・中指・薬指・小指)で地面を捕まえて斜め内側後方に蹴るようにしていただけると、股関節の外旋の連動で足の裏の筋肉が収縮することが可能となります。

しかし、母趾球に体重が乗っている状態ですと、股関節の回旋運動が制限されて母指で地面を蹴ってしまい、親指に過度に負担がかかり内側に入る傾向がみられます。

そこから立位時と同様なサイクルで腰痛が併発してしまうリスクを抱えてしまうのです。
整体学でいう腰椎の4・5番が弱くなってしまうパターンです。

スポーツの場面でも母趾球に体重がのった状態で股関節の回旋運動が行われ、内側側副靭帯・外側側副靭帯の損傷や断裂、半月板損傷といった故障を抱える場面が非常に多くみられます。

歩行時にも小趾球に体重をのせ股関節の回旋運動が円滑に行われることをお勧めします。

外反母趾からくる腰痛の改善と整体学の関連性 まとめ

時代を振り返ると面白いもので、人の抱える症状というのはその時々で大きく変化していきます。

これが内科・外科・脳外科・泌尿器科といった医学でみていくともっと大きな変化がみられると思います。

今回は歴史的背景からも整体学的に考えても、草履や下駄の生活スタイルから江戸時代以前に外反母趾が少なかったことがわかり、今後の人間の二足での生活スタイルを考えたうえで、どのように対処していかなくてはならないかということをまとめました。

皆様が外反母趾にならず、そこから腰痛にはならないことを強く願っております。

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