神経過敏になると、体は様々なことに反応し緊張し、安らぐことが出来ず辛い思いをすることになります。ストレスや疲労から自律神経が乱れてしまっているのかもしれません。そのためにリラックスして自律神経を整える必要があります。マッサージや半身浴をするのも良いかもしれません。今回は神経過敏になる原因と対処法をまとめてみたいと思います。
神経過敏とは
神経過敏とは他の人が何も感じないのに、ある事に対して過剰に反応して、不安感をもったり、追い詰められたりする状態を指します。
「潔癖症」であったり「ドアに鍵をかけたかが不安でもう一度家に戻って確認する。」程度であれば性格的なものであり病気として認識されることはありません。
しかし、必ず消毒しないとものを食べることができないあるいは、消毒していないものを食べると気分が悪くなる、鍵をかけたかどうか不安で外出できなくなるという場合には病気として治療する必要があります。だれでも気にすることであっても病的に不安が増して行動に制限がかかるような場合を精神疾患の分類では不安障害とよびます。
不安障害は症状や原因によってパニック障害、恐怖症、強迫性障害、外傷性ストレス障害(PTSD)、全般性不安障害、一般身体疾患による不安障害、物質発生不安障害に分類できます。このカテゴリーに入らないものは特定不能の不安障害とよびます。
不安な気持ちが何らかの症状を起こすことを不安障害と定義しています。
神経過敏ならマッサージでリラックス
大きなストレスを浴びた時におこる外傷性ストレス障害には他の治療を併用する必要がありますが、もともと性格的に持っていた不安に対する症状が疲れなどによって、強くででているような、神経過敏(不安障害)の場合にはマッサージによってリラックスすると症状が軽くなる場合があります。
神経過敏(不安障害が軽度)の場合には、緊張感が強いと症状が強くでる場合があります。鍵のかけ忘れなどの不安は、入社試験の受験日に強くでる場合があることから理解しやすいと思います。
緊張の原因は脳にあります。不安障害になった脳は常に体に緊張するような命令を出している状態です。これは自律神経が常に働いている状態です。
これは身の危険を避けるための行動を上手に体が対応できるようにしているのです。実際には血圧の上昇(血流量を増やして、体中に酸素を運ぶことによって筋肉が動きやすくする)によって、手が震えたり、心臓がドキドキ(動悸といいます)したりします。
現在では、人間は天敵にあうことはほとんどありませんが、原始人の時代には周りに天敵がたくさんいるのが普通でした。それらの天敵と戦うために人間は緊張という形の戦闘態勢を取っていたのです。
そのため、人からマッサージを受ける状態というのは周りに天敵がいないということを脳に知らせることによってリラックスできます。”
強すぎるマッサージは避けましょう
強すぎるマッサージを避ける理由は、マッサージを敵の攻撃であると脳が認識するからです。
いったんスイッチが入ってしまうと脳はまた体を攻撃モードにしてしまいます。するとまた緊張が現れ、神経過敏(不安障害)の症状が現れてしまいます。
一度その人から、強いマッサージを受けることを脳が覚えてしまうとその人の顔を見ただけで緊張してしまうこともあります。
またお風呂場などで自分にマッサージをしているときでも、注意が必要です。強いマッサージをしているのが自分であっても、脳はその刺激を、攻撃のために準備だと誤って認識して、攻撃モードに入ってしまいます。
この場合には自分で体を触ることによって不安が増してしまうという症状がでる場合があるので、注意が必要です。
神経過敏の方は腹式呼吸を覚えましょう
神経過敏に対する自分でできる治療法として腹式呼吸があります。
腹式呼吸は鼻で息を吸い、口でゆっくりと吐くことが基本です。その時に胸を動かすのではなく、お腹を動かすのが基本です。
不安がでてきたときに腹式呼吸を行うと、不思議に落ち着きます。これは自律神経の交感神経を制御して、副交感神経を有意にするからです。
自律神経は前章で述べたように攻撃モードに入ることです。普通の人では行動をする際に必要なレベルにしか上がりませんが、神経過敏の人は実際に攻撃ができるあるいはそこから逃げ出すことができるようなレベルまで交感神経のレベルが上がってしまいます。
副交感神経は休息のための神経システムと言えます。交感神経で疲れた体を休める方向に働きます。
腹式呼吸を意識的に行うと、脳は休息状態に入ったと認識して、副交感神経を交感神経よりも優位にします。そのため、緊張感や不安感が消えていくのです。
マッサージと併せて軽い運動も始めましょう
運動は交感神経を副交感神経よりも優位にするので、逆効果のように感じるかもしれません。しかし、交感神経だけ副交感神経だけでは人間は生きていけません。
交感神経と副交感神経のバランスが大切になります。交感神経もきちんと働かなくては消化器官が(免疫に対しては副交感神経も働く必要があります)働きません。
そのため、神経過敏(不安障害)を軽くするためには、交感神経の行きすぎを止めることを目標にする必要があります。つまり、副交感神経を動かすことだけでを考えているようではなかなか、神経過敏(不安障害)は軽くなりません。
そのため、交感神経を少し刺激して、行きすぎないうちに刺激を止めるという流れを脳に認識させるのも効果があります。このためにはジョギングやヨガなどの軽い運動が適しています。
早起きは三文の徳
神経過敏(不安障害)は、明日何か緊張するようなことがある場合には、眠れなくなるときがあります。しかし、いったん眠ってしまうと朝起きるのつらくなります。
人間には体内時計というものがあって、ホルモンなどの血中濃度は1日の内で変動します。
この日内変動に合わせた生活が、人間の体に適していると言われています。これに逆らった生活を行うと、時差ボケ程度では問題ありませんが、うつなどの精神病の発症する可能性が高くなるといわれています。
当然、神経過敏(不安障害)に対しても日内変動と違った生活を行っているとだんだん悪化する可能性があります。
「早起きは三文の徳」という諺があります。これを日内変動の観点からみると大変理にかなった諺です。日内変動は、目覚めによってリセットされます。毎日同じ時間に目を覚ますというのは、日内変動と一日の行動が同じになるということです。
緊張して眠れない日であっても、翌日はいつもと同じ時間に目覚ましをかけておくことをおすすめします。
睡眠不足によってだるさや眠気を感じる理由は、実際の睡眠不足よりも日内変動が乱れて、昼間に睡眠を促すホルモンがでている場合があります。(これはシフト勤務による日内変動の乱れから分かったことです)
眠りを促すホルモンが就寝時間に最大の濃度になるような生活は、毎日の規則的な生活を送ることから得られます。緊張によってそのリズムが乱されそうなときは、マッサージ、腹式呼吸など布団のなかでできる緊張をとるようなことをすることをおすすめします。
病は気から
神経過敏(不安症)は気持ちの問題ではなく、脳の反応が交感神経を過剰に働かせていることによります。
性格と区別できない程度のものは性格と割り切るのも一つの手です。
また緊張感を感じる手の震えや動悸を抑えるために薬を飲んで一時的にその症状を抑えることは、意外と効果的です。脳が攻撃モードが終わったと認識して、心臓からの血液量を増やすことをやめる場合があります。(ただし、緊張感がないときまで薬を飲み続けるのはおすすめしません、副作用がでることがあるからです)
神経過敏(不安症)が病気と診断されるような症状がでる場合には精神科に行くことをおすすめします。不安症に対する対症療法の薬剤(上記の一時的に緊張を抑える薬ではありません)と行動認知療法により、ひとりで悩むよりは、簡単に治る場合があります。
*行動認知療法:腹式呼吸やマッサージなども行動認知療法の一つです。自分の不安の原因を直視することとその不安をを行動やカウンセリングで治療していく方法です。