健常者の我々には、聴覚障害者の耳が聞こえない、言葉を話せないという苦労を実感するのは難しいですよね。
現実、音も聞こえているし会話もできているんですもの。
聴覚障害者は、時には身近な人たちからも誤解されたり、軽視されたり、無視されたりすることさえあります。
耳が聞こえない、言葉が話せないというのはどういうことか、また不便なことを理解して必要な配慮をできるようにしましょう!
耳が聞こえない、話せない聴覚障害とは?
耳が聞こえない、話せない聴覚障害についてご説明します。
聴覚障害は、外耳、中耳、内耳、聴神経のどれかに障害があるので、聞こえにくかったり聞こえなくなっていることです。
伝音性難聴と感音性難聴、それから混合性難聴があります。
聴覚障害は、音量が小さくなったようで聞きづらい、音は聞き取れるけど内容が聞き分けにくい、補聴器をつけているのに音がほとんど聞き取れない、など人によって程度が違います。
補聴器をつけると聞き取れる軽度・中等度難聴の人であっても、騒音がある所や音が反響する所では、音声が聞きにくくなってしまいます。
マイクの声や映像教材の音声などは、肉声より聞きづらいです。
また、こもった話し方をする人の声は、聞きにくいです。
感音性難聴は、音を認識できても言葉の内容を聞き取ることが簡単ではありません。
1対1でなく複数の人と話すと、どこで誰が何を話しているか音声だけではわかりにくくなってしまいます。
複数で話しをしたり、授業中の質疑応答、などです。
耳が聞こえない、話せない聴覚障害の原因とは?
耳が聞こえない、話せない聴覚障害の原因については、聴覚障害になった時期で、先天的、後天的にわけられます。
先天的は、聴覚組織の奇形、妊娠中のウイルス感染などで聴覚系統が侵されたケースです。
後天的は、突発性疾患、薬の副作用、頭部外傷、などで聴覚組織にダメージを受けたケースです。
聴覚障害のパーツで、伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴に分けられます。
伝音性難聴は、音が伝わりにくいだけということで補聴器で音を大きくすると聞こえることができます。
感音性難聴は、脳の障害などの難聴、音が歪んで響く、言葉がはっきりしない、などです。
補聴器をつけてもだめです。
補聴器の微調整をしないといけません。
混合性難聴は、伝音性難聴と感音性難聴の二つの原因をもっています。
聴覚障害者は、聴覚障害の原因、聞こえ方の違い、などがあるので聴覚障害者を分類するのは簡単ではありません。
中途失聴者は、音声言語を習得してから聞こえなくなった人です。
ほとんどの人は話すことが可能です。
難聴者は、聴力が残っている人で、補聴器をつけて会話できる人からわずかしか聞こえない難聴者まで様々です。
ろうあ者は、音声言語を習得する前に失聴したので、手話が第一言語になります。
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者の不便なこと①
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者の不便なことは沢山あります。
お店で困るのが、返品するときに通じない、商品の説明が理解できない、店員から話しかけられても理解できない、などです。
改善してほしいことは、筆談、手話をしてもらいたい、大きな声でゆっくりと話してもらいたい、書けるものの準備、店内放送を電光掲示板に表示、公衆ファックスの設置、などです。
娯楽施設で困るのが、場内放送が聞こえない、友達と離れたら連絡できない、係りの人の説明が理解できない、建物の案内がよくわからない、非常警報が聞こえない、エレベーターで利用階が言えない、などです。
改善してほしいことは、電光掲示板の設置、連絡用伝言板を設置、手話のできる係員、磁気誘導ループの設置、などが挙げられます。
宿泊施設でも困ることがあります。
それは、 緊急放送がわからない、電話が使用できない、ノックが聞こえない、緊急避難が不安、目覚ましが聞こえない、などです。
改善してほしいことは、部屋にファックスを置く、呼び出し用ライトを設置、振動式目覚まし時計、テレビ電話、緊急時にランプなどで知らせるシステム、などです。
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者の不便なこと②
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者の不便なことはまだまだあります。
交通機関で困ることは、アナウンスが聞こえない、緊急放送等がわからない、慣れていない場所の停車駅が分からない、駅員の言うことが理解できない、乗り換えの電車を聞けない、補聴器に雑音が入る、などです。
改善してほしいことは、電光掲示板を設置、アナウンスを電光掲示板で表示、停留所の文字を明確にする、手話のできる駅員、などです。
ホームで困ることは、放送がわからない、電車の音がわからないので危ない、発車ベルがわからない、などです。
改善してほしいことは、文字情報の増加、発車ベルをランプ表示に変更、などです。
バスで困ることは、車内放送が理解できない、夜など外が見えにくいので停留所がわからない、などです。
改善してほしいことは、理解しやすい路線図を作る、手話のできる運転手、などです。
タクシーで困ることは、運転手に行き先が伝わらない、運転手が筆談をしてくれない、障害者割引を運転手が嫌がる、などです。
改善してほしいことは、手話のできる運転手、筆談用具を置く、カーナビを付ける、などです。
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者の不便なこと③
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者の不便なことが多いのがどんどん理解できたかと思います。
しかしまだまだ数え上げれば切りがありません。
銀行や郵便局で困るのは、名前を呼ばれてもわからない、窓口の説明が理解できない、などです。
改善してほしいことは、電光掲示板の表示、筆談、手話を話す従業員、磁気ループの設置、などです。
病院の受付で困るのは、自分の名前を呼ばれても気づかない、説明が理解できない、症状を上手に説明するのが難しい、などです。
改善してほしいことは、電光掲示板の表示、手話ができる従業員、磁気ループをはりめぐらせる、などです。
診察で困ることは、先生やナースの話が理解できない、症状を上手に説明できない、先生が筆談をしたがらない、先生の説明不足、インターホンの返事がわからない、先生の文章がわかりづらい、などです。
改善してほしいことは、先生やナースに理解のある対応を望む、手話や筆談を望む、手話通訳者を望む、先生からの納得のいく説明、口の動きで理解できるので、顔を見てはっきりと話しをしてほしい、などです。
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者とのコミュニケーション手段
耳が聞こえない、話せない聴覚障害者のコミュニケーションは、失聴年齢、残存聴力、言語力、読話力、などで違います。
手話ができない聴覚障害者は多いです。
聴覚障害者は、補聴器で聞きながら読話をします。
聴力が少しでもあれば、補聴器が使えます。
でも、補聴器は言葉の識別を助けてはくれません。
人工内耳は、スピーチプロセッサーで音を電気信号に変えて内耳の蝸牛に埋め込んだ電極に送ります。
それが聴神経に伝わって脳で音を解読します。
健康保険が適用になったので、人口内耳をする人は増えました。
補聴器をつけても音声の識別ができない人でも中軽度の聴力レベルになります。
補聴援助システムは、マイクの音声を補聴器や人工内耳で聞きやすくします。
機械で音を伝えるので、聞きたい声だけを選ぶことはできません。
騒音なども大きくなります。
なので、補聴援助システムが必要です。
マイクからの音声を伝えて音源を耳元に近づけるのと同じ効果があるので聞きやすくなります。
磁気誘導ループは、補聴器である程度聞こえる人には必要不可欠です。
補聴器のスイッチを”T”にしたら、マイクからの音声だけが補聴器に入り、騒音があっても聞き取りやすいです。
アダプターの使用で、人工内耳の人も使えます。
聴覚障害者への配慮やお手伝いをしよう!
聴覚障害者の人達にどんな配慮をしたり、お手伝いをしたらいいのか分からないから何もできないでいる方が沢山いらっしゃると思います。
聴覚障害者の人達が日常生活において、どんな場面で不便さを感じているか自分のことの様に考え、その置かれている状況を理解するよう心がけて下さい。
今日から積極的に「お手伝いしましょうか?」と言えるといいですね。