肋骨を骨折する原因は様々ですが、呼吸するのも辛いくらい痛みが出ます。
通常は骨折の有無に限らず打撲などで炎症した場合は温めることはNGです。
ですからお風呂に浸からずに過ごす必要があります。
そこで今回は肋骨を骨折した場合の過ごし方をまとめてみたいと思います。
肋骨を骨折する原因
肋骨とはあばら骨とも呼ばれる骨で、背骨から12本の骨が内臓(主に肺)を囲むように生えている12対の骨を指します。
上から第1肋骨、第2肋骨と名前がついています。
一番下が第12肋骨です。
第1肋骨から第7肋骨までは左右両方の肋骨が胸の真ん中の胸骨(胸骨)に接して胸を完全に囲っています。
第8肋骨から第12骨折までは前方が開いています。
肋骨は骨折しやすい骨の一つとして知られています。
打撲や圧迫などで折れるだけでなく、弱い力が繰り返し同じ部位にかかることによって骨が折れる事を疲労骨折と呼びます。
肋骨は疲労骨折を起こしやすい骨です。
例えばゴルフスイングでは利き腕の反対の肋骨に力がかかるので、右が利き腕の人がゴルフスイングを長期間続けると左の肋骨に疲労骨折が起こることもあります。
マッサージでうつぶせの状態で背中を強く圧迫すると、肋骨がしなるので、実際には圧迫されていないけれども、骨に力のかかる脇腹の肋骨が折れることがあります。
風邪などで強い咳が続いた後に弱い咳でも肋骨が骨折する場合があります。
咳は瞬間的に肋骨に強い力が働きます。
咳が続くと肋骨が折れやすい状態になり、軽い咳でも疲労骨折を起こしてしまいます。
ところで肋骨を骨折したとき、お風呂に入ってもいいのでしょうか?
肋骨を骨折したらお風呂はNGです
事故で肋骨を骨折した場合には、痛みは骨折の直後から出てきます。
しかし、疲労骨折やマッサージによる骨折は、骨が折れたときにはあまり痛みはなく、骨折の周りの筋肉や皮膚などが炎症を起こして、初めて痛みを感じる場合があります。
この場合には痛みを取るためには、炎症を抑える必要があります。
痛みを抑えるために(炎症を抑えるために)抗炎鎮痛剤の湿布を使うことが基本となります。
それでもおさまらない場合には抗炎鎮痛剤の経口投与を行います。
この痛みを取る治療の間はお風呂に浸かり体を温めるのは治りを遅くするのでNGとなります。
お風呂は血流をよくして、体の緊張を取ることによって一般的には効果があるとされていますが、炎症がある場合には血流がよくなることによって、炎症物質の産生を増進したり、他の部位にまで炎症物質が広がったりするために炎症の治りが遅くなり、抗炎鎮痛剤の使用期間が伸びてしまします。
炎症が治まり、骨がつくのを待つだけになれば、お風呂に入ることができます。
お風呂に浸からないでタオルで拭く
お風呂に長いこと入らないと、他の部分の汚れが目立つ場合があります。
その場合には体を清潔にするために水かぬるま湯で濡らしたタオルで汚れを取り、最後に乾いたタオルで拭いておきましょう。
同じ種類の湿布を同じ場所に貼る時には1ヶ月近くも貼り続ける必要があることから、毎日新しい湿布に貼り替える事を忘れないでください。
湿布は、皮膚から薬を吸収させて、病気を治す役割を持っています。
そのため、1日以上同じ湿布を貼り続けると、湿布に含まれる薬が無くなってしまい、意味がなくなります。
(他の医薬品ではもう少し長く貼っておくものもあります。その場合には医師あるいは薬剤師がどれぐらいで交換するかを教えてくれます。)
シャワーに関しても、ぬるめのシャワーで痛みのあるところにはお湯がかからないようにした方が無難です。
炎症が治まればお風呂はOKです
骨折そのものには、お風呂に入って血流をあげることは妨げにはならないので、炎症がひいて、痛みが治まればお風呂に入っても構いません。
ただし、お風呂に入るときには胸を固定するバストバンドを外すと思いますので、肋骨に影響がでないようにゆっくりとした動作を心得てください。
お風呂に入って気持ちがいいと、両手を伸ばして背中を伸ばす動作をしたくなりますが、これはNGです。
肋骨に負担がかかります。
炎症がひいたといっても肋骨が完全にくっついたわけではありません。
肋骨骨折の治癒は肋骨が完全にくっついた状態になる事です。
現在のところ、肋骨が骨折した場合には日にち薬(時が経つのを待つ)しかありません。
肺という呼吸器官の周りを囲っていることから、肋骨は他の骨に比べて柔軟性があります。
逆にいうと、他の骨のように石膏で固めたり、ボルトを入れて骨を固定することが肋骨では、よほど重症(肋骨が折れて肺に刺さるなど)以外はなるべく動かさないことが治療となっています。
肋骨骨折はレントゲンに映らないことも
肋骨骨折の診断で一番重要なものはきちんとした診断です。
触診によって痛みの部位を確かめてその部位を狙ってレントゲンを撮らないと骨折が映らない場合があります。
レントゲンに映らないのは、肋骨の軟骨部がレントゲンを跳ね返すことがないため、何もないかのように映ってしまいます。
また、心臓その他の内臓とかぶっていることが多く、単純にレントゲンで肋骨骨折と診断できるのは60%前後といわれています。
明らかな原因が問診で判明し、触診で骨折の疑いがあるのが分かっている場合には、その肋骨を狙った形でレントゲンを撮ります。
そうすると肋骨骨折をレントゲンで発見できる可能性が高くなります。
肋骨骨折はよく分かっている整形外科のお医者さんと、レントゲン施設があるかかりつけのお医者さんでは、レントゲンでの見逃しの割合が10%ぐらい違うといわれています。
実際問題としては肋骨骨折の場合には骨がくっつくことよりも痛みを取ることの方が患者さんには重要でその方法は、重症な場合を除くと胸部の固定と痛み止めの湿布あるいは経口なので、確定診断よりも、他の病気でないことを確認することが大事となります。
骨折したときに積極的に摂取したいもの
骨折したときには当然骨を作る方向の栄養を積極的に摂る必要があります。
その栄養素とはカルシウムですがカルシウムだけを大量に摂ることは必ずしも骨を作ることにはなりません。
ビタミンDやビタミンKもカルシウム摂取量に応じて摂ることが必要になります。
おすすめの食材としては大豆製品(納豆、豆腐、豆乳)や乳製品(牛乳、ヨーグルト:ただし、カルシウムに対するビタミンKの割合が少ないので、乳製品だけを摂っているのはあまりよくありません)、レバー、海藻類、しいたけ、キクラゲ等です。
ビタミンDは日光を浴びていると体の中で作られます。
従って、日焼け予防のために全身に日焼け止めを行っている人や、日照時間が短い地方の冬場、雨などによる日照時間が少ないということがなければビタミンDはあまり意識する必要はないとする専門家もいます。
リンや塩分が過剰になると骨からカルシウムが溶け出すことがあるので、インスタント食品、スナック、炭酸飲料は少なくすることが大切です。
干物や漬け物に関しては最近は塩分が少なくなっていますが、添加剤にリンが含まれている場合もあるので、気をつけた方がいいかもしれません。
疲労骨折になったときの注意と予防法
重症の場合は別として、肋骨を骨折した場合には湿布や経口剤で2~3週間で痛みは取れます。
痛みが取れてもまだ骨がくっついたわけではありません。
ですから痛みが取れても、2ヶ月程度は無理な体勢を取る時には注意が必要です。
疲労骨折による肋骨骨折は子どもにはほとんど見られず、成人になってから見られ始め、老人に多いといわれています。
これは子どもは骨が成長しているので、骨密度が高く、大人になると、偏った食事をしていると骨密度が低下することによるといわれています。
従って、疲労骨折が多い肋骨骨折を避けるためには、骨粗鬆症(こつそしょうしょう:骨密度が低くなる病気)にならないようにすることです。
それはバランスのよい食事を摂ることが一番です。