肩関節の亜脱臼は普通の脱臼とは違い、完全には関節が外れていない状態のことです。
また一度脱臼した関節を、自然に整復できたり、自分で整復できた状態のことも亜脱臼と呼ばれます。
亜脱臼はレントゲンを撮ってもなかなか判断が難しいものでそのまま分からず放置してしまうと手術なんてことも・・・
亜脱臼になってしまった場合テーピングの応急処置の方法などご紹介していきます。
肩の脱臼と亜脱臼の違いは??
脱臼とは関節に必要以上の負担がかかることで起きますが、関節からどれぐらい骨がずれるかによって症状が違います。
症状は捻挫、脱臼、そして亜脱臼の三つに分けられ、捻挫に関しては関節の位置は正常でも関節包や靭帯、腱板が損傷している状態を指します。
脱臼は捻挫よりも関節包や靭帯がさらに激しく損傷してしまい関節の位置が正常に保てなくなってしまった状態を指します。
肩を例に挙げると、肩は上腕骨を肩甲骨と鎖骨、そして関節包や靭帯、腱板で支えられています。
脱臼はこの関節包と靭帯が損傷することで関節を保てなくなり、上腕骨が外れてしまった状態となります。
これに対して亜脱臼は不完全脱臼ともいい、捻挫よりも炎症が激しいのですが靭帯は脱臼ほど損傷していないために上腕骨がぶら下がっている状態です。
脱臼は関節包外脱臼と関節包内脱臼の2種類があり関節包外脱臼の場合は骨が関節を覆っている靭帯などを破っているため治療に時間がかかります。
関節包内脱臼の場合は骨が関節内に留まっているため、靭帯などの損傷がなくテーピングなどの応急処置などをすることにより比較的早く治癒します。
肩の亜脱臼の症状とは??
亜脱臼の主な症状は運動時の痛みと腫脹、熱感です。
亜脱臼を繰り返すことで周囲の靭帯や腱板に炎症を起こし痛みや腫れ、熱を帯びた状態になります。
亜脱臼は状態によっては関節のずれが少ないために自覚症状がないケースが多く、亜脱臼を繰り返しながら生活している人もいるといわれており、これらの症状が現れたころには関節の炎症がひどくなっている場合が多く、五十肩などになる方はこの亜脱臼を長年にわたって繰り返していた可能性が高いと言われています。
痛みや腫脹といった亜脱臼の主な症状が現れる前には、例えば歩くたびにひざ崩れを起こしてしまったり、動かしたときの強い脱力感を覚えることが多いそうです。
これらが続くと膝蓋骨のお皿になっている骨の一部が何度もこすれることで傷がついたり、ひどいときは骨の一部がはがれてしまうこともあり、テーピングなどの応急処置もあまり効果がない場合があります。
肩の関節に関しては、もともと他の関節よりも安定感がないために軽い亜脱臼を繰り返し、また関節が元に戻るといったことが続いている人も多いようです。
肩の亜脱臼は、テーピング予防する!メリットデメリットは?
亜脱臼の予防をする方法の一つとしてテーピングがあります。
テーピングとは肩や膝など特定の部位に負担がかかりやすいスポーツや力仕事を行う前に怪我をしやすい部位にテープを巻いて関節や筋肉、靭帯の怪我を予防することが目的ですが、捻挫など再発しやすい怪我をした際に、応急処置や再発を防ぐためにテーピングをすることもあります。
テーピングすることで肩などの筋肉や関節の動きをサポートし、患部にかかる負担を分散させることで治療効果を高め早期回復を期待することができます。
また、関節の可動域外の動きを防止することで、怪我の悪化や、それにともなう新たな怪我も防ぐことができるとされています。
ほかにも怪我に対する不安感を取り除くといった精神面をケアする効果もあるという声もあります。
しかしテーピングはあくまでも怪我をした場所に対する補助であり、やり方を間違えてしまうと怪我の悪化や、さらなる怪我をまねくことにもなりかねません。
専門的な知識も必要とされるため、専門家や医師に相談することも考えておきましょう
肩を固定するときのテーピングの種類と貼り方
亜脱臼におけるテーピングのためのテープにはさまざまな種類があります。
例えば「くっつくバンテージ」は巻くだけで手軽に圧迫・固定ができます。
引っ張る力も調整することができ、水にぬれても平気なため患部を氷などで冷やすときも最適です。
「テーピングテープEL」は手で切ることができるため素早い処置が可能です。
薄手の伸縮タイプで、関節など柔軟性のある部位に最適です。
「エラスティックテープ」は伸縮性があり、膝や肩などの動きの大きな関節や筋肉部位などに使用されます。
テーピングで肩を固定する場合、まず、一枚目を背中の肩甲骨の出っ張ったところから、腕の三角筋に沿った形でテープを貼ります。
終わりの位置は三角筋の終わりの位置です。
だいたい力こぶの終わりの位置になります。
このとき端1cmはテープが張り過ぎないようにします。
二枚目は一枚目の終わりの位置から腕の逆側、、身体の前側に貼ります。
終わりの位置は鎖骨の肩側の端くらいです。
こうして三角筋の淵を囲むような形で貼り、さらにこの二枚のテープをつなぐような形で一枚目のテープの背中の終端の内側から貼り始めます。
肩の亜脱臼にはテーピングの他にサポーターもある!
肩の亜脱臼対策にはテーピングのほかにサポーターを使うという方法もあります。
サポーターはテーピングに比べると強い痛みを防ぐことはできませんが、値段が安く付け外しが簡単で、温効果により多少の痛みならば緩和することも出来ます。
メッシュアップショルダーは引き上げるベルトは一本ですが、伸びない素材を使っているため、思いっきり引き上げることが出来ます。
二の腕を通す部分にはマジックテープを使っているため、袖を通す必要がなく着用しやすく、薄手の素材のために手の動きを邪魔しません。
通気性も高くベルトも幅が広く取られているので脇の下を通す部分の締め付けがあまりありません。
これに比べてショルダーレスキューは素材が分厚く、二つのベルトで吊り上げるために下がった肩を吊り上げる能力が高いため、患部をしっかりと安定させることが出来ます。
締め付けたベルトの負担がわきの下にかなりかかってしまいますが、その分安定感も高いため、ガチガチに肩を固めたいという人はこちらを選んだほうがいいでしょう。
肩の亜脱臼の予防法
肩の亜脱臼はテーピングなどでも予防できますが、日常生活にも気を配ることで防ぐことができます。
運動をする際には全身の柔軟体操をしっかりとしましょう。
身体の柔軟性が高いと関節の筋肉も柔らかくなり、その周りにある靭帯なども伸びのある動きが出来るようになり、亜脱臼の予防につながります。
運動時でも踏み込む足を交互に変えて膝の負担を減らすなど関節に無理をさせないように注意することも大事です。
普段の生活では就寝時が重要です。
日ごろ使用している枕が合わない場合、腕を後方にひねったりと変な態勢で寝てしまいやすくなります。
そうすると身体のバランスが悪くなり亜脱臼を起こしやすい状態になるといわれています。
他にも頬杖や片肘、無理な体勢での腕枕などもなるべく無くすようにしましょう。
また右利きだからといって右腕ばかり使用しているといったことも、同じ関節ばかりに負担をかけることになり、関節が外れやすい状態になることもあります。
このようなちょっとした日常動作にも気を配ることで亜脱臼になる可能性を大分減らすことができます。
肩の亜脱臼にはテーピングで予防しよう
肩の亜脱臼などによる痛みはテーピングやサポーターで緩和する方法がありますが、テーピングはあくまで予防、応急処置、再発防止の役割があるだけで、根本的な治療法ではありません。
またテーピングは専門家に巻き方を聞かず、自己流でやってしまうと逆に痛みがでる恐れがあります。
自分でやる場合は注意しつつ、痛みの緩和に役立ててください。