みなさんは、肩を脱臼されたことはありますか?
スポーツ選手が衝突した際に肩を抑えているシーンはテレビなどで見たことがあると思います。
でも「自分はスポーツしないから肩の脱臼なんて大丈夫」と思ってはいけません。
肩の脱臼は激しいスポーツをしている人だけでなく、日常生活の中の意外な場面で起こりえます。
まずは、肩が脱臼してしまう肩関節脱臼とは?
全治するまでどのくらいかかるのか?を調べてみましょう!
全治するまでが気になる肩関節脱臼とは?
よく言われる肩が外れたという怪我・・・いわゆる肩関節脱臼ですが、この肩関節は非常に可動域の大きな部位かつ関節の部分は上腕骨頭という大きな部分の受け皿に対してあまり、小さい肩甲骨の関節窩を筋肉や靭帯で補強するという安定性の低い箇所となっております。
ゆえに強い力が加わると脱臼しやすいと言われています。
まず脱臼をいう症状を説明しますと、関節部の骨と骨の位置がずれて元に戻らなくなってしまった状態の事をさします。
肩関節脱臼の種類として、上腕骨頭と肩甲窩から構成される肩関節の脱臼は「肩関節前方脱臼」「肩関節後方脱臼」「肩関節下方脱臼」「肩関節脱臼上方脱臼」などがあります。
これらは、手を思い切り引っ張られる、転倒時に腕を付く、腕を挙げた状態で後ろに引っ張られる等、肩関節に対する強い衝撃が加わった時に起こります。
もう一つ肩関節を構成する関節として、肩甲骨と鎖骨から構成される「肩鎖関節」があります。
これが外れた場合は「肩鎖関節脱臼」と呼ばれます。
どの脱臼をしても全治までは結構な時間(最低2週間以上は固定)がかかりますので気をつけて生活していきたいですね。
全治するまでが気になる肩関節脱臼の原因と症状
日常生活においても、たとえ運動で激しい動きをしている時のみならず、ふとした普段の動作で肩関節が脱臼してしまう可能性は決して低くありません。
例えば外を歩いていてつまづいた・・・その時とっさの防御反応で手を付かざるをえないと思います。
この行動も肩関節の脱臼の大きな原因となります。
このときの衝撃が肩に最も力が伝わりやすく、限界を超えてしまったときに脱臼が起こりえます。
これで起きるのが、いわゆる「肩関節前方脱臼」です。
脱臼してしまいますと、大きな音(実際聞こえます)と共に肩関節がおかしな方向に固定されてまったく動かなくなります。
この際に肩周辺の靭帯、関節包も損傷されているために激しい疼痛と腫れを伴いますが、きちんとお医者様に整復していただくと痛みはすぐに治まります。
ですが、負傷の際に周囲の靭帯が伸びてしまっているためギプスや三角巾での固定が必要となります。
全治には3~4週間必要といわれています。
痛みがひどい場合、収まらない場合は鎮痛剤を処方される場合もあります。
全治するまでが気になる肩関節脱臼の治療方法
整復・・・脱臼した関節を戻す方法の事であり、これには様々な方法がありますが、現在は患者様の負担が大きいので一気に戻す方法はあまり使われず、時間をかけてゆっくり戻していってあげる方法が主流となっております。
よく使われている方法は、Stimson法(スティムソン法)と呼ばれるベッドに腹ばいになった患者様の手首に重りをつけて引っ張る方法、挙上整復法と呼ばれる患者を仰向けに寝かせて腕を引っ張りながら徐々に挙上させていく方法などがあります。
しかし「下方脱臼」だけは整復方法が他と異なりまして、腕を最大限挙上した位置で上に引っ張って治します。
しかしこの整復法でも上手くいかない患者様もおられ、その場合は全身麻酔もしくは手術が必要となります。
整復後はレントゲンでチェックし骨折を伴っている部分のズレが大きいままの場合も手術となります。
手術が要らない場合は三角巾で固定(この場合は全治3週間~)となります。
その後は徐々に運動機能を取り戻す事となりますが、脱臼を起こした方向への動きはまだしばらく(大体6~8週)制限される事になります。
また脱臼時に損傷した関節包が戻らない場合は、繰り返し脱臼をする反復性肩関節脱臼と呼ばれる状態と呼ばれ手術する以外治す手段はなくなります。
また脱臼してから3週間を過ぎると整復に手術が必要となる事が増えますので、早めにお医者様に診ていただく事が肝心です。
肩関節脱臼が全治するまでどのくらい?
「肩脱臼」と言っても重症であるとイメージする人はそう多くないのじゃないでしょうか?
脱臼は関節部を正常に戻してあげるだけでも、2週間も安静にすれば普段の動きが可能になったりもしますので、この時はまだ内部は完治している状態とは言えないのですがその事をつい忘れがちになってしまいます。
関節は人間が活動している限り、常に負荷がかかる箇所です。
安静にする期間は2週間から1ヶ月程度とよく言われますが、実際は半年くらい期間をおいてもいいくらいなのです。
実際の関節の修復は非常に遅いです。(全治は骨折よりも遅いのです)
よく「脱臼が癖になった」といった話を耳にすると思いますが、それが完治していない何よりの証拠・・・安静にしている期間が足りていない事を物語っています。
お医者様も完治していないのは承知しているのですが、実際問題なく生活していく上で半年も腕を固定するのは支障がでますので、ある程度安定する数週間でやめてしまうというのが現状なのです。
ですので治療が終っても脱臼の癖をつけないためにもしばらくの間(半年~10ヶ月)は安静にし、脱臼した部分は酷使しないように心がけてください。
また素人判断では損傷の程度も分かりませんし、脱臼癖をつける原因にもなります。
まずは病院に行ってお医者様に診ていただく事が肝心です。
全治するまでが気になる肩関節脱臼のリハビリ方法
肩関節を脱臼された患者様は、再び同じ箇所を脱臼される確率が非常に高くなっています。
ですので再脱臼を防止するためにはリハビリがとても重要です。
肩関節脱臼のリハビリは、まず肩関節を補強しているいわゆるインナーマッスルでありローテーターカフと呼ばれる棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋からなる筋肉群の強化が必須です。
ちなみにこれらローテーターカフの筋肉の損傷が腱板損傷と呼ばれる怪我です。
また、肩関節脱臼の再発防止には肩に負荷がかかった際に機能させる必要があるため、神経系のトレーニングも必要となります。
トレーニングは受傷直後は肩に影響のない範囲で手首や指の軽い運動から始めます。
1週間を過ぎたあたりから肩を軽く動かし始め、3週間後には肩関節を直角まであげる程度のトレーニングに移行します。
その際疼痛がなければ筋力トレーニングも開始します。
方法はゴムチューブを使う、タオルを引っ張るなど負荷があまりかからない運動にしてください。
肩周りの筋力を取り戻す事は脱臼の再発防止のための重要なトレーニングとなります。
全治まではまだまだ時間がかかりますが、その後も適度な運動を続けて行く事が重要です。
肩関節脱臼予防の為のトレーニング方法
柔道整復師が肩脱臼のリハビリの際、実際に行っているチューブを使用したトレーニング紹介していきたいと思います。
まずはスポーツ用品店などに売られていますトレーニング用のゴムチューブをご用意ください。
店員さんにトレーニング用のゴムチューブと言えば通じると思います。
トレーニングの手法は、まず肩幅くらいの長さのゴムチューブを脇をしめた状態で持ち、ゆっくり両手で伸ばしてゆっくり戻す動きを行います。
できれば20セットが基本ですが無理の無い範囲で行ってください。
もう一つは柱にゴムを引っ掛けて脱臼した肩の方でゴムを持ち、脇をしめて今度は体の内側にゴムを引っ張ってください。
これらの動作をされるときは、肘から上をしっかり脇につけて肘から下の部分で引っ張るようにしてください。
これらの動作は「肩関節を覆っているローテーターカフと呼ばれるインナーマッスルを鍛えている」という事に意味があります。
この目的をしっかり意識してトレーニングしてください。
この運動はできれば20セット行って欲しいです。
最初のうちは10回あたりで音を上げる患者さんが多いです、
普段と違った感覚の運動ですのでしんどいかもしれませんが頑張ってください。
全治までまだまだ時間はかかりますが、キツくても脇はしっかりしめてくださいね。
肩関節脱臼予防の為にできることをしよう!
私も普段何気なく生活している中で、肩をあげてヒヤッとしたことがあります。
肩を一度脱臼してしまうと、ちょっとした衝撃で脱臼を繰り返してしまう可能性が非常に高くなってしまいます。
そして肩を脱臼してしまうと全治までに時間がかかることがあります。
日頃から予防のトレーニングやストレッチを取り入れて怪我を予防しましょう!
継続は力なりです!