肩をぶつけた覚えがないのに、ずっと違和感や鈍痛があるといった経験ありますか?もしかしたら、肩が亜脱臼しているかもしれませんよ。亜脱臼に気付かず放置していて、痛みが引かないからと病院へいったら、亜脱臼していますと言われ、やっと気づくこともあります。その時には、もう肩周りの組織が固まり手遅れになってしまうとも言われます。
そこで、今回は肩の亜脱臼について、症状や原因、予防法などを分かりやすく紹介していきます。
肩の亜脱臼とはどんな状態?
亜脱臼に気付かず放置していませんか?
亜脱臼と聞いても、よく聞く関節の脱臼との違いがわからない、という方は多いのではないでしょうか。
亜脱臼とは、簡単にいうと不完全な脱臼のことです。そもそも、関節から骨がずれる状態によって、捻挫、亜脱臼、脱臼に分けられます。
そして、肩を支えている「上腕骨」と言われる骨をさらに支えるために、関節包や骨を支える腱版、靭帯などがあります。
捻挫は、それらが何らかの炎症を起こしている状態です。しかし、関節は依然として正常な位置に保たれています。
他方脱臼は、関節包や靭帯の炎症や傷ついた状態が激しく、靭帯や関節包が関節を正常な位置に保つことが一切できなくなった為に上腕骨が完全に外れてしまった状態を言います。
そして亜脱臼は、捻挫よりも炎症の程度はひどいものの、靭帯などの劣化の度合いが脱臼ほどではなく、その結果、上腕骨がいまだ自力でぶら下がり、また関節は正常な位置から外れているものの、靭帯とはかろうじてつながっている状態、をいいます。
この亜脱臼は肩だけに起こる症状ではなく、ひざや他の関節でも起こるものです。
放置されやすい肩の亜脱臼の症状とは
亜脱臼の症状の特徴は、自覚症状がないことです。
特に肩の亜脱臼の場合、状態によっては関節のずれが少ないため、関節を動かすたびに違和感を感じる程度です。
そのため、何度も亜脱臼を繰り返しつつ、それに気が付かず放置して生活しているケースもあります。
気が付かなかったため、自覚症状がはっきりと出た段階では、すでに関節の炎症が悪化しているケースが多くなっています。
肩関節周囲炎、五十肩に悩まされている人の多くが、亜脱臼を長年繰り返しつつ生活していた可能性が高いといわれています。
亜脱臼の自覚症状として、関節を動かした時に肩がだるいような感じを受けることが挙げられます。
また、運動時に痛んだり、むくみや熱を感じる場合があります。
亜脱臼に気が付かずそのまま放置をし、亜脱臼を繰り返してしまうことになると、肩関節周囲の靭帯や腱版が炎症を起こすようになります。
その結果、痛みや腫れ、熱を帯びた状態になる事があります。痛みが強くなり、肩を動かすのもためらうほどにまで悪化するケースもあります。
放置されやすい肩の亜脱臼の原因は?
肩の亜脱臼の原因として挙げられる1つ目が、スポーツです。
継続的にスポーツを行っている場合、運動により関節が急な衝撃を受ける結果、幾度も亜脱臼を繰り返している状態になります。
特に、腕を後方にひねったような状態で回す、という動作が多いスポーツでは、亜脱臼を起こしやすいといわれています。
原因の2つ目は、事故の外傷によるものです。
肩関節の亜脱臼では、歩行中の転倒や急な事故で肩から腕を打ちつけ、この衝撃が亜脱臼を引き起こす原因となるといわれています。
特に、体の横側から背中にかけて強い衝撃を受けた場合に、より起こりやすいといわれています。
3つ目は、生まれつきの関節のゆるみに起因するものです。
一般的に、関節は弾性よりも女性の方が柔らかいといわれます。
そして、関節の柔らかさには個人差があります。生まれつき関節が緩い人は少しの刺激で関節がずれやすく、亜脱臼のような状態になりやすい人もいます。
肩の関節の発育不全によるものや、肩の関節の骨である鎖骨や上腕骨などを支える靭帯や腱板が緩いことが、関節が緩い要因となっています。
この場合、少しの衝撃が加わっただけでも簡単に亜脱臼を起こしてしまいます。
気づかずに放置してしまっている女性は多いかもしれません。
肩の亜脱臼の検査と治療方法
実は放置してしまっていて肩関節や膝蓋骨について亜脱臼の疑いがある方は、整形外科への受診をお勧めします。
検査として一般的に行われるのが、レントゲン撮影です。
患部をレントゲン撮影する事により、関節の状態を詳しく見る事が出来るのです。
亜脱臼の治療方法の1つ目は、自然治癒力の利用です。骨が完全に関節から外れている状態ではないため、骨を外部から本来あるべき位置に戻し、そのまま患部を固定して、自然修復を待ちます。
もっとも、この場合でも必ず医師の手によることが大切です。自力での治療は余計に骨の状態を悪化させてしまう危険性もありますので、必ず医療機関を受診しましょう。
そして、肩関節脱臼の場合には、できるだけ早い段階で関節を元に戻すことが必要です。特に、スポーツの現場では、その場で整復を試みることも多いのです。
脱臼の整復方法は以下のようなさまざまなものがあります。
まずは、仰向けにリラックスした状態で寝かせ、1人が二の腕の付け根を抑え、もう一人が腕を上方に引っ張り上げるゼロポジション拳上法や、ベット上でうつぶせに寝かせ、腕を下に垂らした状態で錘の負荷をかけ、肩関節周囲の筋肉群の緊張が解くスティムソン法があります。
これらの方法でも治らない場合には、入院、手術が必要となるといわれています。
肩の亜脱臼の予防法はあるの?
放置せずに肩の亜脱臼を予防していく方法の1つ目は、運動前の念入りな柔軟体操です。
柔軟により、筋肉や関節を支える靭帯も柔らかくなり、関節の動きに合わせて伸びのある動きが出来る様になり、結果として亜脱臼を予防します。
2つ目は、日常生活における動作を改めることです。具体的には、日常使用している枕があっておらず、腕を後方にひねった状態のまま就寝していたりすると、肩関節が亜脱臼を起こしやすいと言われています。
また、利き手ばかり使用していたりと、同じ関節ばかりに負担がかかるような動作をする事で関節が外れやすくなります。
日常生活で可動している関節を意識し、これに無理な負担がかからない様に注意をする事が大切です。
さらに、膝や肩に痛みはないものの、何となくの安定さを感じている方は、サポーターなどを活用し、無理な動きをなくすことが有益です。
さらに、スポーツにおける他者との接触や、無理な負担がかかる動作には極力ご自身で気を付けていくことも、肩の亜脱臼を予防するためには非常に大切になってきます。
肩の亜脱臼を治療したら、サポーターを使って再発予防
一度でも肩を脱臼した経験のある方は、再度脱臼するのではないかと心配になりますよね。その際には、サポーターの着用がおススメです。
肩サポーターにはいくつか種類がありますが、大別すると、固定するもの、温めるもの、冷やすもの、の3種に分かれます。
その中でも最も使い勝手の良いものは、肩を固定しながら温めることのできるタイプです。全体を覆いながら軽く圧迫を加えると同時に、保温効果もあるため、血行促進に効果的です。
メーカーによっても、使用感などが色々と違います。そのため、まずは一度きちんと着用をして、使い勝手や実際にご自身の身体に合うものかどうかをしっかりと確認しましょう。きちんと体に合ったサポーターを利用することが大切ですし、合わなければ何の意味もありません。
さらに、長時間のサポーター装着は、圧迫などにより皮膚障害や血行障害を引き起こす恐れがあります。それを防止するためにも、適宜装着をし直しましょう。
また、使用中に痛みや痺れなど異変が生じた場合は、すぐに使用を中止し、放置せずに医師に相談を行ってください。
妊娠中や妊娠していると思われる時も、必ず医師に相談するようにしてください
肩に違和感があれば、一回は病院で検査を
肩の違和感は人それぞれ違います。亜脱臼していても、たいして痛みを感じない人もいれば、腕がもげてしまうような激痛を感じる人もいます。痛みが強ければ、誰でも早急に病院へ行くと思いますが、何か肩の様子がおかしいなと感じても病院で検査を受けたほうが良いでしょう。亜脱臼かどうか自己判断は危険ですが、この記事が少しでも病院へ行くための目安になればと思います。