腕を大きく回したりしたときに肩の関節がポキポキとなることは良くありますよね。音が鳴ること自体はそれほど体に影響はないかもしれません。しかし、鳴らさないと気が済まなくなり、無理に鳴らそうとすると危険です。それぞれの関節は可動域が決まっています。関節を痛めないためにも極力鳴らさないようにしたいですね。
肩関節のポキポキの音は何?
最近の研究で、肩の関節からポキポキと音が鳴る理由が判明しました。
骨と骨の間のにある関節液が気体になり、破裂する音が正体であるというのです。
例えるなら、未開封の炭酸飲料水が入ったペットボトル内の圧力が、開封する瞬間に一気に下がり音が鳴る現象のようなものです。
肩を回すと、関節にかかる圧力は変化します。そのとき、関節液からは気体が発生しているのですが、さらに肩を回すなど関節を動かすことで圧力が変化し、気体が弾けます。このときにポキッという音が鳴る仕組みです。
このポキポキという音、あまり鳴らしていると体に良くないと研究者は指摘します。関節液に生じた気体が破裂することは大して影響しないものの、気体が弾けるときに衝撃波が生まれ、軟骨や靭帯といった組織を傷つけてしまう恐れがあるのだとか。
衝撃波の力は1トン近くになるとされ、関節の組織や靭帯が伸びてしまう危険性もあります。
指をポキポキ鳴らしていたせいで指が太くなったり、形が変形したりした経験を持つ人もいるのではないでしょうか。同様の影響が肩の関節にも起こりうるので、ポキポキと音を鳴らす行為を繰り返していては身体に悪影響があるかもしれません。
肩関節がポキポキがなる原因
ある先生が関節に関するある相談をいただきました。
その相談内容は「腕を回したときにポキポキと音が鳴ります。骨が悪いのでしょうか?」というものです。
先生の答えとしては、①関節が噛み合っていないから、②油切れしているから、の2つです。
腕から音が鳴る場合、鎖骨が正しい形で動いていないせいで腕の骨と鎖骨がぶつかり音を立ててしまっていることがほとんどです。
鎖骨の動きを改善して、肩甲骨が綺麗に動くようになれば音は鳴らなくなりますよ。
では、どうすれば鎖骨の動きが良くなるのかについて説明しましょう。とっても簡単なことです。
まず、深呼吸などをして力を抜き、筋肉がリラックスした状態にします。
この時、肩甲骨周辺の筋肉だけでなく全身の筋肉を緩めるようにすると効果的です。
たったこれだけで鎖骨の動きがよくなって、腕を回してもポキポキ音が鳴らなくなるので、音にお悩みの方は試してみてください。
更にアドバイスをするなら、筋肉が緊張しない範囲で腕を回すようにすると症状が改善しやすくなりますよ。
肩に限らず関節ポキポキ鳴らすのはダメ?
鍼灸師の方のご意見です。
鍼灸師という仕事柄、よく「骨を鳴らしてもいいのですか?」という質問を患者さんからされます。
結論から言うと、バキボキ鳴らしても問題はありません。
音が鳴ること自体はごく自然な現象なので、軽く体を動かしただけでバキボキいうのは大丈夫です。
しかし、あまりに勢いよくやってしまうと関節に負担がかかって良くないため、注意していただきたいところです。
専門家でもない限り、構造を無視した動きを繰り返すと関節を痛めてしまいます。
繰り返しますが、自然に鳴った音に関しては心配しなくてもいいです。ボキボキやると気持ちがいいから、ついついやってしまうという人がいらっしゃいます。これは、普段は動いていない関節が動いて、ストレッチしたのと同じ効果があるため気持ちよく感じるのですね。また、「指をボキボキやっていると太くなってしまうのでは?」との質問を受けたこともあります。
私自身もよく全身や指の関節を鳴らしてしまうのですが、実際に指の関節が太くなっているので毎日音を鳴らしているという人は注意が必要かもしれません。
なぜ太くなるのかというと、人間の体は刺激を受け続けると変化するようにできているからです。筋トレをしたら、筋肉が太くなるのがいい例です。指が太くなるのが嫌だという方は、なるべく音を鳴らさないようにしてください。
関節のポキポキは癖になる
ポキポキ音を鳴らすのが癖になってしまうのは、なぜなのでしょうか?
諸説ありますが、「ストレッチ効果がある」というのが1つの答えではないでしょうか。私たちの肉体は、酷使すると疲労物質が溜まって筋や靭帯が硬くなってしまいます。その状態でストレッチをすると、関節が強い力によって引き伸ばされて血流が改善し柔軟性を取り戻すことができます。
この時にボキッという音が鳴ると、脳に「音が鳴ったときにストレッチ効果が得られる」とフィードバックされます。
これが快感となり、音を鳴らすのが段々と癖になってしまう訳です。
音の正体は、関節の中の液体に生じた気泡が弾けるキャビテーション現象によるものです。
この現象は関節の軟骨を破壊するのですが、軟骨に神経や血管がないために痛みを伴うことがありません。そのため、体の中では音を鳴らすたびに関節内部の組織が破壊されているのに、快感のフィードバックにより止めることができません。
これは非常に危険な状態なのですので、音を鳴らすのはなるべく止めましょう。
癖つくと簡単に関節がポキポキ鳴るようになる
音を鳴らすのが癖になると、初めは関節を大きく動かしたときにしか鳴らなかったのに、次第に少し関節を動かしただけでもポキポキと鳴ってしまうようになります。
これは関節にガタが生じている状態で、関節を支える靭帯が強いストレッチを何度も受けたことによって伸びきってしまっているのです。
ガタガタになった関節は、内部で陰圧が生じやすくなり少し動かしただけでもキャビテーションが起きてしまいます。
皆さんは、ビートたけしさんが首を左右に動かしているのをご存知でしょうか。
関節でルーズニングが起きているために、頚部が安定しない状態になっているのです。
もしかしたら、皆さんの周囲にもこのような人がいるかもしれませんよ。
ポキポキ音を鳴らす癖がある人がいたら、よく観察してみてください。
落ち着きのない状態であれば、その人は相当進行していていずれは脊髄損傷になる可能性があります。
音を鳴らす癖はすぐに止めるようアドバイスをしてあげてください。
音を鳴らさなくても同じ効果は得られます
関節をポキポキと鳴らす癖を治したいとお考えですか?
ならば、その癖を止める決意をすることが必要です。
症状にもよりますが、軽ければ2週間程度で治まるのでその間は我慢しなくてはなりません。しかし、症状がひどくルーズニングしている方はまず安定させることから始めます。症状を改善するのに必要なのは荷重です。
指であれば、ゴムボールを30回ずつ音が鳴らないようにゆっくり握ります。
首の場合は、歩くことで重力と足からの突き上げる力が頚部のルーズニングを少しずつ解消します。
音を鳴らしたい衝動に駆られたときは、ゆっくりと関節を伸ばしてみてください。このとき、音は鳴らさないこと。
ストレッチ効果があるので、関節を破壊せずに欲求が満たされるはず。
快感が得られるのはあくまでもストレッチの効果であって、音が鳴るのは関節内で破壊が行われている証拠であることを忘れないでください!
このことを理解できたなら、もうあなたはポキポキ音を鳴らしたいとは思えなくなることでしょう。
癖を無くすのはあなた次第です
癖というのは、何度も繰り返すうちに無意識に行うようになってしまった動作です。癖を改善するには正しい音の鳴らない動作を意識的に繰り返し体に覚え込ませる必要があります。自然とポキポキ鳴ってしまうのは仕方がないとしても、自分自身で鳴らすのはなくしていきましょう。年を取って後悔する羽目になるかもしれませんからね。