肺のレントゲンでは様々な病気を見つけることができます。
レントゲンを撮って肺にもやもやが写ると、まず思い浮かぶのが肺癌ですよね。
しかし、肺の病気はたくさんありますし、肺癌とは限りません。
肺にもやが写る場合に考えられる病気は何があるのでしょうか?
また、非喫煙者や女性に多い肺癌があるって知っていましたか?
今回は、肺の病気と肺癌についてご紹介していきたいと思います。
レントゲンで肺にもやもやが・・考えられる病気とは
肺癌、肺炎、肺気腫、肺結核、気胸など肺に関する疾患は様々あります。
レントゲンに写る白いもやもやはこうした疾患の兆候を示しているだけでなく、心臓病や心肥大など、心臓に関する疾患の発見についても役立つといわれています。
一度でもレントゲンを撮ったことのある方は覚えていますでしょうか。
あなたの肺はどのように写っていましたか?
本来、正常な肺であれば、胸部X線検査で黒く写ります。
しかし、肺などに異常が見られると、白っぽく影が写るのです。
そして、さらにその白い影が円形に写っていた場合、肺癌の可能性が高いといわれています。
また、輪郭のはっきりしないもやもや雲のように白く写る影であった場合、こちらも重大な疾患である肺結核の可能性が出てきます。
いずれにせよ、白いもやもやが見られるとそれは身体に大きな異常が見られるということになるのです。
もしも、あなたが胸部X線検査で肺に影があるといわれた場合、これらのような深刻な病気にかかっている可能性があります。
ですが、X線では疾患のはっきりとした断定はできません。
おそらくはもっと精密なデータが取れるCT検査などによって、疾患の正体を見極めることになるでしょう。
肺のレントゲンにもやもやの写り方によって病気が違う
レントゲンに写る肺のもやもやが重大な病気の兆候を示している、とここまでお話しました。
実は、その写り方によって何の病気にかかっているかを大別することが出来ます。
肺の輪郭がはっきりしないもやもやの場合
・肺結核
・肺炎球菌肺炎
・マイコプラズマ肺炎
肺の輪郭がはっきりとした状態でもやもやが写る場合
・肺癌(とりわけ、腺癌と呼ばれる)
・転移性肺腫瘍(他の臓器から肺に転移した癌)
・肺血腫(肺癌とよく似ているため判別が難しい)
肺に大きく広がっている場合
・特発性肺線維症
・じん肺
・肺胞蛋白症
・肺好酸球性肉芽腫症(喫煙者に多く見られます)
肺の周囲に大きく写る黒い影の場合
・肺気腫
・リンパ脈背筋腫症(女性に多く見られます)
肺が腫れているように見える場合
・サルコイドーシス
・結核性リンパ節炎
・縦隔腫瘍(比較的、良性の場合が多い)
その他
・非結核性抗酸菌症
・悪性リンパ腫
同時にリンパ線にしこりなどが見られる場合は、気管支内視鏡検査やCT検査などの詳細な検査が必要になります。
非喫煙者でもかかるレントゲンでもやもやと見える肺癌がある?!
喫煙によって肺がんになるリスクが高まる、という話はほとんど誰しもが聞いたことがあるでしょう。
ですが、現在喫煙者の割合が減少している一方で、肺癌の発生率は高くなっていることをご存知でしょうか。
そこにはあるからくりが隠されているのです。
肺癌、と一概に言っても実は肺のどの部分が癌に冒されているかによっての分類があります。
そして、一般的に肺癌と言われる場合、その大半は肺腺癌と呼ばれる喫煙との因果関係の薄い部位の癌なのです。
この肺腺癌は女性ホルモンとの関係が高いとされており、男性よりも女性の方がかかりやすく、それ故に喫煙者は減っているというのに肺癌発生率が高まっているのです。
自分は喫煙をしていないから肺癌にはならないと安心している方も、もしかしたらレントゲンに写る肺に白いもやもやが見られる可能性も十分あるのです。
肺癌には気管支の末梢部分に発症する末梢型肺癌、末梢肺野と呼ばれる肺野型肺癌があり、そのどちらもが先に述べた肺腺癌です。
その特徴としては初期症状でほとんど自覚がなく、進行の速度が速い、その上、他に転移しやすいため、非常に恐ろしい病気です。
非喫煙者や女性に多い肺腺癌の症状
では、初期症状での自覚が難しい肺腺癌はどのように発見すればよいのでしょうか。
早期発見のケースで言いますと、患者が身体の不調から自発的に検診に行き発見する場合よりも、定期的な癌検診、健康診断などで偶然発見する場合が多いようです。
癌の進行が進むに連れ、空咳や血痰、ぜいぜい、ひゅうひゅうという呼吸音になる喘鳴、肺の痛みなど、患者が自覚できる症状が現れてきます。
また、水面下では胸に水がたまるケースも多く見られ、更に進行が進むと、他の部位への転移が起き、身体に激しい痛みや酷いだるさを感じるようになります。
その進行は神経にまで及び、節々の痛みやしびれ、身体の末端のむくみなど、日常生活を送ることが困難なレベルの症状が現れてきます。
このように、肺腺癌は初期症状では発見しにくい上、身体に異常が見られたときにはすでに深刻なレベルにまで病状が進行しているという危険な病気なのです。
レントゲンに写る肺の周囲の白いもやもやは重大な疾患を示す恐ろしいものでもありますが、それと同時にそれを伝える重要なサインでもあります。
身体に不調を感じなくても定期的に検診や健康診断を受け、身体が発している見えないSOSを見落とさないようにしましょう。
肺腺癌の治療
肺腺癌の治療には様々な種類があります。
癌検診や健康診断で、レントゲンに肺のもやもやが見られるなどして癌を早期発見できた場合、手術にて癌を除去できると診断されると手術療法が行われます。
癌の進行具合によって、肺の一部を取り除くか、片方の肺を全摘するかに分かれます。
また、術後は再発防止のために、後述する化学療法や放射線療法を行う場合があります。
術後に行われる放射線療法は癌細胞の成長を阻止するためのものですが、ときには放射線によって癌細胞そのものを死滅させるために使われることもあります。
放射線療法には、体外から癌に照射を行う体外照射と、カテーテルのような細い管を通して内部に照射する体内照射、二種類の方法があります。
化学療法はよく知られる抗癌剤を用いた治療法で、こちらも放射線療法と同様に癌細胞を抑える目的と癌細胞そのものを死滅させる目的とに、場合によって使い分けられます。
特殊なレーザー光線によって癌細胞を死滅させるレーザー光線療法は、場合によって、癌細胞に集まりやすく光線に反応しやすい薬剤を注射した上で照射する光線力学的治療と使い分けられます。
他にも、分子標的薬を用いた標的療法、電流で熱した針などを用いて癌細胞を死滅させる電気焼灼術、癌細胞を凍結させることで死滅させる凍結療法などがあり、こうした治療は前述した療法を受けられない患者を対象に行われるようです。
肺癌にかからないようにする予防策
治療法が様々あるとはいえ、肺癌に対する一番の対処法はあらかじめ罹患しないよう予防しておくことと言えるでしょう。
レントゲンに写る肺の周囲のもやもやは重要なSOSではありますが、見ないで済む分には越したことはありません。
肺腺癌と喫煙との間の因果関係は薄いと前述しましたが、肺癌の大半が肺腺癌とはいえ、その全てではないことも確かです。
肺癌の中でも小細胞癌と呼ばれるものと喫煙の因果関係は高いと言われており、喫煙を控えるということも予防策の一つになることは間違いありません。
また、肺癌の予防には食生活も影響します。
抗酸化作用を持つ食材が肺癌予防に役立つと言われており、代表的なものとしてはカロテノイドと呼ばれる色素の一群が、とりわけ肺癌予防に良いと言われています。
カロテノイドは人参、トマト、かぼちゃ、ブロッコリー、ほうれん草などの緑黄色野菜、パパイヤやオレンジなどの果物に多く含まれています。
このカロテノイドは脂質との相性が良いことで有名で、カロテノイドの吸収が良くなる他、脂質の酸化自体も防がれ、動脈硬化や糖尿病など、肺癌以外の重大疾病を予防してくれるという相乗効果を発揮するのです。
食事メニューに気を使う際は、こうした取り合わせも考えると良いでしょう。
自覚症状がある方は早めの受診を!
いかがでしたか?
肺は人間が生きていく上で、とても重要な臓器ですよね。
肺に違和感を感じている方、一度病院で診てもらうことをオススメします。
定期的に健診を受けると安心できますね。
また、喫煙をしていない方でも肺癌にかかる可能性があるようなので、自覚症状があまりなくても一度検査してもらうのもいいかもしれませんね。