脈拍が正常値より多くても少なくても正常ではないと認識されてしまいます。脈拍が少なくても体に不調をほとんど感じない方もいるようです。今回は脈拍の正常値からお話しを広げていきたいと思います。
正常値より少ない脈拍とは
脈を測るということは、心臓や血管がどんな様子なのかが素人でもある程度判断出来るため、自分が病気などにかかっていないかを知る際にはとても役に立ちます。
測定する時は必ず安静にしている時にしましょう。
激しい運動をした直後などは、正確な数値が出ないことがあるので避けて下さい。
大人の平均値は1分間に大体60~80回となっていて、女性の方が少しだけ回数が多くなる傾向があるようです。
生まれたばかりの赤ちゃんは三桁を超えますが、年を取るごとにこの回数は減っていきます。とはいえ普通の人でも100回くらいなら十分誤差の範囲内になるようです。これ以上多くなると「頻脈」となり、逆に少なすぎると「徐脈」になります。どちらも不整脈に含まれますが、こうなってしまう理由は病気以外にもストレスや疲れを溜め込んだり、睡眠が足りていない場合にも起こりやすくなると言われています。そのため、特に持病に心当たりがないとしても、注意はしておくに越したことはありませんよ。
脈拍が正常値より少ないと疑われる病気
脈拍数が異様に少ない「徐脈」と呼ばれる状態は、不整脈のひとつとされています。そのほとんどは心臓の病から発生することが多く、大きく分けると3つの病気が挙げられます。
今回はこれらについてそれぞれ詳しくご説明しましょう。
1.心筋梗塞
心臓を形作っている筋肉にまったく血が送られなくなり、細胞が死んでしまうことです。強い胸の痛みを感じたり、呼吸がしにくくなったり、吐き気をもよおしたりします。
2.狭心症
心臓へ酸素を届ける冠動脈という部分が、固まったり縮んだりすることで一時的に血が足りなくなり、貧血と同じ症状に陥ることで、胸の辺りに強い痛みや何かに押さえつけられているような感覚を覚えます。
3.心不全
心臓が上手く働かなくなり、必要な量の血液を全身に巡らせることが出来なくなります。分類では病気扱いですが、こうなって亡くなる人は多いため、命を落とす原因となった病名がはっきりと分からない場合に便宜上この名前が使われることがよくあります。
スポーツ心臓は脈拍が正常値より少ない
徐脈は一般的に、身体に良くない症状と言われています。
しかしスポーツ選手のように日頃から身体を鍛えている人の心臓は、普通の人よりも脈を打つ回数が非常に少なくなることが珍しくありません。
これは一度に体内に取り込む酸素の量が多いため、常に安定した回数を刻むように心臓が強くなっているからなのです。
普通は、長期間の運動を続けていると、この数は100を軽くオーバーします。ですがプロのアスリートなど、頻繁に身体を動かすことに慣れている人だと激しい運動の最中でも100以下の数値を維持出来るのです。
このような心臓の持ち主は、特にマラソン選手に多く見られます。長距離走が得意な人は、トレーニングの真っ最中でも70前後を保ったままでいられることが多いようです。
もちろん身体を休めている時や、日常生活を送っている時は、この数値を更に下回ります。なのでこういった人達に限られますが、徐脈であっても絶対に不健康であるということにはなりません。何事にも例外というものは存在するのです。
脈拍が正常値か自分で測ってみましょう
脈の測り方にもきちんとしたやり方というものがあります。今回はそれをお教えします。大抵の場合、一番触れやすい手首の脈を取ることが多いでしょう。
でも見つけられなくて困った経験はありませんか?実は簡単に探せる方法があるんですよ。コツは次の通りです。
・手首の内側の、親指の付け根に当たる部分を触る
・一本指ではなく「人差し指」「中指」「薬指」の三本を使う
・指先ではなく腹を使う(指先の皮は厚いので、触っても分かりにくいのです)
測定時間は身体の状態が安定している、朝起きてすぐが最適です。測る時には深呼吸を忘れずに。でも一番は「意識しすぎず落ち着く」ことです。何か食べたり運動をした後は正確な数値が出ないので、しばらく経ってからにして下さい。
基本は1分間の回数を測りますが、時間がない時は20秒にまで短縮し、それを3倍するといいですよ。ただ不整脈を患っている人は正しい結果にならないことがあるので気を付けて下さいね。
特に不調を感じなくても一度精密検査をしましょう
心臓は基本的に、1分間に60~70回ほどのリズムで動いていますが、これが乱れると「不整脈」と呼ばれる状態に陥ります。ですが必ずしも病気の時になるものではなく、健康な人でもたまに見られるようです。症状によっては放っておいても大丈夫だったりします。心臓には決まった拍子を刻む信号を作り出す部分があり、そこから正しい信号を発することで、心臓が働くようになっています。この仕組みが正常に作動しないと不整脈が起こるのです。
不整脈になっている人の半分ほどは心臓に何らかの異常を抱えています。しかし残りの半分はそのような病気はありません。このようなケースは睡眠不足を始め、疲れやストレスが溜まっていたり、お酒をたくさん飲んでいたりする場合です。
特にアルコールが原因なのは50歳以下の男性に多いですね。一方で、女性によく見られる「パニック・ディスオーダー」はストレス性の不整脈ではと言われています。具体的な症状は色々ありますが、病院へ行くべきなのは次の3つです。
1.1分間に10回以上は脈が跳ぶ
2.何もしていないのに脈拍が速まり、体調が悪くなる
3.脈を打つリズムがバラバラである
このどれかに当てはまるようなら、医者に診てもらうことをおすすめします。
【マメ知識】心拍数と寿命の関係
名古屋大学の医学部に所属している林先生は「心拍数と寿命」について調べています。
よく小動物は心拍が速い分長生きせず、大型の動物はゆっくりしているが寿命も長いと言われていますが、どうやらこの考えは人間にも当てはまるようです。
人間が死ぬまでに刻む心臓のリズムは15~20億回とされており、体重が増えるほど減っていくので、これを上手く利用すれば寿命が延びるのではと先生は考えています。とはいえ「重い=肥満」ではありません。
長く生きるには健康であることが必要不可欠です。
大体80歳近くまで生きるなら、男性は「煙草の数」「血圧」「肺活量」が深く関わってくるそうですが、女性は何故か両親が長生きであることが大事という結果が出ています。どうしてなのかは不明だそうです。
またアメリカでの研究には、75歳以上の人はそれ未満の人と比べると血圧が低く、心拍数も12拍ほど少ないという記録がありました。
さて気になる心拍数の減らし方ですが、おすすめは有酸素運動が一番のようです。自分が出来る運動量のうち、50~75%ほどの力を発揮して動いた時の心拍数を目標値に定めましょう。
目安は、ジョギングならお喋りする余裕があるくらいがちょうどいいですね。
翌日になっても疲れが残らないところで切り上げるのが最適です。
これから始めようと思っている人や、病気を治している最中の人は、体力や年齢に見合った目標を医者と話し合ってみるといいですよ。
脈拍ははあくまでバロメーターです
脈拍はひとそれぞれ違うものです。ですから、自分の平均脈拍がどれほどなのかを知っておくことが大切です。そこから明らかに遅くなったり早くなったりしたら、そこで体がおかしいと判断しても良いのではないでしょうか?そして、その後病院でしっかりと検査をすることをオススメします。