スポーツをしていてぶつかったり、つまずいて転倒したり、階段から滑り落ちたりと腰を強打する場面は多いと思います。痛みの度合いにも寄りますが、痛みが弱ければ湿布を貼って数日我慢していれば治るかもしれません。実際、打撲には湿布は効果的だと考えられますが、湿布の種類や使用用法をご存知ですか?また、湿布以外でも腰を強打したときにできることがあります。まとめてみました。
腰を強打したら湿布を貼るより病院へ
腰は漢字を見てもわかるように体の要。
非常に大事な部分で、体を動かす要となります。
漢字って素敵ですね。
腰を強打して痛めてしまうと、歩いたりしゃがんだり、体を動かすのがつらくなります。腰に限らず打撲の痛みは、だいたい1~2週間くらいで治るものですが、これ以上痛みが続く場合は、打撲でなく骨折などほかのトラブルが発生している可能性があります。
自宅で湿布を貼って様子を見ていてもこれでは治りません。
長く痛みが続くようであれば、病院に行って、しっかり診察してもらいましょう。
せめてレントゲンを撮って、骨折の有無を見てもらうだけでも有効です。
万が一骨折だと治療方法が違いますし、完治まで2~3か月かかる場合もあります。
骨折ではなかったとしても、細菌に感染して痛みが発生している可能性もあるので、自己判断ではなく病院でしっかり見てもらいましょう。
専門の先生でないと、しっかりした判断ができませんし、放置しておくとさらに症状が悪化するばかり。適切な治療を受けることが治癒への近道です。
腰を強打したら湿布の前にアイシング
腰を強打して痛めてしまった時、思いつくのが湿布を貼ることだと思います。
でも待って、湿布を貼る前に冷やしましょう。
打撲の際は、まず冷やす。
打撲した場所は血液が集まって熱を持ち炎症を起こします。
人間には自然治癒能力があってその働きの一種ですが、それにも限界があります。
打撲場所を冷やして熱を逃がすことが大事です。
冷やすことをアイシングといいます。
それではどうやって冷やしましょう。
まず患部をしっかり包み込むことです。
氷嚢(ひょうのう)というのを聞いたことがありますか?
ソフトボールが注目されたときに試合後投手が肩に巻いていたようなものです。
簡単に作れる氷嚢とは、ビニール袋に氷を入れて少しだけ水を加えます。
この水が大事です。
氷に水を少し加えることで、氷が少しずつ溶ける状態になります。
溶けかけている氷の温度は常にゼロ度。
熱を最も効率よく奪う温度なんですね。
ゼロ度以上でも以下でも熱を奪う能力は低下します。
なので、溶けかけた氷がアイシングにとっては最大の効果があるのです。
腰を冷やすなら湿布でも良いのでは?
腰を強打して痛めてしまったときに湿布をしたらいいと思っている方、湿布の前に冷やしたらいいと思っている方、どちらもまあまあ正解です。
氷嚢をつくるのは面倒なので、シップやアイスノンで冷やしている方、ちょっと待ってください。
アイスノンは中に入っている冷却ジェルを凍らせると-16度まで下がります。
これを患部につけると冷やすのではなく凍らせてしまうので凍傷になる危険性があります。
また湿布は皮膚の温度を3℃ほど下げる効果があるので、患部奥の熱を下げるのには効果がありません。
冷たく感じるのは、薬品の効果で実際に冷たいわけではないんですね。
氷水のアイシングは溶けきるまで0度のままなので熱を奪い続けられます。
それに0度は凍傷の心配もないのです。
熱量に応じて氷の体積量を増やせば患部深くの熱をとることも可能です。
そもそも素材が水なので人体に無害なのですね。
簡単に作れて、人体に害もない、氷嚢はなんてすばらしいのでしょう。
湿布はアイシングではなく消炎鎮痛効果
腰を強打して湿布を貼ってくる患者さん。
これではだめですかと聞かれますが、だめですとはっきり答えています。
なぜなら、湿布は冷たい感じがするだけで、実際熱を奪っているわけではないのです。
??な方、湿布が冷たく感じるのはメントールなどの薬品が練りこまれているからです。例えばハッカの飴をなめた時に口の中がひんやりしませんか?
それと同じ原理です。
最近の湿布には非ステロイド性抗炎症薬が練りこまれているので、一時的に痛みを和らげる効果がありますが、目的とする熱を奪うことはできません。
氷の鎮痛効果と比較しても湿布の鎮痛効果は微々たるもの、ぜひアイシングをしましょう。
湿布のメーカーさんは2.3℃皮膚表面温度が低下すると試験結果を出していますが、皮膚表面の温度が気化熱によって下がるだけで、患部の熱を奪うには至らない。
メーカーさんがそう言っているので、事実です。
冷温湿布にしても同じようなものなので、やはりアイシングに勝るものはありません。
湿布以外にも鎮痛剤はある
腰を強打して湿布を貼っている方、貼るだけでなく塗り薬もありますよね。
いろいろあるので、説明してみましょう。
クリームタイプ
伸びがよくしっかり塗り込むことができます。
マッサージ効果もあり、肌に優しいです。
ゲルタイプ
皮膚への吸収が早く持続的な効果が高まります。
湿布が貼りにくい部分や患部が広い時には適しています。
液状タイプ
患部に手が届きにくい場所でも塗りやすく、手が汚れにくい。
アルコールを使用しているので肌の弱い人には向かない。
スプレータイプ
患部を冷やす効果が高い。
パックタイプ
水分を多く含んでいるので長時間患部を冷やす効果が高い。
痛みが強い場合に適している。
テープタイプ
痛みが慢性化している場合に長期的に使用するのに向いている。
痛みの強い場所にスポット的に使用することもできる。
このように様々なタイプ、長所短所があるので、自分の症状や患部の状態に合わせて使用しましょう。
判断がつかないときは薬剤師さんなどに相談してみましょう
湿布にも副作用があるから気をつけて
腰を強打して湿布を使用している方、湿布は家に常備されている方も多いと思います。
気軽に湿布を利用されているかと思いますが、湿布も薬なんですね。
正式名称は経皮吸収型鎮痛消炎剤。
痛み止めの成分が皮膚から吸収される立派な鎮痛剤。
何度も貼り替えているとその分薬が吸収されます。
多くても一日3枚までにしましょう。
貼り替えたからと言って効果があるわけではないのです。
副作用として、貼っていたところに日光が当たると、湿疹、かぶれ、腫れ、かゆみといった症状が出ることがあります。
外出時は湿布を貼っていた場所に日光が当たらないようにしてください。
はがした後も皮膚に成分が残っている可能性があるので注意です。
失明や死亡例も報告されています。
ただ冷やしたいという人は、熱冷まシートや保冷剤を使用しましょう。
湿布は痛み止め薬。
用法用量を守り正しい使い方をしてください。
湿布でほかの病気になったなんて困りますものね。
みなさん、注意しましょう。
湿布は万能ではありません
ぶつけたり、捻ったりしたらとりあえず湿布貼っておけば痛みが治まると思っていた方、この記事を読んでどう思いましたか?
湿布はあくまで痛みをごまかしているだけだということに気付きましたか?
決して患部を治す効果があるとは思わないでください。
腰を強打したら、すぐにアイシングをしましょう。
そして、病院で骨に異常がないかレントゲンを撮ってもらい最適な治療法を見つけてもらうほうが得策ですよ。