腰椎椎間板ヘルニアの治療方法のひとつとしてブロック注射というものがあります。現在ヘルニアの診断を受けて、どういった治療法が最善なのか迷っている方もいると思います。そんな方にブロック注射とはどんなことなのか知っていただくためにまとめてみました。
腰椎椎間板ヘルニアの治療法のブロック注射とは?
具体的な神経ブロック注射の注入方法についてですが、注入部位は、腰痛の症状や箇所によって異なります。
例えば、ヘルニアやぎっくり腰等の場合は、尾骨近くの仙骨裂孔から注射し、局所麻酔薬やステロイド剤を注入します。
また、注射自体の所要時間は約1分で、注射した後は30分ほど安静にしながら、効果の発現を確認する場合もあれば、注射自体に約5~10分、注射後の経過観察に1時間ほどかかる場合もあり、腰痛の症状や注入部位によって多少異なります。
注射する際の具体的な手順も、その症例か注入部位によって、やはり異なってきます。
椎間板ブロック、腰椎椎間板ヘルニア等の場合ですと、腰痛の原因となっている神経の箇所を特定するために、麻酔薬に併せて造影剤を注入して神経の走行を確認する場合もあり、痛みを緩和するだけでなく、検査の意味合いで行われる場合があります。
この場合、レントゲン透視室にて、皮膚に局所麻酔をしてから針を注入し、原因となっている患部に直接薬品を注入していきます。
腰椎椎間板ヘルニアへのブロック注射の種類
ヘルニア等に起因する腰痛に悩む人は多いと思います。
そういった腰痛を患う方への治療法の一つに「神経ブロック注射」というものがあります。
神経ブロック注射とは、腰痛を抑える為に、痛みの原因である神経やその周辺に局所麻酔を注射して抑える治療法で、ペインクリニックや整形外科等で治療を受けることができます。
人間は、痛みを感じると、その周辺の筋肉がこわばってしまい、筋肉と血管は収縮し、更に神経は圧力を受けて炎症等を引き起こしてしまいますので、その対処法として、痛みを緩和する為に、神経ブロック注射は施されるのです。
神経ブロック注射による痛みの緩和は、一時的なもので、効果は数時間しか持続しませんが、その間痛みが緩和することによって筋肉の緊張が緩みますので、二次的な痛みを取り除く効果が期待できます。
ですので、実際に神経ブロック注射を施すことで期待される痛み緩和の持続時間は、個人差がありますが、数日から数週間と言われています。
ブロック注射は副作用もあります
神経ブロック注射による副作用については、様々な症状があり、主なものとしては、注射時の痛み、出血、感染、アレルギー、神経障害等があります。
しかし、これらの副作用が重篤な症状として現れる可能性は、0.001~0.002%と、極めて低い確率とされています。
この数値は、内科で処方される薬の副作用として、肝機能障害が起こる確率が0.5~5%であることを鑑みても、相当に低い確率であることが分かります。
さらに、麻酔薬を使用することにより、その中毒性を懸念する方も多いのが現状ですが、実際のところ、使用する局所麻酔の量は、中毒量の5~20%であるため、中毒になることはありません。
このように、神経ブロック注射の副作用については、危険性が低いと思料されるのですが、より確実に効果を期待するためには、漠然と注射治療を継続するのではなく、注射回数を重ねるごとに、症状が軽減するように治療を続ける必要があります。
日本ではあまり身近なものではない神経ブロック注射ですが、専門医で一度相談してみるのも良いかもしれません。
神経根ブロック注射は激痛を伴うらしい
腰椎椎間板ヘルニアの治療は、まず鎮痛剤の服用から始まります。
そして、トリガーポイントや硬膜外ブロック等の治療を施した後、神経根ブロックを施す場合があります。
この神経根ブロックですが、具体的には痛みの原因である神経に直接注射する為、一般的には「ブロック注射の中で一番痛い」等と言われ、恐れられている治療法なのです。
実際、この神経根ブロックを施した場合、施術中に激痛に耐え切れずに叫ぶ方や、あまりの痛みにトラウマを抱えてしまう患者がいるのが現実です。
また、実際に起こることが多いのですが、この神経根ブロックは、何度か注射しなおすことが必要になる場合があります。
なぜかというと、医師の技術が確かであっても、注射する目的の場所が、実際に痛みの発生源とは異なるケースが多いのです。
当然ながら、こういった場合ですと、再度神経根ブロック注射をし直す必要があり、患者は、繰り返し激痛を味わうことになってしまうのです。
腰椎椎間板ヘルニアの注射以外の治療法
椎間板ヘルニア等の腰痛を治療する際に内服する薬には、NSAIDsと呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬が一般的には使用されています。
この薬品は、一般的には「痛み止め」と認められているのですが、実際には鎮痛だけでなく消炎効果も期待できます。
これにより、非ステロイド性抗炎症薬と筋肉の緊張を緩める筋緊張弛緩薬等を併用することで、身動きができないくらいの重い症状の腰痛でも、回復が見込める場合があります。
しかし、前述した薬品は、効果が強い反面、副作用をもたらす危険性もあるので、専門医とよく相談した上で服用することが望ましいと言えます。
それでも、やはりブロック注射等をせず、内服薬だけで症状が軽減することは魅力的ですし、これらの内服薬の効果により、腰痛やそれに伴う炎症が一度改善されれば、その後は症状の再発が起こらないことが多いのです。
また、ヘルニア等の腰痛治療には、リハビリを行うケースも多いのですが、このリハビリ治療についても、行う期間や内容について、専門医とよく相談した上で行う必要があります。
最終的には手術ということも
ヘルニア等の治療の為に、注射ではなく手術が行われるケースもあります。
これは、運動麻痺などの症状が見受けられる場合や、排尿排便に支障をきたすほどの重篤な症状の患者に行うことがあります。
こういった運動機能や括約筋の機能低下は、重症になってから手術をしてもその症状の改善は困難であるため、より確実に改善を図る為には、早急な時期に手術を施すことが好ましいといえます。
ヘルニアによる腰痛は、骨の椎間板から髄核が突き出した「ヘルニア塊」というものが、神経を圧迫する事で起こります。
ヘルニア塊の大きさや形状、それに伴う症状の重度も人によって様々ですが、数カ月で大きさが小さくなっていく事が多く、それに伴って症状が改善されるケースが多く見受けられます。
このように、自然にヘルニアの症状が改善し回復する方がどれほどいるのか、正確な統計は現在ありませんが、日本脊髄外科学会の報告によると、ヘルニア患者の内約8割の方は自然に症状が改善しているとのことです。
つまり、ほとんどの方が自然にヘルニアが回復しており、手術を必要とするほどの重篤な患者はまれであると言えそうです。
腰椎椎間板ヘルニアには注射も選択肢のひとつです
最後にまとめましたが、腰椎椎間板ヘルニアの8割は自然治癒するというデータがあります。
ですから、生活に支障が出ない限り簡単に出来る保存療法を選択していくことから始めましょう。
注射も選択肢のひとつです。
ただし保存療法で100%良くなる保障もありません。
それは今まで普通に行ってきた日常動作に原因があるかもしれないからです。
腰に負担をかける動作をひとつひとつ見直し、行動パターンを変えていく努力は怠らないようにしてください。
この記事がヘルニアで悩んでいる方のお役に立てますように。