長引く腰の痛み、なかなか痛みが取れず悩んでいる方には、リハビリと運動をオススメします。
腰が痛い時、皆さんはどうしますか?
腰に湿布を貼る方、マッサージを受ける方、とにかく安静に寝ている方など様々でしょう。
腰痛に対する対処法を知って、しつこい腰痛を改善しましょう。
腰痛とは?
腰痛は、国の調査によると男性で1番目、女性で2番目に訴えの多い症状で、生涯で腰痛を経験する人は8割にのぼるとされています。
労働者においても腰痛の訴えは多く、座る時間の長い事務職、運送業務従事者、介護・医療従事者に特に多くみられます。
腰痛が原因で仕事を余儀なく休む労働者は、25%にのぼります。
腰痛の原因をみてみると、転倒して腰をぶつけて痛みが出るなど原因が明らかな場合や、特に転倒した訳では無いのに何となくいつも腰が重く痛い場合など、様々です。
腰痛にも種類があり、レントゲン上、腰椎の変形や炎症、骨折など明らかな病変がある場合を特異的腰痛と言います。
一方、レントゲン上、明らかな病変がない場合を非特異的腰痛と言います。
非特異的腰痛は特異的腰痛より多く、腰痛全体の約85%にも及ぶと言われています。
また、非特異的腰痛は、近年は心理的要因や社会的要因と腰痛は関連が深いとされ、例えば職場でのサポートが少ない、職場での人間関係のストレスがある、抑うつ症状がある、不安を感じている場合なども腰痛に関連があると言われています。
こうした腰痛は、疼痛発生からの時期により急性期、亜急性期、慢性期に分けられます。
特に、非特異的な慢性期の腰痛には、リハビリや運動療法が有効だと言われています。
特異的腰痛に対する治療とリハビリ
腰痛のうち、特異的腰痛に分類されるものは、診察や画像診断で原因が特定できる腰痛です。
特異的腰痛で最も重篤な腰の病気は、腫瘍や感染症、炎症性疾患、骨折、馬尾症候群などです。
検査により、これらの重篤な病気が疑われる場合は、さらに詳細な検査を行い早急に専門的な治療を行う必要があるでしょう。
腰が痛む病気の中には、整形外科での病気のほか循環器科、泌尿器科、婦人科、外科などの病気が原因の場合もあるので注意が必要です。
まずは検査により、これらの重篤な病気で無いことを確認することが重要です。
次に、神経根症疼痛があるか確認します。
神経根症疼痛は、神経の分布に沿った疼痛が出ているかで判断できます。
神経根症では、長い時間歩いた時に右側あるいは左側の腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足裏など神経の通り道に沿って強い痛みやシビレが出ます。
例えば、足のふくらはぎがひどく痛む場合、ふくらはぎの病気だと思いがちですが、おおもとの原因は腰から来る神経痛ということがあるのです。
坐骨神経痛を伴う腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などがこれに当たります。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が重症の場合、手術が適応になることもあります。
手術後はリハビリや運動が必要になりますが、医師やリハビリ専門職の指導のもと行いましょう。
非特異的腰痛に対する治療とリハビリ
画像検査などで、腰痛の元になる特定の原因がみつからない場合、非特異的腰痛となります。
ぎっくり腰も非特異的腰痛と分類されます。
そんな非特異的腰痛は、脊椎の不調と脳の不調で起きると考えられています。
脊椎の不調は、腰への負担が大きくなることによって起こり、腰に痛みや重だるさを感じます。
重いものを持ち上げたり、腰をひねったり、同じ姿勢を長時間続けることが原因です。
また、脳の不調は、人間関係のストレスやトラブルなどが原因で起こります。
ストレスが高まると、痛みを抑える脳内物質の分泌が少なくなり、痛みを感じやすくなるからです。
また、痛みに対して敏感になり、触っただけでも痛みに感じることもあります。
非特異的なケースについては、リハビリによる治療を選択することが多いです。
リハビリには、運動療法のほか、腰を温めたり電気をかけたりする物理療法などがあります。
腰を温めたり電気をかけることにより、血流を促進し筋肉がリラックスし筋肉の疲労を回復することができます。
特に、慢性的な痛みに対しては腰を温めることが有効です。
また、ストレスを解消させることも大切です。
なぜ、腰痛改善に運動療法が必要か?
腰痛が出た時は、できるだけ動かず安静を心がけているという方も少なからずいるでしょう。
確かに、急性期で起き上がるのもつらい時期は、動こうにも思うように動けず寝て過ごすこともあると思います。
しかし、痛みが少し治まってきたら痛みの範囲内でリハビリや運動療法を行い、体を動かすことが腰痛改善の近道です。
ぎっくり腰の場合でも、最近はできるだけ動くことが推奨されています。
腰の痛みが強くならない範囲で、できるだけ動くように心がけましょう。
特に、腰痛が慢性的にあり、長年重だるさや痛みを感じている方は、脳の不調と関係し、痛みに対して敏感になっていると考えられます。
腰を動かすことに対して不安を感じ、動くと痛みが強くなるのではないかという恐怖心を抱いている方が多いようです。
腰の機能を改善し、痛みをとるには運動療法を行うことが大切です。
腰のストレッチを行い可動性を高め、腰回りの筋力をつけましょう。
腰まわりが柔らかくなることで、腰まわりの筋肉がリラックスします。
腰まわりの筋力がつくと、腰を外力から守り長時間動いていても腰が疲れにくくなります。
また、腰回りがしっかりすると、良い姿勢を保ちスタイルが良くなり背骨への負担も軽減されます。
腰痛に対するリハビリと運動療法の実際
手軽に自宅でできる腰痛に効果的なリハビリと運動療法を紹介します。
①腹筋
仰向けに寝て、両膝を立てます。
おへそをのぞき込むようにゆっくり頭を持ち上げ、ゆっくり元の姿勢に戻しましょう。
これを10回繰り返します。
この時、腹筋が働いているのを意識して行いましょう。
頭を持ち上げる際には、息を止めず息をゆっくり吐きましょう。
②ブリッジ
仰向けに寝て、両膝を立てます。
お尻に力を入れ、お尻を床から持ち上げ、ゆっくり元の姿勢に戻してください。
これを10回繰り返します。
③両膝抱え
仰向けに寝て、両膝を抱え込み、ゆっくり元の姿勢に戻します。
これを10回繰り返します。
ゆっくり行うのがポイントです。
④両膝倒し
仰向けに寝て、両膝を立て右に倒します。
ゆっくり元の姿勢に戻し、次に左に倒します。
これを10回繰り返します。
上半身は床につけたまま行いましょう。
これらは、寝た状態で手軽にできる運動ですが、痛みが強くなる動きは、無理せず中止してください。
毎日続けることにより、最初はきつくても徐々にしっかりと行えるようになってきます。
この運動が簡単にできるようになってきたら、回数を増やしてください。
また、腰痛が徐々に軽減してきたら、歩いたり水泳など全身運動を行うこともオススメします。
腰痛予防のために、生活の中にリハビリや運動を取り入れよう
腰痛を予防するために、体をしなやかに保ち全身の筋力をつけましょう。
日常生活の中でリハビリや運動を取り入れ、活動的な生活習慣をつけることが大切です。
長時間同じ姿勢で作業をすると、腰への負担が増大し腰痛を起こしやすくなります。
こまめに腰のストレッチを行い、姿勢を変えましょう。
例えば、机に向かって座ってパソコン作業をする方であれば、1時間に1回は、立ち上がって腰の曲げ伸ばしなどのストレッチを行います。
また、歩く時に、腹筋と背筋に力を入れるよう意識してみましょう。
体幹の筋力トレーニングになります。
お腹まわり、腰まわりの筋力を鍛えると姿勢が良くなるだけでなく、腰痛予防にもなります。
また、普段の生活で腰に負担をかけない姿勢や動作を心がけることが大切です。
腰をひねったまま重いものを持つ、中腰で作業をする、体から遠い位置で物を持つことは、腰への負担を大きくさせます。
このような動作は、できるだけ避けるようにしましょう。
また、心理的な要因も腰痛悪化の原因になるので、ストレスを溜めないことも大切です。
心が穏やかになるような趣味や楽しみをもち、心身ともにリフレッシュしてください。
腰痛は予防が大切
腰痛は、ひどくならないうちに予防することが大切です。
普段から、腰まわりの筋肉を柔らかくし体幹の筋力をつけるよう心がけましょう。
また、腰へ負担のかける姿勢や動作をしないよう気をつけることで腰痛を予防できます。
動けないほどの腰痛が出た時には、重篤な病気の可能性もあるので自己流で治そうとはせず、専門医にみてもらうことをオススメします。