お腹が大きくなって腰痛に苦しむ妊婦さんに最適な体操法

最終更新日:2022/09/16

赤ちゃんができてお腹が大きくなるにつれ、成長が実感できて嬉しくなる反面、体が重くなって腰痛や背中の痛みがでることがあります。

普段は何でも無かった自宅での家事や仕事、道を歩いたり階段の上り下りまで辛く、日常の活動が低下して気分まで落ち込んでしまいます。

こんな時にちょっとした体操で妊婦さんの腰痛を改善し、出産までの間をきげん良く過ごせる方法を紹介します。

妊婦さんが腰痛になる原因とは?

腰痛のない一般の人と妊婦さんの大きな違いは、お腹が膨らむことで重心が前にずれてしまい、安定した姿勢が崩れてしまうことにあります。

お腹の中で赤ちゃんが成長して大きくなると、骨盤が前に倒れて腰が反られ、腹部や腰周りの筋肉が強く緊張します。

この特徴的な姿勢による腰の反りでは、太ももの前の大腿四頭筋、骨盤の横の前側にある大腿筋膜張筋、インナーマッスルの腸腰筋が緊張して負担がかかるのです。

このような状態では妊婦さんに良く見られるヨタヨタ歩きが見られ、前方にかかる重心を支えるため、両脚で踏ん張るしかないのです。

ヨタヨタ歩きは骨盤周りの筋肉が動きにくいため、両足を開く外股になって無理やり歩くので、お尻の筋肉を強張らせて疲労することで腰痛の原因にもなります。

またお腹が大きくなると骨盤周りの筋肉だけでなく、骨盤と仙骨と呼ばれる背骨の尻尾の部分(仙腸関節)や、腰の真中の下部を痛めて腰痛がでる場合もあります。

妊婦さんが腰痛対策のために体操を行うには、筋肉や関節の痛みを正しく理解し、出産に悪影響がない範囲で行う必要があると言えます。

ここでは腰痛改善に体操を取り入れる前の具体的な注意事項があり、3か月ごとの妊娠周期を中心に解説していきます。

妊婦さんが腰痛を改善する体操前に注意すること①妊娠初期

妊娠初期は1~13週の間で、初めの頃はそれほど体に変化がありませんが、乳房が膨らんで張り出し、頻尿や疲労しやすく、つわりなどもでてきます。

それでも13週に至る過程で少しずつ変化が現われ、妊婦特有の腰の反りと同時に背中も丸くなり頭が前に出てしまいます。

早い人ではこの時点で腰痛がでることがあり、その後の妊娠周期から出産までの間、筋肉や関節の痛みに悩まされることがあるのです。

この時期では他にもニオイなどに敏感になったり、精神的にストレスを感じてしまうこともあり、パートナーや家族に協力して乗り切ることも必要です。

この妊娠初期での体操やその他の活動では、統計的に流産になるケースが多い時期なので、腹部や子宮収縮を引き起こす運動はさけなければいけません。

具体的には腹筋運動のように腹部を圧迫したり、縄跳びなど跳躍を伴う動作は、妊娠の実感のない初期の前半に行ってしまいリスクを高めます。

またつわりによる吐き気がある場合は、リズミカルに揺らす体操も注意が必要です。

妊婦さんが腰痛を改善する体操前に注意すること②妊娠中期

妊娠中期は14~26週の間で、この頃になると見た目から妊婦と判断できるようになり、初期で生理的不安定の原因であったホルモンバランスも落ち着きます。

この時期ではお腹が大きい状態での生活にも慣れ、比較的安定しているため活動的になるようです。

体調に関しては初期の頃より体重が増加し、便秘や胸やけの症状がでたり、腰痛やおしり、下肢に痛みがでやすくなります。

特に腰の反りが強く出ている脊柱起立筋と骨盤上部の中殿筋に負担がかかり、日常生活のあらゆる動作が刺激となり痛みがでるリスクが増えます。

妊娠初期と比較して流産や危険性は低いですが起こる可能性もあり、その他にも妊娠合併症にも注意が必要です。

初めての妊娠では20週以前に妊娠高血圧症候群が発生することもあり、産科への定期診察でモニタリングをしたり、体調不良の場合は予定していなくても受診することをオススメします。

また妊娠前期と違いトイレに行く回数は減りますが、頻繁にトイレに行きたくなるのであれば妊娠糖尿病も考えて、これも早めの受診で検査するのをオススメです。

妊娠中期での体操の実施に向けて注意する必要があるのが、下肢の静脈瘤という血管が壊れて血が溜まる現象です。

この状態では体の奥の血管も弱り、血栓(血の塊)ができていて、これが体操で脳や心臓などの重要なところに飛んでしまう危険性があるのです。

妊婦さんが腰痛を改善する体操前に注意すること③妊娠後期

妊娠後期は27~40週の間で、腰痛などの筋肉や関節の痛みや、むくみなどの生理的な辛さが最大となることがあります。

この妊娠後期の最後の数週間は妊婦さんのお腹は最大になり、腰の反りもより強くなって姿勢の崩れがひどく、腰周辺やお尻の中殿筋にさらなる刺激があります。

特にお腹が大きくなって子宮周りの緊張や圧迫により、お腹の中央にある腹直筋が広って引き伸ばされ弱まり、腰を内側から支える腸腰筋に過度な負担がかかります。

この時期でもっとも注意が必要なのは早産で、妊娠37週未満の出産では赤ちゃんが体の機能が整ってない場合があり、子宮収縮や陣痛が規則的にでてしまうのであればすぐに病院に行くことをオススメします。

また腎臓の感染症による症状は、腰痛がでる場所と似ていることが多く、動かなくても痛みがでるのであれば病院で検査する必要があるでしょう。

妊娠後期の後半ではもっとも合併症が発生しやすく、妊娠高血圧、糖尿病などの代表的なものや、足などのひどいむくみもあります。

体操を行う場合は腰痛改善を目的にしたもの以外にも、全体的に姿勢が崩れているので、頚部や背中も同時に行うと効果的です。

妊婦さんに効果的な腰痛体操

お腹が大きい妊婦さんが体操をする時は、圧迫を避けるのと腰痛でうつ伏せで行うのは難しいので、横か仰向けで行います。

体操で改善するのは妊娠で腰の反りより負担がかかった場所で、脊柱起立筋と骨盤の上の部分にある中殿筋です。

腰の反りの改善については、お腹が大きくなったために骨盤が前に倒れるので、それと反対に倒すように腰を丸めます。

これはペルビック・チルトと呼ばれるもので、体幹トレーニングの1つとして妊婦さん向けにし、安全で効果的な方法を解説します。

「妊婦さん向けペルビック・チルトのやり方」

①妊娠初期では横向きで行い腹圧がより掛からない姿勢で、妊娠中期以降は仰向けの姿勢になり、股関節と膝は70度位の腹圧が掛からない程度に曲げます。

横向きになる場合は、痛みのある側を上にします。

②①の姿勢から息を吐きながらお腹に力を入れずに反った腰を丸めるようにして、約30秒を目標に息を止めないで静止し、脊柱起立筋をストレッチします。

もし上手に腰を丸めることができない時は、誰かに反った腰の部分を軽く押してもらうと簡単に丸くすることができるでしょう。

「妊婦さん向け中殿筋エクササイズのやり方」

骨盤の上の中殿筋の体操ではテニスボールを使用して、体を捻らず腹圧を掛けないように行います。

①痛みや強張りのない側を上にして横向きになり、股関節と膝は70度位の腹圧が掛からない程度に曲げてます。

②①の姿勢から腰を少し浮かして、股関節の骨の上の部分と床の間にテニスボールを入れてください。

③②の姿勢からテニスボールを潰すように、痛みが強く出ないように圧迫します。

④③の状態から約10秒圧迫してからテニスボールを外します。

この時、床が硬いと刺激が強いので、布団の上などで行うと快適です。

妊婦さんに効果的な腰痛対策

お腹が大きくなった妊婦さんは、動くのが億劫になってしまい、腰痛改善の体操をする余裕がない場合があります。

体操以外にもマッサージやテーピング、妊婦さん用のコルセットなどがあります。

妊娠中期から足のむくみがひどくなり、苦しく疼くことがありますが、この時のマッサージには注意が必要です。

この中期以降は血栓ができやすいので、下肢の内側に深く押すようなマッサージや、リンパが集中する股の付根に強い刺激は危険な場合もあるからです。

また妊婦さんがうつ伏せになるとお腹を圧迫してしまうので、横向きか仰向けでマッサージしてもらう必要があります。

気軽にできるものにテーピングがあり、ドラッグストアやスポーツ店で手に入る伸びるものを使用して、背骨の両脇に沿って2本貼ります。

これはお腹が大きくなることにより、腰の反りが強くなったのをサポートする役割を果たしますので、お尻の上から肋骨の下の部分まで少し腰を丸めた状態で貼ります。

ここで注意が必要なのは強く引っ張って貼らず、少しピンと張る程度に伸ばすことです。
他にも妊婦さん用のコルセットがあり、これはお腹を圧迫しない構造になっているもので、出産準備や赤ちゃんグッズが販売されているお店に置いてあることがあります。

快適な妊娠生活のために

妊娠してお腹が大きくなると、赤ちゃんができた嬉しさと、日々変化する体の辛さに悩まされることが多いでしょう。

妊娠中に高血圧や糖尿病、切迫流産などの危険性がない限り、体操などで腰痛などの改善も可能です。

より快適な妊娠生活になれば、出産の時の喜びも最大のものとなるでしょう。

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