腸は平滑筋という筋肉でできており、正常なら伸び縮みがスムーズにできますが 癒着や滞留便があったり、蠕動運動が低下していたりするとスムーズに動けません。
腸のマッサージでは、癒着を剥がして腸の動きを良くしたり、腸筋層反射という腸のメカニズムを応用して 腸が内容物をスムーズに運べるようにします。
腸が癒着する病気(腸管癒着症)と原因
腸の病気の一つに腸管癒着症というものがあり、癒着が生じている部分に痛みがでます。
痛みの度合いは癒着の程度によって大きく異なります。
腸の蠕動運動が正常に機能しないと、吐き気や嘔吐を引き起こします。
腸管が癒着すると、食べた物がスムーズに体内を移動していかず、腸の中で詰まってしまうことになります。
食べ物が腸内をうまく通過することができないと、腸の蠕動の働きがおかしくなり、吐き気や嘔吐といった症状を催すこともあります。
腸の癒着がひどく、その部分に炎症が起きた場合には、悪寒や発熱が起こり、癒着部分を触ると硬さを感じ、からだがガタガタと震えるようになります。
腸の癒着が起こる原因の中で最も多いものは、過去に何らかの理由で腹部を手術したことによる癒着です。
手術によって腹部を切開すると、傷が治っていく過程でリンパ球や血症がにじみ出たり、血が溢れたりしますが、それが腸管同士の癒着を引き起こす原因となるのです。
抗生剤を使った虫垂炎の治療や、胆石、胆のう炎、婦人科系疾患、腹膜結核等も、癒着の原因となる場合があります。
マッサージでこうした癒着を防ぎましょう。
腸の癒着を改善!腸マッサージとは??と注意点
腸の癒着を改善する方法の一つとして、「腸マッサージ」があります。
腸マッサージとは、別名「腸もみ」ともいい、腸を体の外側からもみほぐすようにマッサージをすることで、腸の動きを活発にすることです。
おなかが痛くなったり、腸の具合が悪いと感じたときに、人は自然に円を描くようにお腹をさすっていることがあるかと思います。
こうして腸を外側から刺激ですることでも、腸の正常な動きを取り戻すことができるのです。
腸マッサージは特に便秘に効き目があります。
週に2〜3回行うことで、腸の動きが徐々に活発になり、便秘が解消していきます。
ただし、腸マッサージを行うときは、食事のすぐ後は避けたほうが賢明です。
腸が消化吸収に専念しているため、やりすぎると気分が悪くなってしまいます。
また、女性は生理のときもお腹を強くマッサージしすぎると、やはり気分が悪くることがありますので、十分注意してください。
また、裸になってマッサージすると、内臓を冷やすことになるので、衣類を身につけて行ってください。
おなかを冷やすことは良いことではありません。
腸マッサージのやり方
腸マッサージのやり方を簡単にご説明いたします。
まず、仰向けになります。
このとき、腰に負担を感じるのであれば膝を折ってもかまいません。
あごは引いておきます。
おへその周りを両手の指先を使って右回りに円を描くようにさすっていきます。
痛みを感じたり、固さを感じる場所があれば、そこを集中的に押してみてください。
さらに、おへその左右に手の四本指を当てて、息を吐きながら強く指圧します。
両手の平を使って、右回りにおへそのまわりから外へ円を描くつもりで腸全体(下腹全体)をマッサージして行きます。
マッサージしているときは、大腸や小腸がそこにあることをしっかり意識しながら行います。
10回以上、お腹が柔らかくなるまで続けてみましょう。
次は、下腹を上から下に向けて撫でさすります。
腸をしっかり動かしたあとは、ゆっくりと動きを鎮めていきましょう。
こうした一連のマッサージで、緊張したり、弛緩していたり、位置が異常になっていたり、癒着していた腸を正常に戻すことで、便秘だけでなく下痢の治療にも効果があります。
腸マッサージで痩せる!?
実は、腸マッサージには、ダイエット効果もあることをご存じでしょうか。
小腸の裏には、体内の老廃物や毒素などを運び出すリンパが密集していて、そこに刺激を与えることでリンパの流れが良くなります。
そうすることで老廃物や毒素や余分な水分まで排出することができ、きれいなカラダを作ることができます。
いわゆるデトックス効果が期待できるということです。
また、腸マッサージを行なうと、血流が増え、冷え性の改善や肩凝り、頭痛を治す働きがあると言われています。
おなかを触ってみるとわかるかと思いますが、おなかというのは、真夏でも、結構冷えているものです。
それは一般的に動かすことが少ないためと思われます。
動かすことが少なければ、癒着を起こしやすくもなるでしょうし、おなかが冷えれば下痢を起こす頻度もふえるでしょう。
マッサージで血流が良くなることで、高血圧や高血糖の治療にも効果があります。
また、便秘が解消されることで、ポッコリお腹がスッキリとへこむ効果も期待できます。
身体の中の毒素が体外に排出されることで肌荒れの改善にもなるでしょう。
腸を暖めることで免疫力も高まるなど、良いことづくめです。
よく言われるように子宮や下半身が冷えてしまうと、免疫力までもが落ちてしまうものなのです。
痩せやすい身体を作るだけではなく、健康的な身体を手に入れることができるとなれば、腸マッサージをやらない手はありません。
腸が癒着したときの治療法
腸の癒着が起こった時、どう治療すればよいのでしょうか。
腸に癒着が起これば、大なり小なり、痛みや吐き気を伴うでしょうから、おなかを手術した経験のある人は、まず腸管癒着を疑ってみるべきです。
しかし、おなかが痛む原因は他にもあるかもしれませんので、早めに病院を受診して、痛みの原因を特定した方がよいでしょう。
もしかしたら、胃ガンや大腸ガンの可能性もあるからです。
腸管癒着であると診断が下されれば、1〜2日程度の絶飲食をし、経過観察をします。
場合によってはチューブを挿入し、腸内の蓄積物を体外へと排出することもあります。
しかし、とくにこれといった治療法があるわけではなく、便秘にならないようマッサージを行ったり、軽い運動をしたり、日常生活をうまく管理していく方法が一般的なようです。
治療効果が見られない場合は手術が必要になりますが、腸管癒着は予防することもできるので、手術後はできるだけ早い段階で起き上がり、体を動かして腸のはたらきが良くなるよう積極的に働きかけてはいかがでしょうか。
腸の癒着が悪化すると起こる病気
腸の病気の中で最も重いのが腸閉塞です。
原因は大きく分けると腸の外側に問題がある場合と内側にある場合があります。
最も多いのは腸の外壁が他の腸などとくっついてしまう腸の癒着です。
もう一つは腸の麻痺やけいれんなど、腸が本来の働きをしなくなることが原因で起こります。
腹痛が頻繁に起きたり、便秘、腹部の膨張が感じられたら、最悪の場合腸閉塞を思い浮かべたほうがいいかもしれません。
重傷になると死に至る危険性も否定できない深刻な病気です。
症状としては、激しい腹痛と吐き気、嘔吐、顔面蒼白などが起こります。
これらは腸が詰まると同時に発症するため、異変が起こった場合は、即座に病院を受診してください。
症状が軽ければ、腸内に溜まっている水分や内容物、ガスを取り除いた上、絶食をして腸の状態が正常に戻るまで点滴で栄養補給を行います。
腸閉塞が腸の癒着によって起こった場合、その原因は過去に受けた手術がきっかけとなっている場合が多く、このタイプの腸閉塞は、治っても将来繰り返し再発する可能性があります。
再発はいつ起こるかわからないので、腸閉塞の症状がみられたらすぐに病院にいきましょう。
腸閉塞は、便秘になりがちな女性や、腸の働きが低下した高齢者に発症することが多いので、マッサージで規則正しい排便習慣をつくり、腸を詰まらせないように予防することが大切です。
普段から腸に負担をかけない生活を心がけてください。
腸が癒着したら
腹痛などの症状があるときは、一度病院へ。
検査によって癒着と診断されても治るわけではありませんが、腸マッサージや運動などで便秘にならないように普段から心がけることができます。
お腹を手術したことがある人は腸が癒着しやすくなっています。
何も症状がなければ問題はありませんが、痛みなど気になるようだったらすぐ見てもらうといいでしょう。