お母さん方の中で、「赤ちゃんや小さい子供の腕が急に上がらない!痛がっている!」なんて経験をされた事がある方はいませんか?
その時の事を、思い出してみて下さい!
赤ちゃんや小さい子供の腕を、急に引っ張っていませんでしたか?
腕が急に上がらなくなるのは、「小児肘内障(しょうにちゅうないしょう)」という怪我かも知れません。
今回は、小児肘内障の症状や治し方、予防法についてまとめてみました。
赤ちゃんの腕や手の発達について
<赤ちゃんの腕や手がどのように発達するのか>
腕や手によって物を持ったり、体を支えたりすることができますよね。
このように普段当たり前に行っている腕や手の動きは生まれてすぐに出来るものではありません。
生まれてすぐは頭が上がらないのですが、平均的には3か月頃の赤ちゃんはうつ伏せになったときに、両方の肘から手の部分を使って体を支えて、頭を上げられるようになります。
肘から手の部分でしっかり体を支えられないと、頭を上げたり、顔を左右に動かすことができません。
6ヶ月頃には腕から手の部分で支えるのではなく、手を伸ばした状態で手のひらだけで体を支えることが出来るようになります。
これは、お座りの基礎となる機能です。
その後、片手だけでもだいぶ体を支えることが出来るようになっていきます。
この頃には、体が傾いて倒れそうになると両腕が伸び、反射的に手で支えるような動きが出るようになります。
この機能が、四つ這いの基礎となるものです。
体の機能が発達するのには個人差がありますが、苦手な動きにも個人差が大きく現れます。
例えば、そり返りが強い子は、肩が後ろに引かれがちなので、うつ伏せで腕を前に出すのが苦手です。
この傾向が強い子は、4~6か月頃に飛行機のように手足を浮かせてしまうことも多いですが、じきに安定します。
体が柔らかく、腕の力が弱い子でも腕で手と体を支える動きが出るのは遅くなりがちです。
赤ちゃんや小児の腕が急に上がらない!小児肘内障とは?
<小児肘内障とは? >
小児肘内障とは、肘から下の部分にある橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という2本の並んだ骨が、橈骨輪状靭帯(とうこつりんじょうじんたい)という靭帯から外れかけてしまうことで、いわゆる亜脱臼のことです。
正式名称では橈骨頭亜脱臼(とうこつとうあだっきゅう)と呼ばれています。
2~6歳くらいの赤ちゃんから幼児が、急に腕を引っ張られることで起こることが多いです。
骨が靭帯からずれて外れそうになる脱臼の1歩手前のような状態なので、痛みも強く現れますし、腕を曲げたり伸ばしたりもしづらくなります。
幼児が急に腕を動かしにくくなったり、痛みで腕が上がらないと訴えて泣いてしまっているときは小児肘内障を起こしている可能性があるので、病院で見てもらったほうがいいでしょう。
幼児の間は骨や関節の発達がまだまだ未熟です。
そのため橈骨の引っかかりも小さいので脱臼しやすいのです。
しかし、小学生以降では骨や関節が発達するので小児肘内障は起こりにくくなります。
腕が上がらないこともある小児肘内障の症状や原因は?
<小児肘内障の症状は>
腕を上がらないどころか動せなくなり小児肘内障に気づくということが多いです。
骨と靭帯がずれてしまうため、曲げ伸ばしができず、触るだけでも痛みが出ます。
肘を痛がるが腫れてはいない、肘が曲げられない 、触るのを嫌がる、腕がだらんとしている、いつもより激しく泣く、などの症状があると小児肘内障である可能性があります。
<小児肘内障の原因 >
5歳未満の赤ちゃんから幼児の関節は未発達で柔らかいのです。
関節が動くために必要な輪状靭帯も大人よりも柔軟性が高いので体が柔らかい子どもが多くいます。
そのかわり、関節は外れやすいと言えます。
小学校低学年頃には靭帯や骨も発達するため、小児肘内障が起きなくなるといわれています。
子どもが転んでしまい、起こすときに手を引っ張っただけでも小児肘内障になってしまう場合や、寝ている間に自分の身体で肘を下敷きにしてしまっていただけでも引き起こしやすい怪我ですので注意が必要です。
子どもが筋肉に力を入れていなかったときに、急に引っ張ると小児肘内障が起こりやすいようです。
腕が急に上がらない小児肘内障の治し方について
<腕が上がらない小児肘内障の治し方>
小児肘内障になってしまったら、まず整形外科のある病院か、接骨院や整骨院で相談しましょう。
関節を元に戻す整復術という方法の治療を行います。
整復術後には痛みがすっかり無くなるため、赤ちゃんや幼児も泣き止み、元気を取り戻すことが出来るようです。
リハビリや固定もすることなく、薬も使用しませんが、しばらくの間は肘の関節を激しく動さないように注意が必要です。
<小児肘内障は癖になる?>
一度でも小児肘内障になってしまうと、再び関節が外れやすくなるので、何度も繰り返す可能性が高くなります。
医師から整復術を教えてもらい、家庭で保護者が治すということもあるようです。
<整復術の手順 >
1. 子どもの肘を伸ばし、片方の手で肘をおさえる。
2. 子どもの手のひらが下向きの状態で、もう一方の手で子どもの手のひらを握る。
3. 肘を固定したままゆっくりと曲げていき、子供の手のひらが上向きになるように動かす。
肘を曲げるときに「コリッ」という音がしたら関節がはまったと判断します。
この後、子どもが自分で腕を曲げ伸ばし出来れば整復術は完了です。
これは家でも出来る方法ですが、小児肘内障ではなかった場合には注意が必要です。
手を引っ張った場合は、小児肘内障である可能性が高いですが、手を引っ張ったのかはっきりと分からない状況の場合、自己判断はしてはいけません。
完全脱臼や骨折の可能性もあるので必ず病院を受診しましょう。
かわいい赤ちゃんのためにも覚えたい小児肘内障の予防法や注意点
<小児肘内障の予防法>
赤ちゃんや子どもを危険から守るために小児肘内障が起こってしまう場合は仕方ありません。
そうでは無い場合は、小児肘内障についての知識を持つことによって、予防できる確率が高まります。
子どもと遊んでいる時に、つい腕を引っ張って持ち上げてしまうことがありませんか。
子どもも力を入れていれば小児肘内障にはならないことが多いですが、危険なことですのでやらない方がいいでしょう。
<小児肘内障になった場合の注意点>
子どもは小児肘内障に限らず、一度脱臼しかけてしまうと癖になりやすく、何度も小児肘内障を繰り返すことがあります。
そうすると、橈骨頭の成長が妨げられ、大人になっても肘が抜けやすくなってしまう可能性があります。
もし何度も再発してしまうようなら、肘のサポーターを付けたり、関節と骨が成長する小学生低学年程度まで関節を固定することも出来るので医師に相談してみましょう。
<小児肘内障を放っておいても良い? >
小児肘内障を放置してしまうと治しにくくなってしまうことがあるため早めに病院へ連れて行ってあげましょう。
橈骨輪状靭帯が抜ける衝撃により、肘内障治療後に肘が戻っていても痛がる場合があります。
整復術は成功している可能性が高いため、何日かは三角巾などで手を固定し、なるべく動かさないようにします。
ずっと痛みが残っている時、まだ腕が上がらない時、または違和感がする時は、病院で様子をみてもらうといいでしょう。
赤ちゃんじゃなく大人でも腕が上がらない四十肩・五十肩に効果的なストレッチ
腕が上がらない症状は赤ちゃんだけでなく大人もなりますが、原因は全く違うことがほとんどです。
その原因が四十肩・五十肩でしょう。
ここではそんな大人の腕が上がらない場合の対処法をお伝えします。
<四十肩・五十肩に効果的なストレッチ>
立ったったままでも、座ってもいても行えます。
タオルの端と端をつかんで、両腕を上に上げます。
このとき、タオルを肩幅の長さに合わせましょう。
タオルが無くても出来ますが、あった方がやりやすいです。
背すじをのばして、姿勢を真っ直ぐに保ち、 体を左へ倒していきます。
すると、わき、わき腹や、肩甲骨のまわり、肋骨のあたりも、 全体的に伸びていると思います。
ゆっくり息を吐きながら、この状態で30秒キープします。
その後、ゆっくりと正面に戻してください。
反対側も同じように行います。
勢いをつけて、無理に伸ばしてしまうと怪我に繋がる可能性があるので気をつけてください。
四十肩・五十肩の予防だけでなく、肋間の筋肉もしっかりと働いて、呼吸が深くなるのがポイントです。
深い呼吸が出来ると、質のいい睡眠にもつながりますよ。
この方法は効果があるストレッチですので、ぜひ四十肩・五十肩の予防や改善に役立ててくださいね。
子供が小児肘内障を起こしても冷静に対応しよう
小児肘内障は、子供が無意識で力が入っていなかった時に多く起こります。
特に、大人が腕を急に引っ張ることで生じることが多いので、ご家庭でも常に気をつけてあげましょう。
急に子供の腕が上がらなくて痛みを訴えていたら、慌てずすぐに整形外科や接骨院、整骨院に受診して下さい。
くれぐれも自己判断で治療を試みないようにしてくださいね。